舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺 レポ&レビュー/高橋美里 北山猛邦
ラストを飾る、12振の刀剣男士。
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※ミュージカル『刀剣乱舞』トライアル公演のゲネレポ&レビューはこちら。
織田信長とは、一体何者だったのか──刀たちが見た本能寺の変を描いた 舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺
ゲネプロ・観劇レポ 高橋美里
人気ゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」を題材にした舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺が、5月3日に開幕。東京公演を14日まで上演し、大阪公演は大阪メルパルクホールにて5月17日~20日まで上演された。
物語はある日、本丸に新しい刀剣男士が顕現するところから始まる。
不動行光(椎名鯛造)──戦国武将・織田信長が佩用し、彼に仕えた近習・森蘭丸(丸目聖人)へと授けられることとなる一振りである。不動行光は信長の刀であったことの誇りを顕わにするが、同じく信長を元主とする宗三左文字(佐々木喜英)、へし切長谷部(和田雅成)、薬研藤四郎(北村諒)らとうまく噛み合わない。新たに近侍に任命された山姥切国広(荒牧慶彦)は、不動行光の参入により和の乱れた本丸を立て直そうと奔走する。そのさなか、審神者より天正十年──織田信長が果てた歴史的事件「本能寺の変」へ2部隊同時出陣の命が下るのだった。
全編に渡り落ちついた照明の中、靄に包まれて顕現した刀の姿と、ぴんと張り詰めた雰囲気の中響く三日月宗近(鈴木拡樹)の声。その第一声が作った舞台の雰囲気は崩れることなく、最後まで静謐だが熱く、深く物語は作りあげられていった。
歴史とともに生きてきた刀剣たちにはそれぞれの物語があり、刀剣男士もその過去を背負っている。
本丸に揃った宗三左文字、へし切長谷部、薬研藤四郎、不動行光、織田信長ゆかりの4振りの刀剣たちにとって「織田信長とは何者だったのか」、この物語はその問いを刀の歴史と史実を踏まえながら掘り下げて行く。
楽しかった記憶と愛された記憶を抱えて顕現した不動行光の奔放さと、甘酒を片手に動き回る短刀ならではの身軽さで、ゲームに2016年2月に実装されたばかりの刀剣ではあるけれどその個性をしっかり感じ取ることができた。
片や、信長自ら名をつけたにもかかわらず、直臣でもない家臣に与えられたという過去を持つへし切長谷部は、一心に信長を信じる不動とうまくいかない。冷静な部分と瞬間的に熱くなるその緩急がとても印象的だった。
左文字三兄弟の次男である宗三左文字は、自らに刻まれた信長の刻印から逃れられない運命であることを受け、どこか諦念も含み歴史を守るために尽力する。宗三のどこか遠くを見つめる表情がとても美しくずっと眺めていたくなるほどだ。
そして薬研藤四郎は、不動が現れ揺れる刀たちの中でぶれず、精神的に頼りになる存在であり続けた。一つ一つの台詞が重みを持つ、そんな役どころだ。
過去を変えてはならない、振り返ってはならない。歴史修正主義者率いる、時間遡行軍と戦いながら彼らは自分たちの生きた時代を正しい歴史として守るべく戦う。それがどんなにつらい別れを伴っても。
序盤から自己紹介代わりとも言えるような12振り12色の立ち回りは短刀・脇差・太刀、それぞれの刀の個性を出している。短刀や脇差は刀だけでなく身体全体を大きく使い、打刀や太刀はその構えた出で立ちの美しさ、刀を振り抜く速さ……衣裳もゲームの設定そのままに、まさに刀剣男士がそこにいるようだった。
ゲーム中でお馴染みの内番などのシーンや、台詞はもちろん、刀剣男士たちの関係性や本丸の日常もちらりと垣間見える。
軍議中の本丸では、燭台切光忠(東啓介)お手製の茶菓子を囲むシーンも。ゲネプロでは黒豆、観劇した日は食パン……。そこから始まる日替わりパートは周囲を巻き込んでの展開になること必至。シリアスなシーンとのギャップもあり思わず笑ってしまうほどで、存分に舞台上のキャストの個性があらわれている。ぜひ楽しみにしていただきたい。(DVDにぜひ収録してほしい!)
ゲネプロ公演後、別会場にて囲み会見が行なわれ、12振りの刀剣男士が一同に会した。
後列左から納谷健(小夜左文字)、輝馬(江雪左文字)、廣瀬大介(一期一振)、杉江大志(鯰尾藤四郎)、東啓介(燭台切光忠)、染谷俊之(鶴丸国永)
前列左から和田雅成(へし切長谷部)、佐々木喜英(宗三左文字)、鈴木拡樹(三日月宗近)、荒牧慶彦(山姥切国広)、椎名鯛造(不動行光)、北村諒(薬研藤四郎)
──刀剣男士の皆さんから公演への意気込みをお願いします
鈴木:本日から舞台版の刀剣乱舞がスタートしました。もとを辿ればPCブラウザゲームとしてスタートし、つい最近ではスマホアプリ化もされ、アニメ化の発表もありました。ミュージカル版の『刀剣乱舞』もありますが本日この日をもって舞台版『刀剣乱舞』がスタートしました。またひとつ新たなコンテンツとして皆さんを楽しませられるように『刀剣乱舞』のゲームともども応援のほどよろしくお願いします。
荒牧:12振りの魅力的な刀剣男士が織りなす舞台『刀剣乱舞』の世界観をたくさんの方に愛してほしいと思います。
佐々木:この舞台『刀剣乱舞』の出演が決まってからゲームをずっとやりこんでいます。舞台上で宗三左文字として精一杯生きたいと思います。
輝馬:今日ゲネプロを終えて本当にたくさんの発見がありました。それを糧に今日の夜から始まる公演を安全に楽しくお客様に楽しんでもらえるように頑張ります。
納谷:僕自身こういった大きな舞台、2.5次元舞台というのが初めてなので尊敬するキャストのみなさんたちと『刀剣乱舞』の世界を盛り上げていけるように頑張りたいと思います。
北村:薬研藤四郎として戦場を駆け抜けて、大将のみなさんに楽しんでいただけるような、期待に応えられるような作品にしたいと思います。
和田:最良の結果を主にお届けできるようにしっかり務めてまいります。よろしくお願いします。
椎名:とても人気のある作品なのでこの舞台で『刀剣乱舞』という作品の可能性を感じていただけたらと思います。
廣瀬:最後まで観て頂けたら伝わるものがあるのではないかと思います。12振り12色のアクションシーン、最後まで楽しんでいってください。
杉江:スタッフのみなさんが細部までこだわって作り上げてきた作品です、たくさんの方の思いをしっかり背負って素晴らしい作品に出来るよう頑張ります
東:僕自身、刀での殺陣をするのが初めてでしたので燭台切光忠としてカッコよく決めていきたいと思います。12振り全員が大千秋楽まで怪我なく終えることができるよう頑張っていきたいと思います
染谷:楽しみにしてくださっている皆さんに驚きの結果をもたらすことができるよう、ステージ上で刀剣男士として生き抜いていきたいと思います。
──最後に座長・鈴木拡樹さんからお客様へメッセージをお願いします
鈴木:今回のこの作品の顔合わせの時に「戦ってください」という強い言葉をいただきました。
なので我々一同全ての物事において戦い続けて、来てくださるみなさま、ご観劇いただけるみなさまに最高に楽しんでいただけるステージを用意してこの作品を届けたいと思います。次を目指す、のもありますが、止まらぬよう戦い続けてこの作品を終えたいと思います。
舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺──を観て
作家・北山猛邦
現代では、 普通に生活していたら日本刀と触れ合う機会はほとんどないと言えるでしょう。実際、僕も本物の真剣に触れたことはありません。けれど『備前長船』とか『こてつ』とか、男子のハートをくすぐるネーミングを当たり前のように知っています。それらがすごくよく切れて、強い、ってことも知っています。何故なら、ゲームの主人公として何度も振り回してきたからです。そういう意味では僕も刀剣『男子』といっていいのでは?
そんなお馴染みの日本刀。イメージとしては、強くてかっこいい。今回の舞台『刀剣乱舞』に登場する刀は12振りですが、言うまでもなくみんなかっこいいです。そしてもちろん強いのですが、舞台上の刀剣男士はそれだけではなく、哀切や虚無感なんかを背負っていたりして、単なる擬人化には留まってはいません。
今回のストーリーでは、『本能寺の変』がメインテーマに据えられていて、織田信長に関わる刀剣を中心に物語が動きます。信長の刀、というだけでも想像が膨らみますが、何処からどのように信長の手に渡り、その後どうなったのか、その史実もまたロマンにあふれています。彼ら刀剣男士たちは、そんな歴史の中で信長が見せた様々な顔を一番近くで見てきた存在であり、それぞれ『主』像に違いがあったりして……そのせいで衝突したりもしますが、彼ら自身が本能寺の変に立ち会った時にどうなるのか。彼らの背負っているものが、単なる武器としての強さだけではないということが、切実に伝わってきました。
ちなみに原作ゲームの方では、個人的には脇差組が好きなのですが、今回登場していた脇差は鯰尾だけでした。舞台では主に偵察として活躍していたので、脇差派の見どころはそこです。
撮影/公式提供・高橋美里
舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺
■原案:「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMMゲームズ/Nitroplus)
■脚本・演出:末満健一
■音楽:manzo テルジヨシザワ
■出演:
三日月宗近:鈴木拡樹 山姥切国広:荒牧慶彦/
宗三左文字:佐々木喜英 江雪左文字:輝馬 小夜左文字:納谷健/
薬研藤四郎:北村諒 へし切長谷部:和田雅成 不動行光:椎名鯛造/
一期一振:廣瀬大介 鯰尾藤四郎:杉江大志 燭台切光忠:東啓介/鶴丸国永:染谷俊之/
森蘭丸:丸目聖人 明智光秀:窪寺昭/
アンサンブル:小笠原慶顕 釣本南 並木鉄平 福島悠介 外村泰誠 三上竜平 柳沢卓 山下潤 山田諒 結城伽寿也 吉田邑樹 渡辺寛久郎
【東京】シアター1010/5月3日(火・祝)~14日(土)
【大阪】大阪メルパルクホール/5月17日(火)~20日(金)
舞台『刀剣乱舞』公式サイトhttp://www.marv.jp/special/toukenranbu/
©舞台『刀剣乱舞』製作委員会
千秋楽公演独占アーカイブ配信中!
動画配信サービスDMM.comにて、舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺 千秋楽公演のアーカイブ配信が決定! 5月27日(金)より、PCやスマートフォンで公演をご覧いただけます。
【配信開始日】 5月27日(金) 12:00~
【販売形態】 HDストリーミング:1,450円(税込) / 7日間
HDダウンロード:2,500円(税込) / 30日間
※対象端末や配信方式などの詳細は、右記URLよりご確認ください http://dmm.com/2404
<配信に関するお問い合わせ> DMMサポートセンター(24時間・365日受付)
http://www.dmm.com/help/support/index.html
0570-088-335 IP電話・PHSからは 076-214-6737
オリジナルグッズ販売開始!
公演会場では手に入らない「オリジナルグッズ」の予約を受付!!
●等身大タペストリー(DMM.com限定) ●クッションカバー(DMM.com限定)
他にも、公演パンフレットやブロマイドなど、公演グッズを販売!
発売期間など、詳しくは http://dmm.com/2404
Blu-ray & DVD発売決定!
2016年9月7日(水)Blu-ray & DVD 発売決定!
【Blu-ray】舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺 価格:¥ 9,800+税 品番:TBR26192D
【DVD】舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺 価格:¥ 8,800+税 品番:TDV26193D
◆仕様 2枚組 Disc 1:本編 Disc 2:ボーナスディスク
◆特典内容封入特典:ブックレット
特典映像:①バックステージ映像(稽古場、舞台裏) ②千秋楽カーテンコールなど
※特典内容・商品仕様は予告なく変更になる場合がございますのでご了承ください。
発売元:株式会社マーベラス 販売元:東宝株式会社