これぞ、まさしくスタンダード! 満を持しての『熱海殺人事件Standard』開幕。舞台挨拶と大量の公演写真到着!
2024.7.6
紀伊國屋ホール 60周年記念公演『熱海連続殺人事件』、開幕!
上演されるのは「熱海殺人事件 Standard」と「熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン」。
一足先に、7月5日に東京・紀伊國屋ホールで「熱海殺人事件 Standard」が一足先に初日を迎え、これに先駆け同日昼、舞台挨拶と公開稽古(一部)が行われた。
舞台上には、演出の中江功さんと出演者の荒井敦史さん、新内眞衣さん、富永勇也さん、高橋龍輝さんと、司会を務める久保田創さんが登壇。
まずは中江さんから「2021年以来、二度目の演出となります。近年、複数のキャストで上演されることが多かったなかで、今回は同じメンバーで、Standardと名乗る勝負に挑ませていただいていますが、最高のキャストが集まったと思っています」と意気込みを伝える。
続けて、木村伝兵衛役の荒井さんがマイクを手に発言……と、ここでマイクトラブルが。「あれ? 音、入ってますか? 入ってませんね」との言葉に、司会の久保田さんが自分にマイクを差し出そうとすると、笑顔で制し、そのまま、マイク無しで発言。
「熱海殺人事件の出演は5回目ですが、ずっと出たい、出たいと言ってきて、ようやく出られるときにコロナ禍が始まってしまいました。なので、今、ようやく少し世の中が落ち着いて、演劇と向き合える今回、全力でぶち当たっていきたいです!」と朗々と語る姿に会場からも思わず拍手が。
次に水野朋子役の新内さんから「4回目の挑戦になりますが、何回目であっても緊張します。ただ、それまで毎回、新たに覚えていたセリフが、今回、最初からすらすら出て、楽しく稽古ができました。今回も感想を目指して、より踏み込んで演じていきたいです」
その言葉に久保田さんから「ベテラン感が出てきましたよね」、演出の中江さんからも「稽古場でも貫禄がありました(笑)」との言葉があり、共演者もウンウン、と頷く場面も。はからずも頼もしい水野の存在も明かされた。
熊田留吉刑事役を務める富永さんは「熱海には初参加となりますが、まさに”灼熱”の舞台です!」と感想を語り「ずっと自分は汗っかきだと自覚していたんですが、この稽古場でそれが間違いではなかった、と証明されました」との発言に、荒井さんからも「滝行してきた? というくらい汗をかくんですよ!!!」との証言も。
最終的には、汗対策に稽古場で付けていたヘアバンドを本番でも付けることになったという経緯も披露。注目してほしい。
犯人・大山金太郎役の高橋さんは「僕は三度目の熱海です。これまで熊田を演じていましたが、今回は念願の大山金太郎を演らせていただきます。ずっと演りたい役で目標にしていた役なので、歴代の方々に恥じぬように、でも、そのなかでのいちばんの大山と言っていただくことを目指してがんばります」と熱い思いを笑顔で。
さらに暑さ対策の話から「稽古場では、舞台上の環境を再現するためにできるだけクーラーを付けずに稽古していました」と苦労話とともに、最後は「僕らの公演に付いているStandardの名に恥じぬよう、これがスタンダードという公演をお届けします」と力強く挨拶し、終了。
これぞ『スタンダード」!
以下に公演写真をお届け。
こうして始まった『熱海殺人事件Standard』。お馴染み、爆音の『白鳥の湖』が流れ、木村伝兵衛が登場。矢継ぎ早に飛び出すセリフ。ぽんぽんと交わされる言葉の応酬が小気味いい。
先日、お伝えした稽古場レポでは、感情の先、誰に向けて心を届けるか、を大切にしているという中江さんの言葉通り、相手に言葉を送る、受け取る、そこに気持ちが乗り、加速していく様が客席に伝わる。
そのすべての熱を受け止めながらも、自らもあふれる思いを言葉に込める荒井さんが在る。
富山から赴任してきた熊田の戸惑い。
本気か冗談かわからない伝兵衛と水野の掛け合い。
やがて、登場する犯人・大山──の姿。熱唱する大山は、一輪の薔薇を差し出す。
ひとりの職工が幼馴染の女を殺した。ともすれば新聞の片隅に小さく載って終わるであろう事件。そこにはどんな葛藤が、思いが、秘められているのだろうか。
上演時間は約2時間、Standardは7月16日まで、モンテカルロ・イリュージョンと交互に上演。詳しくは公式サイトへ。当日券情報など詳細は公式Xまで。
撮影・文/おーちようこ