舞台『K』第二章 キャラクターを愛して /紅玉いづき
2015.8.30
舞台『K』 記事一覧
オフィシャル記事
個人レビュー
- 舞台『K』第一章レビュー。二次元の質量 :紅玉いづき(『舞台男子と観劇女子』1号所収)
- 舞台『K』第一章レビュー。わたしの日記。 :おーちようこ(『舞台男子と観劇女子』1号所収)
- 舞台『K』第二章千秋楽レビュー。それでも私たちには拍手しかなかった。 :紅玉いづき
2015年8月22日に大千秋楽を迎えた舞台『K』第二章-AROUSAL OF KING-の感動を、初日のレポートから、もう一度。
キャラクターを愛して
キャラクターを大事にする、ということは、一言でいってしまうのは簡単だけど、決して簡単なことではない、のでしょう。
たとえばそれが作者と物語の、1対1の創作であれば、心がけのひとつ、であるのかもしれないけれど、複数人が関わるプロジェクトとなれば、キャラクターはそのプロジェクトを構成する歯車のひとつとなります。その時、キャラクターよりも大切なものが、きっと絶対に出てきて、キャラクターを大切にすることは、大事なことだけれど難しいことにもなります。 舞台『K』を観た時、何よりも一番、「キャラクターが大切にされている」と感じました。そしてそれは、『K』というプロジェクトすべてにも感じていることでした。
『K』と『GoRA×GoHands』
元々『K』は宮沢龍生、壁井ユカコ、高橋弥七郎、あざの耕平、古橋秀之、鈴木鈴、来楽零というそれぞれがあまりに華やかな世界と物語を持つ作家7人からなる『GoRA』(http://goraproject.com/)と、監督・キャラクターデザインを担当する鈴木信吾を中心としたアニメーション制作会社『GoHands』によって作られた物語でした。美しく、色鮮やかなキャラクターたちが動き、ドラマを紡いでいくアニメーションから走りだし、コミカライズ、ノベライズ、そして脚本・演出に末満健一を迎え、舞台『K』が生まれました。
ファンの間で広く知られていることですが、『K』は多彩なキャラクターひとりひとりを丁寧に作り上げ、それぞれのキャラクターに対し、愛情があり、責任があり、はっきりとしたプライドもあることでしょう。そのあり方は、創作物に対する作者のようでもあるし、子に対する親のようでもあるし、あるいは、役と役者の関係のようでもあります。
舞台『K』
舞台『K』第一章初演は2014年8月6日(水)~10日(日) 六本木ブルーシアターにて上演され、前売りチケットは完売、大好評のうちにその公演を終えました。初演では2012年に放映されたTVアニメ1期の7話までを忠実にたどり、丁度一年の時間を経て、2015年8月5日(水)、AiiA 2.5 Theater Tokyoにて舞台『K』第二章 -AROUSAL OF KING-が開演しました。
現実とは微妙に異なる歴史を歩んだ現代、特別な力をもつ7人の《王》が存在するその世界で、島が丸ごと高校となっている芦中学園高校に通うシロこと伊佐那社(松田凌)が、クロこと夜刀神狗朗(荒牧慶彦)、自らをネコと名乗る少女(楠本あずさ)に出会い、身に覚えのない殺人の罪で追われながら、《赤の王》周防尊(初演中村誠治郎、第二章和田雅成)が率いるチーム《吠舞羅》と、《青の王》宗像礼司(南圭介)が率いる《セプター4》の対立に巻きこまれていく……。そして初演の舞台のラスト、シロは「自分は誰なのか」という命題に立ち向かうこととなります。
そしてはじまるこの第二章では、多くの変更と発展がありました。それでも、原作を愛する多くの人が、望み願ったものに全力でこたえた、と初日を見た瞬間思いました。
挨拶を終え、キャストが全員ステージから消え、日替わりであろうクロのアナウンスがはじまってもなお、鳴り止まない拍手。「帰るまでが舞台『K』です!」とシロ役松田さんに叫ばせながら、あれほどの大きな拍手を続けたのは、ファンの望みにこたえてくれた、その感謝でした。
キャストをはじめ、多くの変更はあります。会場をAiiA 2.5 Theater Tokyoにかえ、大阪公演も加えられた長期間の公演、パワーマイムに偏ることはなくふんだんに使われる映像、会場全体を照らし出し、没頭させるあざやかな照明。
それでも初演からかわらない世界がそこにあります。オープニングやエンディングに限らず、贅沢に使われるangelaをはじめとしたアニメの音楽、そして、大切にされるキャラクターたちがそこにいます。
それはたとえば、ファンが忘れられない台詞や、その抑揚、声や、喋り方に現れ、衣裳やそして、シルエットが形をつくります。
ただの真似ではなく、愛情をもって生まれたキャラクターが、その責任の通りに生きている、そういった緊張感と安心感がありました。
目をつむって声を聞いても、そのキャラクターがキャラクターであることを確信できる作り方は、決して簡単なことではないのでしょう。
もちろん、原作を知らず舞台にくることもあるでしょう。それもひとつの楽しさで、耐えうるだけの面白さ、力強さが舞台にはあります。けれど、それでも、是非とも原作を見て来て欲しい、と今回ばかりは思いました。『K』というアニメが、キャラクターの愛情から形成され、そして舞台『K』は、確かにその愛情をそのまま、この世に体現させようとしているのですから。
現在、TVアニメ2期を控えたアニメ『K』は、ニコニコ生放送やGYAO!などで無料放送が行われています。
是非、アニメを見て、舞台を見て、そしてまた、アニメを見たいと思って下さい。その気持ちは、一年前、初演を見た帰り道に感じたもの、まったくそのままでした。
2015年8月5日(水)初日観劇 紅玉いづき
関連サイト
- 舞台『K』http://www.marv.jp/special/stage-k/
- 『K』オフィシャルサイトhttp://k-project.jpn.com/
- TVアニメ『K』(第1シリーズ)オフィシャルサイトhttp://k-project.jpn.com/top.html
- GoRA PROJECT http://goraproject.com/works_anime.html
舞台『K』第二章 -AROUSAL OF KING-
原作:GoRA×GoHands
脚本・演出:末満健一
公演期間/劇場
東京公演: 8月5日(水)~15日(土) AiiA 2.5 Theater Tokyo
大阪公演: 8月19日(水)~22日(土) 大阪メルパルクホール
伊佐那社役/松田凌
夜刀神狗朗役/荒牧慶彦
ネコ役/楠本あずさ
周防尊役/和田雅成
櫛名アンナ役/礒部花凜
草薙出雲役/寿里
八田美咲役/植田圭輔
鎌本力夫役/松崎裕
宗像礼司役/南圭介
淡島世理役/茉莉邑薫
伏見猿比古役/安西慎太郎
アンサンブルキャスト:安藤彩華、江口千夏、金魚わかな、有澤樟太郎、小波津亜廉、 近藤頌利、高橋和志、南條良輔、日南田顕久、校條拳太朗、矢ノ目光明
BD・DVD
12月23日(水・祝) Blu-ray&DVD発売決定!
価格:Blu-ray 9,800円+税/DVD 8,800円+税
仕様:2枚組(Disc1本編/Disc2ボーナスディスク)
発売元:マーベラス
販売元:キングレコード
(C)GoRA・GoHands/k-project (C)GoRA・GoHands/stage k-project