風間俊介、岡本玲、伊礼彼方が紡ぐ、孤独と愛と救済の物語。 鴻上尚史の KOKAMI@network vol.22 『トランス』東京公演開幕。そして全国へ。

「私は他人である」
その妄想を、どう受け止めたら、よかったのだろうか。

 428日、東京・下北沢の本多劇場にてKOKAMInetwork vol.22『トランス』(作・演出:鴻上尚史)が幕を開けた。本作は初演から33年、これまでに全国の数千もの演劇団体が上演したという代表作のひとつで、鴻上尚史による国内上演は実に21年ぶりとなる。

撮影:田中亜紀 文:おーちようこ

 

初日の幕は、演劇の街、下北沢から。
この後、静岡・岡山(津山)・大阪・愛媛・石川・新潟・神奈川(藤沢)・広島・兵庫・北海道(札幌・帯広・北見)と全国を巡る。

【公演情報】

公式サイト https://www.thirdstage.com/knet/trans/
今日、観たい! という人のために毎日、当日券を用意。
詳しくは 公式X@TRANS26knet にて。

本多劇場での公演は、本作出演の風間俊介が主演を努めた初演(2015年)、再演(2017年)の男女4人が織りなす物語『ベター・ハーフ』以来。
『トランス』に登場するのはフリーライターの立原雅人(風間俊介)、精神科医の紅谷礼子(岡本玲)、ゲイバーで働く後藤参三(伊礼彼方)の3人。ある思いから偶然に高校の屋上で出会い、卒業を機に離れた彼らは、再び集うこととなる。
この関係を、ひとつの言葉で定義するのは難しい。
知り合い、友だち、恋人、親友、あるいは、医者と患者。
けれど、どんな名前が付けられようとも、きっと、その関係は変わらない。変わらないでほしい、と願う。

「本当の自分」を探す妄想に取りつかれ、狼狽する風間俊介の、くるくると豹変する姿に驚き、心がざわつく。
嫉妬で胸かきむしられながらも陽気にふるまい、朗々と歌声を披露し、笑い続ける伊礼彼方の健気さに泣き笑いしてしまう。
自身の悩みを抱えながらも職務に忠実であろうする岡本玲の痛々しさと凛々しさに共感する。
おそらく、観るものは誰かしらに自身を重ねることだろう。

 

 

国内での上演は21年ぶりだが、その間の2007年にロンドンで上演されている。
1997年にロンドン留学の経験を持つ鴻上氏が、実験的に行ったリーディング公演を経て本公演を実現。「観たい!」という日本の演劇ファンの声に応え、氏が所属する「サードステージ」が観劇ツアーを企画。もちろん、申込み参加した。
現地の俳優をキャスティング、全編英語での上演ではあったけれど、表情や声のトーン、そのニュアンスで三人の混乱と関係の再生と、その先へと続く未来への片鱗を、異国の地で受け取ったことを覚えている。
1993年の初演から、33年。
その間、社会は大きく変わり続けているが、おそらく人が抱える孤独は変わらず、ともすれば深まっているかもしれない。だからこそ、この普遍さを描いた本作は、2026年の「いま」、改めて響く物語であり、これからも生身の俳優によって上演され続けていくべき戯曲だろう。

当時の鴻上氏の奮闘が伝わるブログはこちらから。
【鴻上尚史の『TranceBLOG

 

 

初日を迎えてのコメント到着!

鴻上尚史さん/ 作・演出

新しい『トランス』が、誕生しました。立原雅人役の風間俊介こと風ポンは、妄想を持ってしまう男の不安と狂気、そしてダジャレ好きのお茶目な一面を見事に演じています。紅谷礼子役の岡本玲ちゃんは、意思が強く、それでいてチャーミングな紅谷そのものになっています。後藤参三を演じる伊礼彼方は、全身が参三となり、稽古場からずっとワオワオと吠え続けています。新しい『トランス』です。これからの『トランス』のスタンダードに間違いなくなるでしょう。

 

風間俊介さん/ 立原雅人

舞台『トランス』が開幕します。
稽古を重ねる程、今までこの作品が人々を魅了し続けた理由が分かります。 人間の根幹にある『自分は何者なのか』という問いを、優しく美しくユーモラスに描くトランス。 僕らが演じる2026版以降も、多くの役者が演じるであろうトランス。 今の時代にしっかり刻めるように、これからの人々にバトンを渡せるように演じていきたいと思います。 劇場でお待ちしています。

 

岡本 玲さん/ 紅谷礼子

舞台『トランス』が開幕いたしました。無事に初日を迎えられたこと、そしてたくさんのお客様にご観劇いただけましたこと、心より感謝申し上げます。
上演が始まり最初の一言を発した瞬間、「ああ、憧れだった本多劇場で『トランス』の台詞を発している!」と、緊張とはまた違う震えを感じました。
作品は、お客様に届いてこそ育っていくものだと感じています。この舞台が、あなたにとってのわたしのトランスとなることを願いながら、6月北海道での大千穐楽まで、一公演ずつ大切に歩んでまいります。劇場でお待ちしております。

 

伊礼彼方さん 後藤参三

開幕しました!!
今日まで多くの関係者に「トランスやるんだ!」「俺の青春だよ」「私大好き」など声をかけてもらった。その言葉たちを受けて、セリフ量・エネルギー量ともに稽古を重ねながら
「名作と言われる戯曲にはその理由があるのだなぁ」と実感する日々でした。
人の共演者も化け物級なのでこれまたハードルが上がるわけで。
助けられながら甘えながら参三として2人に届けられる思いは余すことなく放出しました。
鴻上さんの書く言葉は繊細であり大胆であり、分部的に僕の頭では理解できない箇所も多々ありますが、その時々で刺さる言葉が日々変わるのは不思議です。
引退間近の舞台監督とも数年ぶりにご一緒できて、総合的に僕にとってこの作品は集大成。
ここで演劇人生が終わっても悔いのない心境です。
2026年版トランスがあなたの人生の一部になったらこれほど嬉しいものはありません。
楽しんでください!!
感謝。

 

 

PAGE TOP