鈴木拡樹インタビュー/スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE ~さよなら絶望学園~ 2017|Theater letter 08

Theater letter──不定期連載でお届けする、好きなものだけ集めた、舞台からの手紙。

南の島で“コロシアイ修学旅行”再び!?

 

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 2017年3月から4月にかけて東京、大阪にて上演される「スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE〜さよなら絶望学園〜2017」の制作発表が11月30日、都内にて行われた。本作は人気ゲーム「ダンガンロンパ」の舞台化第2弾として、2015年に上演された「スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE~さよなら絶望学園~」の再演で一部新たなキャストを迎えて、上演される。
 物語は、 “超高校級”の才能を持つ高校生たちが 南の島で“コロシアイ修学旅行”を命じられ、幕を開ける──やがて起こる殺人事件。そこで語られる証言を互いに論破し続ける彼らは、果たして真実に辿りつけるのか?

 登壇したのは、横浜流星、ダンスボーカルグループ・フェアリーズの伊藤萌々香、井上正大、植田圭輔、伊波杏樹、高橋ユウ、お笑いコンビ・ニューロマンスのおにぎり、倉持由香、高野祐衣、中田クルミ、西洋亮、濱頭優、蜂谷晏海、山口真季、いしだ壱成、鈴木拡樹、神田沙也加、本作で新たに脚本・演出を手がける山本タク、振付のAKIHITOの、総勢19名。それぞれが役名とともにステージに登場、全員揃った姿は圧巻で、実に華やか。再演に向け意気込みを語った。

 シリーズ初出演となる、超高校級の極道・九頭龍冬彦役を務める植田は「本当に大勢の方にお越しいただきキャストの皆さまに囲まれて、改めてこの作品に出演できること光栄に思います。と、同時に皆さんドレッシーなのに、僕だけ原宿で買い物を愉しんでいる大学生みたいな格好で来て非常に後悔しています」と照れ笑い。「作品には精一杯、取り組みますのでよろしく願いします」と語り、思わず、キャストがその姿を覗き込む微笑ましい一幕も。

 

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 その植田と年明けに別作品で共演が決まっている鈴木は、前作に続き自身が挑む超高校級の幸運・狛枝凪斗について「前作のご挨拶の場所がここで、まさに『狛枝はキーパーソン』と言っていただき緊張したことが蘇りました。また、今回も狛枝くんに寄り添っていきたいと思います。
 緊張といえば、僕、(前作では)オープニングで全員の『超高校生級の……』と紹介することになっていて、それが舞台袖で待機しているときに本当に心臓が痛くて……今回も稽古場で共演する皆さんの『超高校生』を探っていくと思うので、どうぞよろしくお付き合いください。そんなふうにチーム作りも頑張って、ゲームファンの皆さん、舞台のファンの皆さんにも楽しんでいただける、いい作品を届けたいと思います」と思いを新たにした。

 

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役に寄り添うからこそ揺るがない

会見後、鈴木拡樹さんにお話を伺いました。

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──『スーパーダンガンロンパ2THE STAGE 〜さよなら絶望学園〜2017』でご自身がおもしろいと思っているところはなんでしょう。
鈴木:ダンガンロンパの魅力というのは、弾丸のように論破していくところで……って、そのまんまですが(笑)。でも、そのスピード感がとても舞台に合っていると感じています。
 登場するのも「こんな人っている?」と思うくらいにそれぞれが個性的なキャラクターですが、その論破されていく過程で、どんどんといろいろなものがはがされていく。結果、とても人間臭い……たとえばすごくイイヤツだったり、臆病だったり、優しかったり、あるいは黒かったりする顔が見えてくる。そういった人間ドラマがとてもおもしろい作品だと思うので、新たな発見も織り込んで行きたいと思います。

──ご自身が演じる狛枝もある意味、はがれるというか、見え方が変わっていくキャラクターではないかと。
鈴木:外側から観ていたらそうかもしれません。「二面性」という意味ではとてもやり甲斐がある役でした。でも、それは見え方であって僕のなかでの狛枝くんはまったく変わっていなくて、むしろ誰よりも揺るがずに自分の思いに対して真っ直ぐなんです。
 僕のなかでは役に「寄り添う」ということがキーワードで、誰よりも役に近い理解者でありたいと思っています。それらが自分の内に入っていれば「彼ならこんなとき、どうするのかな?」ということを生み出せるんです。僕自身は不器用ですが、役に寄り添うことはできるから。なので、たとえば稽古場で変更があっても、この人だったらどうするかな? と考えたら悩まずに動けるし、変更したことに納得がいけば台詞を発することはできます。

──そこを受けて、鈴木さんは己の内に「役」として生きる時間が流れているように感じます。なので、たとえば舞台の構成が過去と現在を行き来するような物語も、ご自身のなかの時が揺らがないので、そこを軸に観ることで迷子にならずに連れて行ってもらえる……という印象があります。
鈴木:あー……それは常にあります。自分のなかで時間の流れを作っているので、場面が変わっても、前後が入れ替わっても、その時点での役でいればいいから。なので、狛枝も、あるいはほかの役であっても、ぶれることなくそこに在れるんです。

──演じれば演じるだけ役に寄り添うことができるものでしょうか。
鈴木:はい。常に発見はあります。なので、今回はより狛枝の人生を見せたいんです。舞台という場所では構成や時間的に表現することは限られています。だからこそ、むしろ、なぜ「今」に辿り着いたのか、その「過去」を知ってほしいんです。
 再演だからこそ彼の人生をより掘り下げたいし、なぜ絶望学園のなかにあって、ああまで「希望」に執着するのか……そういったことも感じ取っていただけるよう演じたいです。

──その狛枝は2015年の初演「スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE〜さよなら絶望学園〜」で唯一、客席に降りて演じます。今回、新たな演出の方なので同じ場面があるかどうかはわかりませんが、あの瞬間、客席までを巻き込んでの狛枝の激白が空間を支配した……と感じました。
鈴木:舞台って限りなく3Dに近いんですよね。舞台上だけでなく、客席丸ごとが作品の空間というか。だから客席に降りるということは、観ているお客様ごといかに巻き込むか……ということで、そういう意味ではすごく大きな挑戦をさせてもらいました。ただ、同時にすごくデリケートなことでもあり、ともすれば作品の空気を壊しかねないことでもありました。
 なので、そういった挑戦をさせていただけたことは役者としておもしろかったし、とてもいいアプローチをさせてもらったと思います。今回、そういった演出があるかどうかはわかりませんが、もともと原作にあたるゲームは2Dなので、それをどう3Dで感じていただけるか? は、常に考えていきたいと思います。

──2016年も終わります。この記事をご覧の方々に年末のご挨拶をお願いします。
鈴木:今年もたくさんの舞台に立たせていただき、感謝しています……ありがとうございます。いろんな舞台に出演して感じているのは、今、「演劇」というメディアの裾野が広がっているのではないか、ということです。これは僕自身が目指していることで、同時に活力になっていることでもあります。もっともっと演劇が皆さんにとって身近なものであってほしい。あ、でも、別に皆さんに演劇をやってほしいということではないですよ(笑)。日常の選択のひとつに入ってほしいというか。気軽に観てほしいし、そうなるよう努力したい。
 来年もさまざまなジャンルの舞台に挑戦していきます。好きな作品はもちろんですが、興味を持っていただける、これはちょっと知らないけれど心惹かれると思う作品がありましたら、ぜひ劇場に足を運んでください。楽しんでいただけるステージを届けられるよう、僕自身も日々、精進して戦っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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というわけで、年の瀬、すてきな笑顔をここにお届け。

 

鈴木拡樹/ 1985年6月4日生まれ。大阪府出身。取材時、31歳。
オフィシャルブログ「拡言」「拡言」 http://ameblo.jp/kakugen-hiroki/

2016年11月30日、会見後収録。撮影・取材/おーちようこ 禁 無断転載

 

◎2017年3月16日〜26日で東京・Zeppブルーシアター六本木、3月30日〜4月2日で大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。
◎チケットは2次抽選先行特別受付中(S席のみ)。期間は12月24日(土)10:00 ~ 1月5日(木)23:59、一般販売は2017年1月14日10:00開始。
◎公式サイト http://www.cornflakes.jp/dangan/2017/

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