朗読劇「よるのこえ」上演レポ&キャスト・スタッフコメント到着! 25日(土)24時までアーカイブ配信中!!

20200719_saizenseki

 

撮影・文/おーちようこ トリート/愛心学園帰宅部
取材、撮影は換気などに心がけて行いました。

 

20200719_saizenseki

 

劇場入り直前まで通し稽古を続けていたという、俳優陣の顔には少しだけ緊張が見て取れた。昨今の状況ゆえに、この日、初めて自身が立つ舞台へと訪れた──そこは、渋谷にあるロフト9Shibuya。無観客配信の会場となる場所だ。

まずはマイクテストから始まる。新品のマイクカバーを被せた個別のピンマイクを耳にかけ音の返りを確かめる。マイクの音が整ってからは立ち位置を決めていく。いわゆる場当たりだ。声の大きさから音の返りを再度、確認。しかし今回は配信。どんなふうに観客のもとへと届くのだろうか。わからないからこそ、マイクの音が割れないように、呼吸の音が入らないよう、より慎重に声のトーンを変えては、音の響きを受け止める。

 

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

今回は4つの小説を、4人が代わる代わる読む、という朗読劇だ。単にセリフがあるだけでなく、小説ならではの地の文。登場人物の言葉だけでなく内面の想いといった、すべてが自身の読み上げる声だけで表現される。演出家は優しく微笑み「できることはやりました。あとはもう、俳優ががんばるだけで、僕ができるのは見守ることだけだから」と語り。それでも、ぎりぎりまで細やかな指示を届ける。

衣装に着替えてスタンバイ。やがて店長から声がかかる。空気が引き締まる。
「まもなく配信が始まります。10秒前です。5.4.3.2.1」
彼らの表情が一転、柔らかな笑顔に。そして、挨拶。

「どうもみなさん、こんばんは。よるのこえ公演にお越しいただき、まことにありがとうございます」

「今夜は、ここに集ってくれた皆様に、少女文学の世界を、いくつかお届けしようと思っております。皆さんに直接お会いできないのはとても残念ですが、せっかくのこういう機会です」

「普段できないようなこと、例えば、熱い紅茶とクッキーを用意したり、ゆっくりとくつろげるパジャマや特別な飲み物やケーキとともに、僕らの声で語られるさまざまな物語を、どうぞ最後まで、ごゆっくりお楽しみくださいませ」

「なお、本公演は一作品終えるごとに換気を行っております。合間に雑音など入ることもございますが、ご容赦ください。それでは朗読劇よるのこえ、始まります」

 

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

果たして……届けられたのは、まごうことなき「朗読劇」だった。先日、顔合わせからの稽古初日、小説に出てくる漢字に、ひとつ、ひとつ、読み仮名をふりながら、たどたどしく文章を読み上げていた4人の俳優は、短い稽古の合間、それぞれに物語を消化し昇華して、この空間に「少女小説」の世界を創造していた。ときに繊細な少女や少年、思春期の時代を生きる者たちのあどけない残酷さや悲しみ、喜びを、観客のいない空間に描いていく。

荒削りだったかもしれない。
身体で演じる、ということを奪われていたかもしれない。
もどかしくもクリアマスク越し、配信越しに届ける熱だったかもしれない。
けれど、1本の小説を読み終わるたび、観客からの愛あるコメント、あるいはリモート通話で著者からの熱のこもった感想が届き、それらを受け取る彼らの晴れ晴れとした顔がまぶしい。
著者の言葉を受け取り「こんなにも嬉しいものなんですね」「胸の動機が止まらない」と口々に笑顔で語りあい、観客のあたたかなコメントにときに笑い崩れ、照れながらも、実は朗読しながら没入しすぎて瞳がうるんでいた俳優がいたことに気付いた観客もいたはずだ。
さらには「この部分が好き」「この気持はすごくわかる」と登場人物に感情移入し、自身が初めて俳優になりたいと両親に打ち明けた瞬間を明かし、役にトライするおもしろさを語りだす。

──とてつもなく幸せだった。エンタメの喜びがあった。
俳優も、見守る演出家もスタッフも観客も、ともにこの時間を、この空間を愉しんでいてることが伺える。その熱演は、なにものにも代えがたい時間だった。

 

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

最後は演出の浅野さんを囲んで

配役は以下の通り。

『ホワイトデーには幽霊を添えて』神尾あるみ

有島尚吾役:龍人
渡来涼役:二平壮悟
マスター・お母さん役:杉昇真
後輩役・語り:笠原彰人

『五月闇(さつきやみ)』東堂杏子

譲役・語り:杉昇真
皆月役:笠原彰人
佐藤役:二平壮悟
校⾧・生徒役:龍人

『オオカミは、誰』彩坂美月

あたし役・語り:龍人
男役:二平壮悟
刑事1役:杉昇真
刑事2役:笠原彰人

『ペペ、あなたの小説を読ませて』紅玉いづき

ペペ役:二平壮悟
お母さん・シキ役:龍人
書店員・カナデ役:杉昇真
語り:笠原彰人

配信とはいえ、生本番。
だからこそ、感極まって言葉に詰まったり、思わず大きな声が出たり、ときには早口になってしまったり……だからこそ、おもしろい。初めての挑戦を前に幕が開く前の緊張はどこへやら。そこには演じる歓喜にあふれ、届けられた感想に表情をほころばせている、表現する者、の姿があった。

 

配信が終わり興奮冷めやらぬ、4人にコメントをいただいた。

笠原彰人さん

 朗読をこれだけガッツリ演るのは初めてのことで、さらに目の前にお客様がいない……配信という形で送る、という経験が初めてだったので、果たしてどんなふうに届いているのか、気になっています。ただ、全力を尽くしました!
 初めて「少女小説」という作品世界に触れて、僕自身も大きな発見がたくさんあったので、これを機会にもっと読んでみたいと思いました。新たな出会いに感謝する機会でした。

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

杉昇真さん

 自分一人で読むのではなく、相手に読み聞かせるときに、なんというか……テンションとか出しすぎてもダメなんだろうし、抑えすぎてもダメなんだろうし、と思いながら稽古してきました。
 すてきな原作をいただき、すてきな演出をつけていただいて、僕らも短い稽古期間中ながら、全力を尽くしたので、その想いが配信の向こう側まで届いていたらいいな、と願っています。

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

二平壮悟さん

 ……なんだろう……稽古時間があまり取れなかったので、顔合わせのときは不安しかなかったんです。でも、稽古が進んで、それぞれの作品を読み込んでいくうちに、作品自体がおもしろくて、その世界を届けられたら……という熱に変わっていったので、その想いが届けられていたらうれしいです。女性の役は初めてだったので、とてもいい経験になりました!

 

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

龍人さん

 まず、無事に終わったことに安堵しています。朗読劇は初めてでしたが、やってみれば朗読も演劇と同じで、思わず身体が動いてしまうような瞬間もありました。なので今後も、朗読劇ももう少し極めて挑みたいと思いました! ほんとうにほんとうにホッとしました。愉しかったです!!! また演りたいです!! ありがとうございました!

20200719_saizenseki

20200719_saizenseki

 

続けて、本公演に関わった方々からも、コメントをいただきました。

少女文学館 代表 紅玉いづきさん

とても素敵なよるでした。緊張をして、手に汗を握って、笑って、そして、涙したよるでした。
読書とは孤独なものです。小説とは、物語にひとり向き合うものです。でも、この朗読配信では、たくさんの人が、同じ言葉、同じ物語に、同時に向き合ってくれました。それは読書では絶対に得ることができない、不思議な感動でした。
「よるのこえ」を視聴してくれた皆様、これから視聴してくれる皆様も。祈ってくれてありがとう、と言わせてください。そして、俳優の皆様、関係のすべての皆様へ。私たちが書いた、物語のために、祈らせてくれて本当にありがとうございました。
私たちも、このこえが誰かに届けといのりながら、今日も明日も、書いていきます。

 

演出 浅野泰徳さん

今回、「まっすぐなものを作ろう」そう決めていました。

小細工をせず、役者の才能と声、そして何より、作品の持つ「言葉」の力を信じた、まっすぐなもの。

それを作ろうと、そう決めていました。生の舞台じゃなくても、配信だとしても、まっすぐは、必ず届く筈だから。

ひたすらに思いをほとばしらせ、時には恋に春めき、時には闇に溺れ、時には救いようのない状況に絶望し、そして最後に、その全てを、疾走する作品の言霊の風で吹き飛ばしたい。

そんな思いで演出させていただきました。

皆さんの元に、そんな言霊の風が届いてたら嬉しいです。また機会があれば、ぜひ他の作品も朗読劇として手がけてみたいですね。
稀有な機会をいただき、本当にありがとうございました。

 

制作協力 801ちゃん

悔しい。
いま一番、心の中を占めている感情は「悔しい」だ。
脚本も演出も役者らもすばらしかった。
初めての試みでおぼつかない部分はあったにせよ、熱のこもった本当に良いものができたと思う。
今こんな時、昨日のあの日だから「よるのこえ」があって救われたな、という気持ちだってある。
でも本当にそれでいいのだろうか。
あれは、本来ならきっとたくさんの人間の前で、目の前で行われるべきだった。
配信なんてものは、その次になるはずだった。
これは本来、人間を目の前にして行われる演劇だな、と役者の熱を受けながら、タイムキープする足の指に力が入る。
板の上から放たれる光。その光を受けた客席の熱が役者を煽る。
わたしが観たいのはそういうものだ。

 

観劇ファンポータルサイト「最善席」 おーちようこ

 キッカケは2月末のエンタメ自粛要請でした。当時、いち早く無観客配信を実施したロフトプロジェクトに「配信の可能性」を聞きたくて取材が実現、その縁でなにか企画を、という声から「よるのこえ」は誕生しました。
 紅玉いづきさんが代表を務める「少女文学館」が小説提供を、801ちゃんが制作を快諾してくださって、動き出したのが6月のことでした。「最善席」はもともと舞台好きが愛することを書(描)き投稿する「場」でしたが、今回、新たに生身の熱を感じる作品を生み出す「場」にもなれたこと、演出の浅野泰徳さんはじめ、俳優陣、多くの方の尽力により形になったことに感謝します。エンタメの未来を信じ「よるのこえ」名付け親として、先へと続くことを願っています。

 

本公演は、7月25日(日)24時までアーカイブ配信販売中
チケットは
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/broadcast/148796

原作が気になった方へ。
少女文学館(少女朗読館)https://note.com/benitamaiduki/n/nd987a29111e7


【公演データ】
少女文学館✕俳優✕最善席 朗読劇「よるのこえ」

公演日:2020年7月18日(土)20時開演 無観客生配信 
※アーカイブ配信あり(7月25日24時まで)
チケット:1800円+税
出演:笠原彰人 杉昇真 二平壮悟 龍人(50音順)
演出:浅野泰徳
原作提供:少女文学館(少女朗読館)制作協力:801ちゃん
ロゴデザイン:ゆき哉
企画:観劇ファンポータルサイト最善席
問合せ:info@saizenseki.com
主催:よるのこえ

 

Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+

PAGE TOP