なんだこの空間は? 見ればわかる、わかるとハマる、愉快な空間で紡ぐ物語。『結 -MUSUBI-』レビュー

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 どんなにたくさんの写真を掲載しても、おそらく、どういう舞台かを伝えるのは難しいな……と、思いながら観ていました。けれど、観たら、おもしろい! とわかる作品でした、『結 -MUSUBI-』は。

 舞台は伝説の横綱・雅ノ富士が生前に立ちあげた富士見部屋。日々、兄弟子の雅ノ若のもと、雅ノ花・雅ノ國・雅ノ海・雅ノ龍の4兄弟が稽古に勤しんでいるが、どうにもこうにも稽古をサボりふざけてはケンカに明け暮れる。しかし、彼らが一致団結する事件が起こる。それは愛する末の妹が婚約者(!?)を連れてきたからだ。

 さて、この稽古場、一見、普通の稽古部屋だが、実は二つの「してはいけないこと」がある。それは「私語」と「女性を土俵にあげる」こと。とくに女性を土俵にあげてしまうと、とんでもないことが起きると言われている──と、いうことは?

 4兄弟が稽古を巡って小競り合い思わず声が出た瞬間、どこからともなくレーザービームが!? さらに妹がつまずいて、うっかり土俵のなかへと転びそうになり? 禁止事項を破りそうになるたびに、登場するのは二人の黒子たち。彼らを助け、走り回る、はずが……。

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 確かに台詞は一切ない! ない、……のだけれど、舞台上は実ににぎやか。役者たちが本気で遊んで、楽しんでいる空気が丸ごと伝わり、心が踊る。途中、観客も拍手で参加する場面では、意外な結末に。公開ゲネプロでマスコミ取材陣中心の観客にもかかわらず、思わず笑いが起こり、拍手が起こる一幕も。

 美しい照明に大きな映像、マジックも披露され、ボティクラップにダンスや殺陣と目まぐるしい。けれど、これ、全部、言葉はなくとも「見ればわかる」もの、ばかり! その上で物語は着々と進行している。なんだ、これ?──独特な世界観が絶妙なバランスで成立している、愉快な空間がそこにはあった。確かにこれはNON STYLEという漫才師に俳優、脚本家、演出家の「石田明」がみっしりつまった、びっくり箱のような舞台だった。

 ともすれば観客が状況を飲み込み異空間に巻き込まれるまで、少し時間が必要かもしれない、けれど、いったんわかってしまえば、後はただただ楽しいだけ。言葉を封じられ、これだけ盛りだくさんの演出を受け止めた出演者はもちろんのこと、新たな試みに挑戦した石田明と、後押しした制作陣に心から拍手を送りたい。大げさかもしれないけれど、文化はこうして育まれていくのだ! 舞台『結 -MUSUBI-』は本日初日を迎え、東京、大阪で全10回公演。なんだかよくわからないけど、おもしろいもの、の誕生を目撃してほしい。

撮影・文/おーちようこ

当日券など情報は公式HPへ。
石田明さん稽古場突撃インタビューもあわせてどうぞ。

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著: | カテゴリー:レビュー,石田明
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