時速 246 億「お暇(いとま)をどうぞ」開幕! 全力の暇つぶしは、人の進化の可能性を秘めている、のか?
2024.11.19
やや年齢層高め(?)の演者が
全力疾走する異空間、ここに爆誕!
川本成さん主宰、盟友の喜安浩平さんが作・演出を手がける本作。秋沢健太朗さん、小野坂昌也さん、熊沢学さん、佐野瑞樹さん、なだぎ武さん、ニーコさん、錦織純平さん、増田裕生さん、森久保祥太郎さんといった曲者(?)ぞろいの演者たちが大暴れする、本作。
彼らが立つのはなんと、劇場の客席を舞台へ、舞台を客席へと大胆に作り変えた、この作品だけのオリジナルな空間だ。
さらに、今回、用意された席種のひとつ、プレミアムシートには(ステージに近すぎる為、首が痛くなる可能性がございます。予めご了承ください)と注意書きがある通り、確かに近い、近すぎる。
舞台上にも客席が作られて、前後左右、縦横無尽に演者たちが行き来し、出入りする空間で、繰り広げられるのは、あるベンチャー企業オフィスでの悲喜こもごも。
登場するのは、演者の名前とちょっとだけちがう名字の人々で、さまざまな暇つぶしに興じている社員たち。かなりお気楽極楽な社長のもと、彼らは今日も暇つぶしに興じる。
なぜか?
実は、AIの最新技術を持つ、この会社、一見、自由に見えて、実は優秀すぎるAIに己の仕事を奪われ、さらにスケジュールまでAIに管理されているディストピア(!)だった。
しかし、企業スパイが潜入しているという噂が流れ、事態は一転する。
矢継ぎ早に畳み掛ける会話が愉しい。
次々と明かされる意外な事実、二転三転する大どんでん返しに驚かされる……と、書くと、ははあ、実はベタな内容なんだな、と思われるかもしれないが、ベタこそ王道。
ところがだ! その展開の方向が斜め上すぎて、観ている間に、今、自分がいるのが、どの世界(?)かわからなくなってしまう。
ログイン、遠隔操作、謎のビーム射出、テレパシー、といった特殊能力(?)が飛び出し、さりとて映像があるわけでもなく、ひたすら音と光とタイミング、そしてなにより出演者全員もれなく演技が上手いという力技(ものすごく大切!)で、問答無用に観る者をさらっていく。
どこを観ていたらいいのかわからない!
どう観たらいいのかわからない!
台詞なのか、段取りなのか、アドリブなのかわからない!
まさに丁々発止の掛け合いが続く。
心地よく残るのは、なんだかとてつもなくおもしろかった、の一言だ。
冒頭、前説という名の、お巫山戯(ふざけ)……もとい物語への大切な導入があるので、開演5分前には着席することを全力でおすすめしたい。
本公演は12月1日までシアターサンモールにて上演中。観劇後の余韻を楽しむ、贅沢フリートークも開催。当日券などの最新情報は「時速246億」公式Xへ。
撮影・文/おーちようこ
■劇場 シアターサンモール(東京都新宿区新宿1-19-10 サンモールクレストB1)
■チケット 全席指定・税込
【プレミアムシート】12,000 円(特典付き) *ステージに近すぎるため、首が痛くなる可能性がございます。予めご了承ください。
【通常席】前売 9,000 円/当日 9,500 円 発売中
■公式HP https://jisoku246oku.com/info/oitoma/
■公式 X @jisoku246oku