4年ぶりに見事、開幕。『熱海殺人事件モンテカルロ・イリュージョン』ゲネプロレポ+全編通しての舞台写真、大公開!

 

物語はある殺人事件の時効成立まで、1時間43分を切ったところから始まる。
山形の死神と恐れられた速水刑事(嘉島陸)は、かつて棒高跳びの選手でもあった木村伝兵衛部長刑事(多和田任益)を死刑台に送るため赴任してきたと明かす。なぜなら、オリンピック開催地のモンテカルロで同じく選手だった自分の兄を殺したのが伝兵衛だと確信していたからだ。

そんな速水に、木村はある事件の捜査を命じる。
それは棒高跳びの補欠選手、大山金太郎(鳥越裕貴)の犯罪──熱海の地で女子砲丸投げの選手だった山口アイ子殺害、並びに彼女を15年間育てた監督を竜飛岬で殺害したという容疑だった。

その伝兵衛に想いを寄せ、心臓の病と戦いながら十年もの間、尽くし続ける、女子ハードル選手でもあった水野朋子婦人警官(木﨑ゆりあ)。

4人の思いが絡まりながらも捜査は進む。
同時に知られざる事実が次々と明かされる。

 

なぜ、日本選手団680名はモスクワオリンピック出場停止となったのか?
なぜ、伝兵衛は金メダルを嘱望されながらもオリンピック出場を辞退したのか?
なぜ、速水の兄はモンテカルロで死ななければならなかったのか?
なぜ、大山は写真館に火を付けなければならなかったのか?
なぜ、水野は時効成立を、ただ静かに見守るのか?

 

 

秘めた想いを代弁するかのように、彼らは歌う。
艶やかに、可憐に、甘やかに、そして激しく、哀しく、心を乗せていく。
やがて、伝兵衛の人間性に触れ、速水は己の確信が揺らいでいくことに気付く。
「あなたは殺しては、いない!」叫ぶ速水。
「死ぬほど、抱かれたかったです!」激白する伝兵衛。
その慟哭が辿り着く先に待つものは──。
かくして、1時間45分後、舞台の幕は降りる。

先日の、当サイトでの座談会で語られた通り、2020年の公演から「改竄」の二文字を外した今作品は必見、だ。

本公演は7月22日まで『熱海殺人事件Standard』と交互に上演中。
詳しくは、公式サイトまで。

 

撮影・文/おーちようこ

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