空手の道から海外放浪、無職の三十路から大衆演劇に飛び込んだ「天夜叉」って何者だ!?

本日、お届けするのは、大衆演劇シリーズ第二弾。第一弾、橘小竜丸劇団鈴組の橘鈴丸さんインタビューに続き、フリーで活動する天夜叉さんの登場です。

saizenseki20210315

撮影:為広麻里
レポート:見野歩
インタビュー:おーちようこ
協力:立川けやき座

 

劇団『双竜』座長の心意気によって開催
一日限りの『天夜叉祭り』レポをお届け!

 

saizenseki20210315

 

ここは2015年8月に開館、大衆演劇という伝統文化を発信する、立川けやき座。本日昼公演で開催されるのは『天夜叉祭り』!? 果たして、それはいったい何なのか……全力でお伝えしたく、その魅力の一端をご紹介!
2021年2月。今月、公演を打っているのは、2018年に九州で旗揚げされたばかりのフレッシュな劇団『双竜』。そこにゲスト出演中の天夜叉さんが放つ、とびっきりの特別公演のレポをお届け。とくとご覧あれ!

まずはトップショー、赤い番傘の中から登場したのは白地に浮世絵柄の着物、櫛にも簪にも名前を施した優美な姿の天夜叉さん。女形でたおやかに舞う姿から、醜女、般若と面を変化させつつ、自在に場の空気を操り、序盤からすっかり天夜叉ワールドへ吸い込まれてしまう。
続けて、双竜英次郎座長の華麗な舞でステージが引き締まったところで、衣装を変えた天夜叉さんが再び登場。朱色の長襦袢に煙管をふかし、双竜若手二人の立役(男役)相手に男に翻弄される女の愛と哀しみを表現したかと思えば、最後は座った椅子ごと舞台袖へとはけるはずが、その重さ(?)からか、素に戻ってあたふたする二人。そんな彼らを尻目に涼しい顔の天夜叉さん、最後は椅子から転がり落ちて客席を沸かせる。予想のつかない展開が繰り広げられ、客席も共演者もハラハラドキドキさせられてしまう。
魅せるところと、笑わせるところ、何とも言えない天夜叉さん独特の配分で進行してゆくのが心地よい。一人ではもちろん、双竜座員を引き立てながらも常にお客さんを楽しませる心憎い演出が光る。最後に今度は真っ青な洋装で登場!? いったい自分は何を見せられているのか……なんてことは考えず、ただひたすら目の前で起こることを五感で感じて楽しめばいい、そう突きつけられているような気持ちにさせられる。

saizenseki20210315

saizenseki20210315

saizenseki20210315

休憩をはさんでの第二部は、お芝居。
演目は「鉄と万太」。兄弟愛をテーマにそれぞれの思いが交錯する現実の厳しさを描いた、悲しくも心温まる物語。2020年2月福島県のカッパ王國にて劇団『双竜』へ初めてゲスト出演した際に好評を博した演目ということで、じつに1年ぶりの再演、英次郎座長とのタッグとなった。難しい役どころの弟・万太を天夜叉さんが、兄・鉄を英次郎座長が熱演。台詞外であっても気を緩めない芝居、場を転換させる際の絶妙な間合い、そして流れを邪魔しない程度に箸休め的な笑いの要素が散りばめられるも、後半の山場では客席のあちらこちらからすすり泣きの声が響いてくるほど感動に包まれた。

saizenseki20210315

saizenseki20210315

そして、いよいよラストショー。早速、紫の大髷鬘姿の天夜叉さん登場! キラキラと光る長ーい煙管をさらりと回し、迫力の大番傘を背負っての舞い。高身長で見栄えのする天夜叉さんが大振りな小道具を駆使する姿は圧巻。
続いて登場した時には鯔背な立役姿。大衆演劇の役者にとって個人ショーでの選曲も大事な要素のひとつだが、伝統的な曲調から一転アレンジの効いた曲へと変化しながら融合してゆく天夜叉ワールド。
変わって現われた美麗な女形の英次郎座長のしっとりした舞いに寄り添う、旅笠姿の天夜叉さん。そこから流れを軽やかにする若手の舞いを挟んだところで、間髪入れずに和装でキックスケーター!? に乗って登場する天夜叉さん(笑)。軽快な曲に和装でキックスケーター。ありえない組み合わせも天夜叉さんの手にかかれば自然と「そういうもの」という気持ちになってくるから不思議。
続く若手も小メガネ男子で登場するなど遊び心を加えて華を添える。そして、天夜叉さんは一転黒装束。キリリとした偉丈夫を見せつけるが、扇子さばきでちょっとした存在感を示すことも忘れない。
英次郎座長の格好よく、時に可憐さ、時にセクシーさが織りなす姿を経て、若手を引き連れてのツッパリ風鬘の天夜叉さんが現われ、自身のキャッチフレーズでもある「わっしょい」と描かれた着物で全員弾け飛ぶ! 英次郎座長はパンチパーマにヒョウ柄の出で立ちで合流。おもむろに持ち込まれたミニトランポリンを順にジャンプしながら、花道も舞台の隅々までも縦横無尽に走り回る役者陣はじつに楽しそう! 拍手喝采、泣いて笑った客席も巻き込んで、大フィナーレを迎えた。

saizenseki20210315

saizenseki0315

saizenseki20210315

saizenseki20210315

「天夜叉祭り」の名にふさわしい、その場にいる全員を笑顔にさせる、唯一無二なエンターテインメントがここにあった! ぜひとも実際に劇場へ足を運んで体感してほしい。
そして、こんな特別公演を叶えてくれた劇団『双竜』はしばらく関東圏での公演が続く。またいつか、この組み合わせでの公演があることにも期待したい。

 

saizenseki20210315

saizenseki20210315

 写真上:「劇団双竜」双竜英次郎(座長)
 写真下:奥左から 双竜来桜 双竜太星 双竜巧磨 双竜和也 酒井えりな
          手前左から 双竜英次郎 天夜叉

 

天夜叉

Twitter @4rOiclsWQWhQQ8l 
2021年3月は、埼玉県「吉川ゆあみ座」にて劇団美松さん公演へ出演中。3月20日(土・祝)「天夜叉祭り」開催予定!

劇団『双竜』

劇団冨士川、梅田劇団で経験を積んだ双竜英次郎座長が、2018年7月に九州の熊本県にある片岡演劇道場にて旗揚げしたという若手中心のメンバーで構成された劇団。主要メンバーの舞踊時にタペストリーがライトアップされるため、初見でもどなたの演目なのかわかりやすくて非常に親切。
2021年3月は、埼玉県「川越湯遊ランド・ホテル三光」にて公演中。

立川けやき座

Twitter @keyakiza
公式サイト https://t-keyakiza.com/
立川駅北口より徒歩8分、舞台や花道が見やすい客席で、通路や席間も広々。月替わりの劇団公演をゆったりと観劇できる。現在は休憩中は客席の扉を開いて換気するなど感染防止対策を行いながら公演中。2021年3月は見海堂劇団が公演中。
〒190-0012 東京都立川市曙町1-36-1
電話 042−512−5057

saizenseki20210315

 

天夜叉さんインタビュー

大衆演劇との衝撃的な出会いでした

 

saizenseki20210315

saizenseki20210315

 

──天夜叉さんのご紹介をすると、現在、43歳。30歳で大衆演劇の世界に飛び込み、劇団に所属することなくフリーで活動されています。

天夜叉:実は、自分が「フリー」と呼ばれる存在だと知ったのは活動を始めてからだいぶ経ってからなんです。

──どういうことでしょう。なによりもまず、この世界に飛び込んだきっかけが気になります。

天夜叉:実は……無職だったからです。いろいろあってふらふらしていたときに通っていた飲み屋のママさんが「仕事しなさい」って言ってくれて。ママさんが関わっていた劇団の公演の手伝いに誘ってくれたんです。面白そうだと思って、右も左もわからないまま稽古場に通って演出助手として手伝いをしていて、いざ、本番の当日のことでした。
 芝居は現代ものだったんですが、その後に舞踊ショーがあって。「舞踊ショー?」って思っていたら、いつのまにかものすごく美しい着物の女性が控えていて「こんなきれいな女性、いたかな……今晩、飲みに誘おうかな」とか考えながら(笑)、客席通路から登場するために扉を開けようとしたら「お願いします」って言った声が男の声で……まさかの、稽古場でずっと見ていた、主演の男性だったんです!
 
──それが初めての大衆演劇との出会いに?

天夜叉:そうです。あまりにもびっくりして、でも、自分も演りたい! って思っちゃって、すぐに社長につないでもらってお願いしました。

──それがもうおもしろいです! 常々、人前に立つ道を選んだ方について尊敬を込め、常軌を逸していると思っていて。

天夜叉:それはもう、そうです! まちがいなく、そう(笑)。

──でも、実際に飛び込んで、現在に至っています!
 もともと、人前に立つことが好きだったのでしょうか?

天夜叉:いえ、それまで芸事とはまったく関わりがありませんでした。でも、自分もあんなふうに美しい姿になって人前で演じてみたい、と思ったんです。

──そもそも、なぜ、その時点で働いていなかったのか気になります。

天夜叉:もともと実家は空手の道場だったんです。だから物心ついたころから当たり前のように空手を習っていました。でも、道場を継ぐ気はなくて、中学時代はばりばりグレてました(笑)。
 でも、試合には出場していました。それから大学に進学し、続けることになりました。

──そこは真面目に続けていた?

天夜叉:はい。ただ、結局大学を中退して店を始めたんです。

──それはおいくつのときでしょう

天夜叉:20代の前半ですね。それからなんだかんだで5年ほどやっていて。でも、ちょっといざこざが起きたりして(笑)。全部、いやになって27歳のときに思い立ち、アメリカに行ったんです。

──なぜ、アメリカへ?

天夜叉:戦争で日本に勝った国を見てやろうと思ったんです。ただ、特に期間も決めていなかったので行きと帰りの航空券だけ買って、まずラスベガスに行きました。英語も話せなかったけど、なんとなるだろう、って思って。でも、広かったですね……折り畳み自転車を持っていったんですが、自転車で回れる距離じゃなかった! 馬鹿でしたね(笑)。

──その発想がすごいです。お話を伺っていると、思い立ったらすぐ行動。怖いもの知らずです

天夜叉:いえ、怖いものは怖いですよ。ただ、何をやっても人に負けないと思っていて、立ち向かってみないと相手が強いかどうかもわからないから。気になったらすぐに飛び込むし、海外でもちょっと気になったら声をかける。だから度胸はあると思います。
 カッコいいギターを背負っている人を見かけて「どこで買ったんだ?」って身振り手振りで聞いて、実際に8時間、バスに乗って買いに行って自分も背負ってみたり(笑)。YAMAHAの品ですが、60$で買ったと聞き、自分はそれよりも安く買ってやろうと決めて、交渉の末、58$で買ってやりました。そのギターは今も持っています。(その旅のブログはこちら!)

──好奇心の塊で行動力が半端ないです。その心意気のまま、大衆演劇にも飛び込んだ?

天夜叉:はい。もちろん飛び込んだからには本気でやろうと決めて。でも、なんの基礎もないままに踊りや振り付けを見様見真似でやっていたから、ものすごく苦労しました。

 

saizenseki20210315

大きな声で言わせてください
「今も下積みです」

──それが30歳のとき?

天夜叉:はい。正確に言うと、誕生日が6月6日で31歳になる一ヶ月前、5月のことです。

──初舞台は覚えていますか?

天夜叉:もちろんです。忘れもしません。金沢のおぐら座さんで6月の1カ月間立たせていただきました。
 ただ、それは本当に端っこに立っているだけ……みたいな出演でしたけど。だから、もっと知りたいと思って、そのままこの仕事を続けていく方向で話を進めて、お願いしました。それで、初舞台からの1年のほとんどは、おぐら座さんで舞台に立たせていただいたんです。

──やはり、その行動力がすごいです!

天夜叉:いえ、本当に何も知らなかったので。毎月、ちがう劇団の公演に参加出演させていただき、日にちが経つにつれ、だんだんとできることも増えていって。ようやく外に出ようと思えて、翌年には明治時代からある芝居小屋に立たせていただきました。そこから、自分は師弟関係を持たずにいろいろな現場に出演させていただいてます。

──そこで、ご自身がフリーだと気付いた?

天夜叉:はい。四国を回っていて、香川県の劇場で応援してくださっていたお客さまが「来月もこの劇場で観たいから、来月公演の劇団にゲスト出演してほしい」と言ってくださって。
 ゲスト出演ってなんだ? と思っていたら、その方が劇団と話してくださって、出演している劇場の休演日に伺うことになり……そこで初めて、ゲスト、という出演方法がある、ということを知り。どうやら「フリー」という形があって自分はそれに近いらしい……と知りました。さらに、そこの座長さんがものすごくお芝居がうまくて、歌も夜のトークもうまい方だったのでもっと勉強したくて、その後も休演日には伺っていました。

──勉強熱心かつ義理堅いです。30歳最後の月に志し、31歳の誕生日前に初舞台、続けての修行、様々な劇団に出演。お客様から「観たい」と請われゲスト出演と実直な下積みが実ったのではないでしょうか。

天夜叉:いえ! これは大きな声で言わせていただきますが、今も下積みです。
 自分は遅くにこの世界に入りましたので人の十倍、努力しなければならないんです。生まれたときからこの世界にいる方々よりも遥かに覚えが悪い。だから、口立て(台本がなく口頭であらすじだけを伝えること)の脚本も、一度、自分で書き起こして、何十回と読み込みます。

──とはいえ、舞台上では軽妙な時事ネタや掛け合いが繰り広げられています。

天夜叉:即興もありますね……アドリブも……楽しんでやらせていただいてます。

 

saizenseki20210315

天夜叉らしさ、ができるまで。

──現在の「天夜叉」がどう生まれたのか?が気になります。実は昨年末に橘小竜丸劇団鈴組さんのゲスト出演で初めて観ました。続けて1月の劇団美松さん、2月の劇団双竜さんの公演ともに劇団の色に寄り添う姿に驚きました。

天夜叉:そう言っていただけるとうれしいんですが……でも、最初はただ形をなぞっているだけだったんです。この世界に入ってすぐのことですが、初めて一曲全部、踊れることになって。振りを付けていただいたんです。でも、いざ舞台に出たら「頭が真っ白になる」ってこういうことを言うんだな……っていうくらい真っ白になって。どうにか、動きましたが、今思えば全然ダメだった(笑)。
 たぶん2年間くらいは単に振り付けの順番だけを覚えて、正確に動くことだけに必死になっていたと思います。それは舞踊もお芝居も。だから、ひとつ段取りが狂うと一気にダメになる……。

──そうではない、と気付いた?

天夜叉:はい。続けるうちに親身になって教えてくれる人にも出会えて……たとえば「手の指を全部そろえて親指をきれいに折り曲げて手の甲をそらす。そういった心がけひとつで見え方が全然ちがうよ」と。それで実際にやってみたら、本当にちがっていて!

──そこから自分らしさを追いかけるように?

天夜叉:いえ、まだ、そこまで頭が良くなくて……とりあえず、他人に聞くのをやめたんです。

──どういう意味でしょう?

天夜叉:ずっと親しい先輩や応援してくれるお客さんといった、自分に甘い意見を言ってくれる人、狭い世界だけで相談していたんだと気付いたんです。でも初めて、今、自分がどう見えているのか? を意識するようになりました。身長が180センチある身で女形を演じるなら、どう見せたらいいんだろう、と自分で考えるようになったんです。
 さらに、じゃあ自分にあっているものはなんだろうと探すようになりました。それまでは、流行っているからこの曲で踊っていたので。探すうちに、だんだんと自分の好きなものも見つけられて、この曲で踊りたいなとか、ようやく考えるようになりました。そうしたら曲にあわせて踊る、ということについても考えるようになって。振り付け通りに踊るのではなく、歌詞に沿って哀しみや喜びを表情や全身だけでなく指先の動きといった細かいところまで見せることができるのではないかと気付いて……。
 
──知っていく、ということがすてきです。実際に曲調や歌詞にあわせた仕草や表情で、より一層、歌の世界も際立つというか……。

天夜叉:そう感じていただけたなら、目指しているところなのでうれしいです。人と比べることがなくなった分、自分が好きなもの、いいと感じるものをもっと知ろう、取り入れよう、と思うようにはなりました。それで、衣裳や曲、演目を決めるようになっていって、ようやく自分の世界観を創れるようになったというか、考えられるようになりました。

──考えるときに心がけていることはありますか?

天夜叉:ひとつ挙げるとしたら、疑う、ということです。ずっと扇子で舞うのが定番な踊りがあったら、ただ、なぞって扇子で踊るのではなく、なぜ定番になったのか、扇子以外の小物を持つことができないのか……といったことを考えることで可能性が広がりました。

──その賜物が、ゲスト公演先で開催される「天夜叉祭り」なる特別公演です。

天夜叉:これは、もう呼んでいただいた劇団座長さんのご厚意で演らせていただいています。なので、ゲスト先で必ず上演する、というものではありません。だから演らせていただくからには全力を尽くします。
「天夜叉」を少しでも感じていただきたい公演なので、曲も衣裳も演目も構成も考え、振り付けもさせていただきました。大衆演劇のなかでも流行り廃りがあって、同じ曲を舞うのでも、天夜叉らしさ、を込めています。あとは通常舞台に持ち込まないようなミニトランポリンを花道に置いたりとやんちゃもしますが……。これまで怪我人は出ていません(笑)。

──天夜叉カラーを全開にする芸のすべて、あるいは丁々発止のやりとりは観客を楽しますだけでなく、劇団さんにとっても刺激となっているのではないでしょうか。

天夜叉:そう言っていただけることはうれしいですし、本当にそうだったらいいな、と思います。

──ちなみに「天夜叉」というお名前は?

天夜叉:自分で考えて付けました。実はずっと本名で出演していたんですが、その道の方に「よくないよ」と言われて……「本名で出て、芝居で何回、斬られたり、死んだりしてるの?」と言われ。そうか、と思って。そこから自分なりに考えて、この名前になりました。自ら名付けたことで、より自覚が生まれたというか、一層、思いきったことができるようになりました。

saizenseki20210315

人生に於いて、芸の道を選んだ
そう言えることできました

──思い切って飛び込んだ世界ですが、人生の選択として「続ける」と覚悟した瞬間はあったのでしょうか?

天夜叉:はっきりとあります。ずっと酒が好きだったんですが、ある出来事をきっかけに、すっぱりとやめました。それからは、舞台の時のオンとオフをきっちりと切り替えることができるようになったんです。わかったんですが、飲んで舞台に立つよりも、飲まないで立つほうが気持ち的にも演技的にもずっとよかったんです。
 あと、煙草と女もやめました。それまでは舞台袖でずっと吸っていて、今は自粛でやっていませんが、送り出し、といって公演が終わった後、お客様をお見送りするんですが、そのときに煙草臭いといったこともなくなりました。なによりも、これらをキッパリ断ったことで「芝居がいちばんです」と胸を張って言えるようになったんです。

──すてきです! 腹をくくって、この世界で生きる、と決められた、ご自身の先の目標をお伺いします。

天夜叉:よりたくさんの方に観ていただけること。あとは、いろいろな方をお誘いして、まずは「天夜叉公演」を一ヶ月、したいです。

──天夜叉公演! 観たいです。

天夜叉:大衆演劇は衣裳も舞踊ショーも芝居も、一ヶ月公演の間、昼夜、毎日変える……というとんでもない世界ですが、でも、それがおもしろい。さらに役者としての最後の公演に新宿の紀伊國屋ホールで一人芝居を打てたらいいな、と。実はもう構想はあるんですが、これは観てのお楽しみです。

──楽しみにお待ちします。最後に一言、お願いします。

天夜叉:いろいろとお話させていただきましたが、これからも、舞台上で真剣に全力で真面目に遊んで巫山戯(ふざけ)て、たくさんのお客様に天夜叉という存在を知っていただき、愉しんでいただけるよう精進します。

saizenseki20210315

決して奢ることなく、芸事と向き合う、真摯な姿がそこにはあった。
2021年2月21日(日) 立川けやき座にて収録

 

大衆演劇が気になる、という方へ!

初めての方に、大衆演劇用語集など読み応えもたっぷり。
大衆演劇総合情報 公式サイト http://0481.jp/

各劇場にて販売中。サイト内での劇団おっかけリストも充実。
旅芝居専門誌「KANGEKI(カンゲキ)」 http://e-kangeki.net/

 

PAGE TOP