「ここは秘密の花園『高河ゆん40th Anniversary Exhibition』に寄せて」紅玉いづき寄稿原稿、展示会レポートとともに。
高河ゆん画業40周年
その軌跡がここに
当サイトのロングインタビューに登場いただいた、高河ゆん氏の展示会レポートと氏を敬愛する作家・紅玉いづき氏による寄稿原稿をここにお届けする。

あなたの「高河ゆん」は何処から?
届けられた美しい祝祭の花々が並ぶなか、その空間へ一歩、足を踏み入れる。待っていたのは、あたたかく真摯に私たちを迎える自身の言の葉と今回のために、描き下ろされた『アーシアン』の、ちはや、影艶。『LOVELESS』の青柳立夏、我妻草灯(もう、この名前からして愛おしい……)のパネル。
そして、自身の生い立ち、まんがとの出会い、執筆活動のはじまりからプライベートな人生の節目、節目のできごとまでが掲載された来歴と折々に創られた数多の同人誌が整然と並ぶ。
そう、高河ゆんは同人活動をこよなく愛する漫画家でもあるのだ。
おそらく、その当時から彼女を知る人は多い。
もちろん、その後、つづられた物語に魅せられた人も多いだろう。
ここにはその総てがつまっていた。
今回、集められるだけ集めた、という原画の数々には、一言ずつコメントが添えられている。語りかけるような、その思いをひとつ、ひとつ追いかけるだけでも、あっという間に時間が過ぎていく。
モノクロの生原稿はもちろんのこと、カラー原画も数多く。
等身大ものサイズにまで拡大して、なお美しい絵の数々に圧倒される。
現在、作画はデジタルに移行しているが、今もなお変わらずに美しい筆致は自身がずっとペンを握り、描き続けたことの証しだろう。
代表作とされる『アーシアン』『源氏』はもちろんのこと、これまでに紡がれた数々の作品の生原稿も展示されている。この夢のような空間で「私はこの作品で、高河ゆん、と出逢ったのだ」と、ひととき、ひたってほしい。
もちろん今回、初めて知る! という読者にとっても、きっととてつもなく心躍る機会となるだろう。
高河ゆん、という物語はいつでも読者を待っているから。
撮影:文/おーちようこ






ここは秘密の花園
『高河ゆん40th Anniversary Exhibition』に寄せて
寄稿 紅玉いづき
「みんな泣いてる」
『高河ゆん40th Anniversary Exhibition』初日午前の前売り券を取り、震えながら駆け込んだ友人から来たメッセージ。それはそうだろう、と私は思った。「みんな泣いてる」これよりも、端的な、この展示会の感想はないだろう。みんなが泣いている。高河先生が、あの日の、秘密の花園に、そうっと招いてくれたから。
私と高河ゆんの出会いは──かなり変則的ながら、私という人生にはあまりに当然でもある……雑誌『Cobalt』紙上に連載されていた、『源氏』の小説版だった。と、内覧会、若木未生先生に囁いたら、「それはまた……」と驚いた顔をされた。そう、入り口はいろいろなところにある。私にとっては高河ゆんは、『源氏』というあの美しい線であり、『シャルルに捧げる夜想曲』の挿絵だった。シャルルの文字は、本会の圧巻の年表にも! 布団にかぶって小説ばかり読んでいた、それしか許されなかった文学少女でも開けられる扉がそこにはあった。
そしてそれから、若木先生の『ハイスクール・オーラバスター』のキャラクターデザインを手がけられ、私も先生の漫画を読みあさり、紆余曲折を経て私は作家になり……いつしか、企画合同誌『少女文学 第六号』の装画をなんと高河先生に依頼することにもなった。
『少女文学』は、「わたしの愛した少女小説」を基軸に、各号のテーマを決め、現役作家を中心に編纂をする。高河先生に来て頂いた第六号テーマは『少女×相棒(バディ)』。私はその巻頭作品として、「秘密の花園」の話を書いた。
私の人生には、あまりにもったいなく、奇妙な縁を、高河先生は「友情」と簡単に言ってくれる。
多くの人にとって、高河ゆんというのは、多分高河ゆんの漫画を読んで来なかった人にとっても、「神様みたいな人なんでしょう?」と言われる、その通り、神様みたいな人だけれど、40周年展、本当に心地よい、神様の無邪気な遊び場であり……やっぱり、「秘密の花園」だと感じた。
高河ゆんの漫画には「秘密」がある。これは作中のエピソードとしての秘密ではなく、もっと、受け取る「私達」の側の秘密だ。そして、高河ゆんの漫画が、秘密そのもの。
高河先生はこの40周年展で、小さく、こっそりと教えてくれる。神様なのに。原画の前に立つ私達に、古くからの、友達のように、そっと、語りかけてくれる。照れくさそうに、少し陽気に。
展示を見ながら、思う。やっぱり先生は、当時先生の漫画を読んでいた、私達みんなに、「友情」を感じているんじゃないだろうか。いや、もしかしたら、高河ゆんの漫画を読まなくたって、漫画を好きだった、すべてのみんなに! そうじゃなかったら、こんなにも、欲しいものしかないグッズのラインナップなんて出来ないだろうし。
だからきっとみんな、泣いてしまうのだ。
40年という月日、間違いなく、偉大な漫画の歴史があって、そしてここからまだ「高河ゆんの未来」が続いていくのだろうと教えてくれる展示だった。
ここはきっと、秘密の花園。
あなたに秘密を、囁いてくれるだろうから、一度でも高河ゆんの漫画を読んだ、「友情」がある人は、ぜひこの展示を訪れて欲しい。

『高河ゆん40th Anniversary Exhibition』
公式サイト https://kougayun40th.com/
公式X https://x.com/kougayun_40th
開催場所 マルイシティ横浜 7Fイベントスペース
開催期間 2026/1/31(土)~2026/2/15(日)
開催時間 10:30~20:00
※各日初回は10:40からの入場となります。
※最終入場は閉場の30分前まで
※最終日2/15(日)は17:00閉場(16:30最終入場)
※状況により営業時間は変更になる場合がございます。
※入場は入れ替え制ではございません。
※運営状況については即時イベント公式HP及び公式Xでご案内いたします。
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