小倉の街を応援したい──中村勘九郎さん、七之助さんの熱い思いから「平成中村座・小倉城公演」今年11月、再び!
6月26日、都内で行われた会見で、中村勘九郎さん、中村七之助さんが今年11月、4年ぶりに北九州市での歌舞伎「平成中村座」公演(当サイトの4年前の記事はこちら!)に向け、意気込みを語った。当日は松竹の山根成之取締役副社長、博多座の貞刈厚仁代表取締役社長も登壇し、北九州市制60周年の今年に開催する意義と地元の熱意を述べた。
「平成中村座」は、江戸時代の芝居小屋を現代に復活させた歌舞伎の公演で、2000年、東京は墨田公園で誕生。これは十八世中村勘三郎の「江戸時代の芝居小屋を現代に復活させ、多くの方々に歌舞伎を楽しんでいただきたい」という思いを継ぎ、国内だけでなくニューヨーク公演も果たし、今回で実に32回目の開催となる。
場所は、小倉城を中心として広がる小倉北区の勝山公園の一角。昨年2度の火災に見舞われた旦過市場にも近く「前回の小倉公演では、街の人達にたくさん応援してもらったので、とてもショックでした」と勘九郎さんは思いを明かす。さらに「悲しい気持ちでいっぱいですが、前に進むための手助けをしたくて、期間中にチャリティイベントを行うことを決めました」と平成中村座として初の試みも発表された。当日はトークショーと『映画 中村勘三郎』上映会を予定、売上はすべて旦過市場の復興のために寄付されるとのこと。
気になる公演内容は毎回、その土地ならではの演目が用意されるが、今回は昼の部に「義経千本桜 渡海屋・大物浦」「風流小倉俄廓彩(ふうりゅうこくらにわかのさとのいろどり)」、夜の部「小笠原騒動」が上演される。中村橋之助、中村福之助、中村歌之助の3兄弟といった若手の起用も注目だ。
歌舞伎公演にくわえ、公演チケットがなくてもテーマパークのように楽しめる、長屋(テナント出店)も併設。2019年、初小倉公演では“二十軒長屋”だったが、今回は新規店舗も加わり“三十軒長屋”になるというから、うれしい。
──地元の方々はもちろんですが、遠方から駆けつける方々に向けても、コメントをお願いします。
勘九郎:小倉は北九州芸術劇場もあって、おもしろい作品を上演している土地なので、そういった地で公演ができることがとてもうれしいです。地元の方はもちろん遠方からも遊びにいらしていただけたら、いろいろと楽しんでいただけると思います。
七之助:どの演目も楽しんでいただけると思いますし、なんといっても小倉のお客様はパワフルで、エネルギッシュです。街の方たちは本当に暖かくて、気さくで、毎回、出待ちの方がたくさんいて、思わず勘違いしてしまいそうになりました(笑)。
その方々と一緒に、盛り上がっていただけたらうれしい。前回も大立ち回りで、毎回、こちらが驚くほどでした。その空気を一緒に感じてほしいです。
──二十軒長屋が今回は三十軒になります!
勘九郎:前回もですが九州のいろいろな職人さんが集まってくださいました。今、職人というか「作る人」たちが減っていて。でも、その方々がいないと僕らの仕事は成り立たない。ここはそういった文化を見ていただく場でもあり、演目にちなんだ販売物も多いので、ふらっと遊びにきてほしいです。
七之助:チケットがなくても、公園で過ごしていただくこともできます。
勘九郎:そう。中村座は特設劇場なので、音漏れがすごい!(笑) なので周りでも充分、楽しんでいただけます。
七之助:舞台の後ろが開く演出もありますし。
──劇場の後ろが開く演出、といえば、2023年5月の「姫路城世界遺産登録30周年記念 平成中村座姫路城公演」でも外におられるお客様に向かって、客席全員で鯖売の掛け声をかける、という演出に驚きました。
七之助:ものすごく迷いましたが、これは、ある意味、挑戦の演出でした。歌舞伎、というのは世の中に問う、というものでもあるので、お客様と一体となって楽しむことができました。
今回も奥が開く演目もありますし、花火もあると聞いています。だから、平成中村座ってお祭りなんですよね。お客様が心から楽しんでいただけるよう、そのためだけにいろんなことを考えています。
勘九郎:平成中村座はお声がけいただけたら、どこにでも行ける、行こうという気持ちがあります。なので、いつでも待っています。自身はもちろん、若手がどう成長したか? を観ていただく場でもあります。どうぞ、楽しみにしていてください。
平成中村座 小倉城公演
公式サイト
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/other/play/828