舞台『熱海殺人事件モンテカルロ・イリュージョン2025』開幕! 会見、最終通し稽古レポとともに大量写真、一挙公開。
稽古期間、なんとわずか一週間!?
彼ら、だからこそ辿り着けた初日だった
初日を控えた、会見での挨拶では多和田任益さんが「2024年に4年越しで、千秋楽まで完走できたすごく思い入れのある作品で、本当に昨年の大千秋楽の景色が忘れられません」と思いを明かす。
昨年公演に出演した嘉島陸さんは「この作品とは去年、初めて出会わせもらって大好きになりました。だから今年もまた、ここに立たせてもらえることが幸せです」と喜びを語る。
続けて同じく昨年出演した木﨑ゆりあさんも「大好きな作品を演じられることもうれしくて。同じ仲間で演れるということで、去年よりちょっとお遊びを多めに楽しく、にぎやかな作品をお届けしたいです」と笑顔を見せる。
そして、鳥越裕貴さんからは「このメンバーでまた帰ってくることができてうれしいです」と語るとともに〈歌姫〉こと、木﨑さんの歌声の話へ。
「我らが歌姫は、前回、わりと結構、みんなにもわかりやすい外し方(?)をされていたんですが(笑)。今回はなにか絶妙な誤魔化し方というか、テクニックを身に着けて……」と、その発言を受け、すかさず多和田さんが参戦。
「そう! あれ? この音であってるっけ? と勘違いさせるような技術(?)を一年かけて磨いてこられていて……」と言及。
そこに応えて笑顔の木﨑さん「去年はやっぱり緊張もあったんですけど、今年は少し余裕があって、本当に気持ちよく歌わせていただいております!」とにっこり。劇場では、ぜひ、そのハーモニーを味わってほしい。
さらに話は、嘉島さんの意気込みへ。
「よりチャレンジ精神を出していきたい、とすごく思っているんですが、それがいい方向に向かっているのかどうかちょっと分からなくて。実はすごい脱線を始めているっぽいので、そこは先輩方に引き戻していただいて、パワーアップしていきたいです」と真摯に語る姿に、すかさず鳥越さんが「なんか独り反省会が始まるんですよ。今日も楽屋で、記録用映像をすごい近くで眺めながら『僕、邪魔してないですね?』って(笑)、もうね一生懸命で!」と続け、それを受けて多和田さんが「めっちゃ末っ子なんでね!」と合いの手を入れ、4人の心地よい関係がうかがえる。
しかし、なんと、スケジュールの関係で稽古は、わずか一週間ほどだったそうで。
「まさか稽古初日から、(全編)通しては演らならないだろうな、と思って内心ヒヤヒヤしてたら、まさかの通しをやることになって」と多和田さん。
「アレにはシビレましたねえ」と木﨑さん。
「でも、意外にも全員、できていて、改めて信頼を感じました」と鳥越さん。
「付いて行くのに必死でした……」と嘉島さん。
さらにその結果、歌と踊りが多い本作へ新たに振り付けを追加する余裕すらあったというからすごい。
かくして、和やかに会見は終わり。
最終通し稽古へ。
そこで、語られた言葉の意味を噛み締めるこことなる。
Vサインならぬ、事件の鍵(?)となる、カニポーズで笑顔の4人。
(木﨑さん 多和田さん 嘉島さん 鳥越さん)


才能を巡る悲劇だと思っていた、のが
とてつもない愛の物語に塗り替えられるまで
登場する人物は「熱海殺人事件」と同じく4人。
東京警視庁の部長刑事、木村伝兵衛(多和田任益)。
木村を慕う部下の水野朋子婦人警官(木﨑ゆりあ)。
赴任してきた〈山形の死神〉こと速水健作刑事(嘉島陸)。
熱海での殺人事件の容疑者、大山金太郎(鳥越裕貴)。
2024年公演に続き、キャスト変更無しの上演。
本サイト対談でも、常に新作の気持ちで、と語られた通り、より物語世界が精査され、鋭く描かれた、まさに新作だった。
改めて、脚本が強ければ強いほど、演者も同じくらい、あるいはそれ以上の強度をもって臨まなければ、弾かれてしまうのだ、思い知る。
以下、レビューとともに目一杯の写真をお届けする。
東京警視庁の木村のもとへ、速水が赴任する。
タイトル通り、熱海で殺人が起こる物語だが、なぜ、殺してしまったのか、止める手立てはあったのではないか……理由が紐解かれていく過程で、それぞれのこんがらがった愛憎が明かされていく。
上演時間はきっかり1時間45分。この長さには理由がある。それは、ある事件の時効を迎えるまでのカウントダウンだから。
しかし、時効までに問わなければならない事件があった。
それは熱海での殺人と、直前の津軽半島での殺人。
途中、「お化粧が崩れた!」と不貞腐れる伝兵衛を捜査に戻すため、速水がなだめる場面がある。
「きれいですよ」
「ねえ、どこが?」
「(一瞬つまり)……全部です」
金太郎が「はい、ダメえ。それいちばんよくないヤツ」とツッコミ。
「ねえ、具体的に言って」と畳み掛ける伝兵衛。
焦る速水、にっこにっこな水野。
なんだ、この仲良しは!……と思わず吹き出す一幕も。
しかし、それも一瞬のこと。物語は続き、いくつかの「なぜ」を掘り起こしていく。
なぜ、写真館は放火されたのか?
なぜ、新宿2丁目は燃やされたのか?
なぜ、日本選手団はモスクワオリンピックに出場できなかったのか?
なぜ、4年後のロサンゼルオリンピックで金メダルを約束された彼は出場を辞退したのか?
なぜ、が解き明かされていくにつれて点と点が線を結び、4人の想いが浮き彫りになる。往年の歌謡曲に乗って艶やかに歌い、踊るその姿がとても愉しく心躍る。
しかし、彼らの心情にあまりにも寄り添う歌詞に、ああ……となる。
やがて、木村に対し、水野のために、大山のために、金メダルを待ち続けた数多の者たちのために、真実を話すべきだーー絞り出すように吠える速水。
あらわにされたのは、切なくも狂おしい愛の物語だった。
翌日、みごと迎えた初日。
初めて本作を観た、あるモノカキがつぶやいた。
「速水の兄は、きっと伝兵衛に自分と同じところまで堕ちてほしかったんですよ」
はっ、とした。なんと深い洞察。
そこにも確かにどうしようもない愛があったのだ、と初めて思い至る。
けれど、それでも彼は高潔なままーー翔んだ。
「熱海殺人事件モンテカルロ・イリュージョン2025」は、12月28日まで紀伊國屋ホールにて上演中。
撮影・取材・文/おーちようこ













































