舞台『どろろ』鈴木拡樹さん百鬼丸ビジュアル撮影、最速レポ&インタビュー

 眩しい光があふれるスタジオの奥、真っ白なホリゾントの前、鈴木拡樹はたたずんでいた……マンガの神様「手塚治虫」が描いた未完の傑作「どろろ」を2019年1月にアニメ化、3月には舞台化、その両方で主人公「百鬼丸」に抜擢。話題を呼んだことは記憶に新しい。その、舞台のためのキービジュアル撮影現場の空気を写真とともにお届けする。

 

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 プロジェクト発表に先駆け公開された岩瀧智によるアニメキャラクターの百鬼丸、そのままに再現された姿がそこに在った。失われた己の四肢を取り戻す旅を続ける役だけに、刀の持ち方、構え方、動きそのものを自身のなかで想像しているのだろうか。スタッフがライティングの調整や撮影の構図を確認する間も、独り黙々といろいろな動きを試している。刀を右手、左手と持ちかえる。素足のつま先に力を込めて高く跳ぶ。ふいに、ぶん! と刀を振るう……その切っ先はカメラにも収まらないほどに速い。
「もっと跳べますか? ああ、いいですね……。今度は角度を変えて」
 カメラマンからかけられる言葉に次々と応え、装置で巻き起こる風に乗り、軽やかに舞う。瞬間、きん、と空気が凍るような険しい表情を見せ、気配が変わる。板の上ではないけれど、そこには確かに「百鬼丸」を演じる、ひとりの役者がいた。
 昼間から始まった撮影が終わったのは、とっぷりと日が暮れた頃。衣裳のまま、動画コメント収録に笑顔を見せる。その終了直後、最善席のためにインタビューの時間をいただいた。

 

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臆せず挑戦することで生まれるものがある

 

──撮影を見学していて感じたのは、カメラマンさんと役を創り上げていくセッションのような空間だったということです。ビジュアルから役のイメージを育てているというか。マントのなびき方を確認されたり、刀の構えの動きやさばきかたを休むことなく続けておられました。
鈴木:想像で動くことについてはわりと怖い部分もあります。まだ、わからないところで創り上げるので、実はあとから「ああ、こんなことはしないなー」みたいなことがあるとイヤだな……とは思うんです。
 でも、それを意識してしまうと縮こまってしまうな、と。守りに入った写真しか撮れないとなってしまうので、最近はあえて気にせず、挑戦するようにしています。そのほうがいろいろな表情を届けられるから。それは、お芝居も同じです。実際に幕が開いてからも「この役なら、そんなに低く構えたりしないな」とか発見するのかもしれませんが、今日は、あらゆる可能性を試してみた、という感じです。ただ、この撮影で刀を使った決めポーズを考えていったことで、新たにいくつか殺陣の動きを思いついたので、これから稽古で創り上げていきたいです。
──今日、初めて実際に衣裳を着ての姿が作品のキービジュアルとして世に出ます。といったことは意識しますか?
鈴木:この撮影が最初で、最初だけれどいちばん人目に届くものになる、ということに関しては、ああ、そういうものなんだな、と、この世界に入ってから知りました。だから、毎回、緊張はします。
 でも、じゃあ、着慣れているからいいのか? というと、そういう意味では先程の「挑戦」というものが減っちゃうかもしれない。もしかしたら、初めてだからこそ思い切った姿や、おもしろい画が撮れているかもしれない。なので、いつも、そういう気持ちで挑んでいます。
──今日は多宝丸を演じる、有澤樟太郎さんとの2ショットの撮影もありました。
鈴木:以前にご挨拶はしましたが、ちゃんと話したのは今日が初めてでした。お互いに緊張していましたが、2人での撮影ということで、緊張も分散されたかな、と思います。
 しゃべってみて、しっかりしてるな、という印象も持ちました。でも、あ、今、ちょっと気を抜いているかな、とか感じたり。大型犬みたいな可愛さもあって、これからの共演が楽しみです。

 

役者の「僕」を選んでいただいた意味を探す

 

──アニメ『どろろ』でも百鬼丸の声を演じます。
鈴木:自分でも思ってみなかった機会をいただけることで、最近、ちょっと考え方が変わったんです。以前は声のお仕事をいただくことで、あ、だったら声優としての勉強をしなくては、と思っていたんです。でも、「僕」を選んでいただいた意味を考えるようになりました。
──どういったことでしょう。
鈴木:それは「役者だから」ということです。声優としての資質を求めていたのなら、きっと声優の方がキャスティングされていたと思うんです。でも、僕を選んでいただけた。きっと、そこには僕だからできることがあるからだ……と。
 もちろん技術的なことは実際のアフレコ現場で真摯に学んでいかなければならないと思うんです。でも、「あ、ここは役者としては、こう演じるな」という瞬間があるのかもしれない。アニメは僕とどろろ役の鈴木梨央さんの2人の役者が演じさせていただくことになるので、その意味を見つけていける機会になるといいなと思っています。
──今年は、NHK Eテレ『マリーの知っとこ!ジャポン』でのコミカルや役どころといった新たな顔も見せていただきました。
鈴木:今、なにが正解かわからないことをとことんやってみよう、というのをテーマにしているので、ああいった機会をいただけるのはうれしいですね。
──さらに年末年始に、WOWOWのMC番組『2.5次元男子推しTV シーズン3』放送、舞台『木下グループ presents No.9 〜不滅の旋律〜』出演、『映画刀剣乱舞』公開とたくさんの姿を披露していただけます。
鈴木:ありがたいことです。いろんなところでの「僕」を観ていただけることで新たな発見をしてくださる方もおられると思いますし、初めて知ってくださる方もおられると思います。
 そこでもし、ご興味をもっていただけたら、やっぱり僕にとっては舞台が原点で、そこで、おもしろさを感じてこの世界に入ったので、ぜひ、一度、生の舞台をご覧になっていただけたら……そう、願います。

 

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鈴木拡樹 すずき・ひろき

1985年6月4日生まれ。大阪府出身。
2007年、テレビドラマ『風魔の小次郎』で俳優デビュー。08年、舞台『最遊記歌劇伝 -Go to the West-』で初主演。出演作には、ONWARD presents 劇団☆新感線「髑髏城の七人Season 月」、舞台『刀剣乱舞』シリーズなど多数。現在、舞台『木下グループ presents No.9 〜不滅の旋律〜』に出演、MCを務める「2.5次元男子 推しTV」Season3(WOWOW)放送中、2019年1月公開の「映画 刀剣乱舞」では舞台に続き、主演・三日月宗近役を演じる。

公式サイト https://suzuki-hiroki.jp/

撮影・取材/おーちようこ

 

舞台「どろろ」

演:鈴木拡樹/北原里英/有澤樟太郎/健人 影山達也 田村升吾 赤塚篤紀 児島功一/唐橋充 大湖せしる

原作:手塚治虫
脚本監修:小林靖子
脚本・演出:西田大輔

大阪公演:2019年3月2日(土)~3月3日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
東京公演:2019年3月7日(木)~3月17日(日)サンシャイン劇場
福岡公演:2019年3月20日(水) ももちパレス
三重公演:2019年3月23日(土) 三重文化会館大ホール

主催:舞台「どろろ」製作委員会

企画制作:エイベックス・エンタテインメント/Office ENDLESS

公式HP:www.dororo-stage.com
公式twitter:@dororo_stage

©手塚プロダクション/舞台「どろろ」製作委員会

アニメ『どろろ』公式サイトリンク https://dororo-anime.com/

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