ニューメンバーによる新生『朝日のような夕日をつれて2024』誕生! DVD発売決定!!! 現在、予約受付中。

お待たせしました、ニューメンバーです! 『朝日のような夕日をつれて2024』よろしくう!

マイクを手に、ゴドー1が高らかに叫ぶ。
それは、まさに唯一無二の、新生『朝日のような夕日』だった。

 

作・演出にして劇団「第三舞台」主宰の鴻上尚史さんが1981年に劇団旗揚げのため、22才で書いたという、この戯曲。その構造は複雑で、業績不振に苦しむオモチャ会社「立花トーイ」とサミュエル・ベケットの不条理劇『ゴドーを待ちながら』の世界が交差し、やがてもうひとつの世界が描かれる。

ゆえに役者には、それぞれの世界へと瞬時に飛び込み演じ分ける力量と、そこに込められた想いを伝える表現力が求められてしまう。

これまで、劇団旗揚げメンバーの大高洋夫さん、小須田康人さんとともにゲストを迎え、上演されていた本作は、2024年の今回、全員が30代という新たなキャストで届けられた。

 

冒頭、真っ暗な中、密やかな群唱が生まれる。
やがて灯りがつき、初演から変わらぬ「THE END OF ASIA」が流れるなか、5人の男がいる。
真ん中に立つのは、2014年版で医者=少年役を演じ、10年後の今回は初演から大高さんが演じ続けていた、部長=ウラヤマ役を託された玉置玲央さんだ。
上手には以前に池田成志さん、勝村政信さん、藤井隆さんらが演じた、研究員=ゴドー1役を託された安西慎太郎さん。
となりには前回、玉置さんが演じた医者=少年役を託された、一色洋平さん。
下手には、大高さんと同じく初演から小須田さんが演じ続けた、社長=エスカワ役を託された小松準弥さん。
そして、これまで筧利夫さん、松重豊さん、伊礼彼方さんらが演じた、マーケッター=ゴドー2役を託された稲葉友さんが並ぶ。

傾斜した舞台、印象的なセリフ、全力で遊び倒す場面はそのままに、現代へとアップデートした、立花トーイあるいはゴドーの世界の彼らは、今の世相を大真面目に洒落のめす。機関銃のように繰り出される膨大な台詞の数々をものともせず、「愛」について、「孤独」について、はたまた「救い」、あるいは「神」について縦横無尽に語り尽くす。

そして、「みよこ」という存在についても。

 

 

役の解像度が、おそろしく高い。
「勝手にゴドーの世界に入るなよ!」と言いながらも、瞬時に演じ分けてみせるからすごい。
たった一言、発する声のトーンが、抑揚が、今、彼らがどちらの世界で、どんな思いでいるのかを伝える。
目にも染みているだろう、額から吹き出る汗を誰ひとりとして拭うことなく、セリフを吐き、動き続ける。
生身の人間のとてつもない熱量が、声が、劇場という空間すべてを満たしていく。

そのなかで最初から最後までスーツ姿の4人と対比するかのように、常に姿を変え登場するのが、少年=医者だ。
彼もまた、行き来する2つの世界の境界線に立ちながら、さまざまな役割をにない、節目、節目に登場する。その変幻自在さ、とんでもない完成度の高さ、瞬発力に驚く。

 

 

かくして、「これまでの作品を観てくれている人も、初めて観る人も満足できる作品を」と語った、鴻上さんの言葉通り、『朝日のような夕日をつれて』は次世代の俳優へと託され、これまでと同じく、いや、それ以上に観る者すべての心にぶっささるだろう。

本公演は東京は紀伊國屋ホールにて9月1日(日)まで、大阪はサンケイホールブリーゼにて9月6日(金)から8日(日)まで上演中。

大千秋楽まで、立ち続ける5人の姿を見届けてほしい。

 

 

最善席では、その鴻上さんが「この5人に出会えたから、演れる、と決めました」と明かしたインタビュー、笑いが絶えない稽古場レポもお届け。

紀伊國屋ホール開場60周年記念公演 KOKAMI@network vol.20
『朝日のような夕日をつれて2024

公式サイト https://www.thirdstage.com/knet/asahi2024/
公式X @asahi_2024 にて当日券情報など配信中。

現在、DVDも予約受付中。
大千穐楽9月8日(日)までのご予約は送料無料の特典付き。
予約フォームはこちら

劇場販売グッズ情報はこちらにて!
https://tachibana-toy.com/

 

撮影・田中亜紀/文・おーちようこ

著: | カテゴリー:レポート

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