特集・ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンによせて/最善席執筆陣+ゲスト様

最善席 テニミュ特集

 9月5日のミュージカル『テニスの王子様』青学vs聖ルドルフ公演初日を前日に控え、最善席によるミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンについて、愛をもってしたためた、レビュー第一弾をここにお届けします。

目次

前回レポート

 

テニミュ3rdシーズンにはびっくりだ :おーちようこ

 さて、お立ち会い。

 2014年11月に始動した、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンは、新たな試みの連続だ──これまでの経験値を駆使した、ハイブリットな挑戦の連続である。

 原作の『テニスの王子様』全42巻を、2003年4月の初演から2010年5月まで、8年間かけて上演されたのが、1stシーズンだ(ちなみに、その間に主人公の越前リョーマがともに戦う青学(せいがく)は5代目まで登場。このシーズン数と代数が異なり、それぞれに応援している人がいるために作品の説明をするときに少々、ややこしい)。

 続けて、2010年8月に始動した2ndシーズンは1stよりはるかに短いスパンの2014年11月までという、4年間で完結(青学は6、7代目)。1stで作り上げたフォーマットや開催したイベントの精度をより高め、すそ野を広げ自覚的に精力的に人気作品としてのコラボ企画や映画祭といったイベントも多数盛り込まれていたという印象がある。

 3rdシーズンは、そのどちらともちがっていた。いや、そのどちらも兼ね備えているというべきか。

 まずは、準備の早さ、そしてしなやかな吸収と変化。

 2ndシーズンにくらべ、始動後わずか三ヶ月の2015年2月に「プレビュー公演」なる通常価格より800円ほど抑えた、5000円というチケット代で3日間の公演が行われ、プロデューサーの松田_誠氏が「武者修行」と語った、台湾、香港での海外公演の敢行。そして、3月に初日を迎えた東京公演では、プレビュー公演でのアンケート内容を反映したかのような楽曲、演出の追加がなされ、より作品構成に気配りがなされていた。

 さらには、初の試みとなる、TEAM Live SEIGAKUやTEAM Live FUDOMINEの上演。

 公式サイトによると

「テニミュの新しい挑戦!チームが主役のステージだ!!」とあり「チームをフィーチャーした、テニミュ初の学校別ライブが開催決定! それぞれのカラーが溢れ、チームが身近に感じられるライブです!」

とある。

 青学は「都大会地区予選優勝報告・親睦会」という設定で観客は父兄や同級生として参加。劇場入り口で1年トリオ(堀尾聡史/加藤勝郎/水野カツオ)による名札の配布、校歌斉唱。データ収集の鬼、乾 貞治が隠し撮りしたと思(おぼ)しき、乾先輩の「えっやだ何で知ってるの? 青学レギュラーマル秘データコーナー」上映や日替わりネタに、応援メッセージの募集と、全員でにぎやかにお祝いした。

 果たして、不動峰はこのまま行くと残念報告会になるのでは……と思いきや、まさかの「マネージャー募集説明会」、それも、地区予選決勝戦で青学に敗退した自分たちにいったいなにが足りないのかを極めた、部長の橘_桔平が「自分たちを応援してくれるマネージャーだ!」と決断。マネージャー募集のために体育館の使用許可をしたためて、校長室に提出しに行く……という映像まで。そう、劇場は体育館だった。

 なんという、きめ細やか、かつ個別の切り口。公式にここまでやってもらえるなんて、「こんな姿の彼らが見たい!」という熱意のあまり、ユニフォーム姿での撮影といった企画を出し続けた、わたしを含む各グラビア誌編集者たちの数多の努力は……と、膝から崩れ落ちたとか落ちなかったとかという話はまた別の機会に。

 これまでも、キャストがキャラになりきって参加する、『大運動会』というイベントが確かにあった。本公演でも、客席を実際の試合の観客に見立てた演出はあった。しかし、ここまで徹底して、観客が参加できる2.5次元的な遊びを公式で用意してもらえるとは……なんという柔軟さと進化だろう、もう、びっくりだ。

 私的には、ものすごい茶番劇感!と、ここまでやっても付いてきてくれるよね?感がおもしろくて愛おしく。「固まった地盤(広義の意味で理解が進んだ観客とかマスコミとか)をフル活用している」感が半端無く。

 それは、製作側が経験をつちかってきた賜物、であると同時に、この作品が好きで、追いかけてきた観客がやすやすと、むしろ大喜びで受け入れて、ついてくるだろう、という信用の証であり、事実、ついていけてしまっているがゆえの、幸せな試みではないかと思ったり。

 と、いうわけで、この観劇サイト『最善席』ではミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンが上演されるこの時代に生き、観客として応援できる喜びを胸に、愛だけのレビュー第一弾をここにお届けする次第(続くのか?)。

 

2015年8月 おーちようこ(ライター)

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  公演会場の外には、青学の勝利を祝うノボリが並び、製作サイドの本気が見えた。(TEAM Live SEIGAKU公演初日撮影)

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3rdシーズンのリョーマがやってきた! :紅玉いづき

 夏のはじまりみたいに、天気のいい日になった。

 一番最初に行われた不動峰公演も、そして2度目の不動峰公演も知らない私は、まったく初めての千秋楽日を迎えるのに、懐かしいなと思っていた。

 ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs不動峰、その大千秋楽日。思い出の詰まったTDCホールには、続々と友達が集まってくる。

 久しぶりのはずの馴染みの友達に挨拶をしながら、「結局何回来た?」と笑いあう。回数はばらばらだけれど、みんな口を揃えて、「増えちゃった」と言った。

 2ndシーズンをともに乗り越えてきた、友人達の熱量は様々だ。紐も無しで3rdシーズンにバンジージャンプをした友達もいれば、「まだ2ndシーズンが忘れられないの」と言う子もいる。けれどみんな口々に言うのは、「やっぱりテニミュが好きだね」今更だけど、大切なことだった。

 私はといえば、前楽となる昼公演を見ながら、なぜだかとっても唐突に、自分の学生時代を思い出していた。「週刊少年ジャンプ」の本誌で、『テニスの王子様』を読み始めた時のこと。初めてリョーマに出会って、不動峰戦だって本誌で読んだ。砂っぽいグラウンドの味と一緒に、懐かしさが波みたいに押し寄せて目眩がした。

 3rdシーズン初めての公演が、はじまって、終わる。

 私にとってのミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学vs不動峰、は、何であったかと言えば、それはやっぱり「越前リョーマとの出会い」だったのだと思う。

 私が2ndシーズンに出会った時、越前リョーマ役の小越勇輝くんは、そりゃもう飛び抜けてうまかった。ひとりだけ声が、ボールみたいに前に出て来て。どんな公演でも調子の悪い日なんてなかったし、疲れなんてひとつも見えなかった。でもそれは、これまですでに、何十公演と越えてきたあとのリョーマだった。

 今回の公演で私は初めて、越前リョーマの、一番最初、に立ち会ったのだと思った。

 越前リョーマ役、古田一紀くんの、少しつたない言葉尻や、大きめの仕草、特徴的な動きや、器用に片側だけ上がる生意気な笑みを見て、とてもドキドキした。好きだとか、推している、というのとも違う。新しいリョーマが、新しいリョーマがやってきた! その高揚感だった。

 そして3rdシーズンの新しいリョーマは、とても、とても愛されるリョーマだった。

 地方公演である大阪でアドリブのけん玉が導入された時、「見にいかなきゃ! けん玉を!!」と何人もの人がとんだことを知っている。みんなテニミュブログの一枚一枚に一喜一憂して、その日の仕上がりを祈った。

 客席降りをするリョーマは、ひとりひとり、丁寧過ぎるほどにタッチをしていって、そうしていつも、ステージ上の輪の中に、もみくちゃにされるために戻っていった。

 決して、完璧ではないリョーマかもしれない。

 けれど、千秋楽日、「にゃろう」と制服姿で象徴的な自身のソロ曲を歌うリョーマの、背中かからしたたり落ちた汗を、きっとわたしは忘れないだろうと思う。

 そして、「どうしよう」「待って」とべそべそに泣きながら、千秋楽の挨拶を終えた越前リョーマは、今大きなひとつの終わりを迎えて、新しく長い旅に出ていく。

 これから私は、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンにおいて、新しい推しを見つけるかもしれない。もう見つけているかもしれないし、もしかしたら見つけられないかもしれない。けれど、わたしたちがテニミュ3rdシーズンを観に行く、ということは、つまり彼をみにいくということなのだ、とはっきりと思った。

 ようこそ、越前リョーマ。

 はじめまして、3rdシーズン。

 2015年5月 紅玉いづき(作家)

最善席 テニミュ特集

 TEAM Live SEIGAKU  より

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不動峰公演を観てきました :北山猛邦

 

 テニミュ(ミュージカル『テニスの王子様』)は原作をなぞってエンディングを迎えると、一周回って最初からまた始まるという。今回の『3rdシーズン青学(せいがく)vs不動峰』は三周目のスタートとなります。小説や映画、ゲームなどは周回しても中身は変わらず、登場人物たちも同じことしか喋りませんが、舞台は違います。三周目に至ってもなお、新鮮さで輝いているように見えたのは、そういうナマのエンターテインメントならではでしょう。それだけではなく、キャストの一新や、リスタートというイメージから、ひじょうに元気でみずみずしい舞台に見えたのですが、考えてみれば十年以上も前に初演が行われたこの舞台が、こんなに新鮮に見えるというのも不思議な話です。

 そんなことはともかく、不動峰公演は原作のなかでもけっこう好きです。ライバル校の中では、立海に次いで二番目に好きといってもいいでしょう。その理由はなんといっても、応援したくなるようなチームの境遇と、部長の橘さんのかっこよさにあります。

 正直いって橘さんの役どころは難しいでしょう。試合でわかりやすく敵を圧倒するといった場面がないにもかかわらず、不動峰の中で精神的な支柱として――要するに「アニキ」として他のメンバーを抱えるうつわのでかさを見せなければならないのですから。

 今回の『3rdシーズン青学(せいがく)vs不動峰』の橘さんには、そのかっこよさがちゃんとありました。単純にビジュアルからみてもかっこいいと思うのですが、立ち振る舞いが間違いなく橘さんでした。チームのメンバーが橘さんを慕っているシーンがたびたび描かれますが、その光景に首を傾げる人がいるでしょうか? チームが彼によって支えられていることに不自然さはありません。あの橘さんなら、誰だってついていくでしょう。

 ところで不動峰には他にも個人的に好きなキャラクターがいます。その名も伊武深司。派手でポジティブなキャラが多い中で、あのネクラそうなぼやきキャラが、舞台ではコメディ担当になったりしますが、実力的にはかなり上にいるんじゃないかと思っています。リョーマを追いつめたあの技は、最強になりえるのでは……原作でも確か「幸村の下位互換(意訳)」的な説明をされていましたが、言い換えれば幸村に匹敵する可能性があるということです。がんばれ伊武。

2015年5月 北山猛邦(作家) ゲスト寄稿原稿

最善席 テニミュ特集 不動峰

 TEAM Live FUDOMINEより

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TEAM Liveという劇薬 :ぽった@tenippttr

 「こんなイベントがあっていいのだろうか」と思った。TEAM Liveを見終えた僕が、最初に抱いた感想だ。正確に言えば、「こんなにも(僕の趣味嗜好に合ったイベントが)あっていいのだろうか」。もしかしたらこれは僕の妄想なのかもしれない。いやいやこれは間違いなく現実だ。そんなことを考えながら、僕は渋谷に通い続けた。もちろん京都にも行った。贅沢だ。これは、最高に贅沢なイベントだ。  TEAM Liveは、玄人向けのイベントだ。懐かしのあの曲を、あの振付で。本公演ではカットされたナンバーに、コアなファンたちが「待ってました!」とばかりに声援を送る。初心者お断りとまでは言わないものの、アンケートコーナーはキャラクターへの思い入れがあるかどうかで楽しさの質がまったく違っていただろうし、名札制度も完全お見送りも観客側に高度な「楽しむためのスキル」が必要だった。

 友人・知人を誰彼かまわずテニミュに誘うのがライフワークと化している僕も、このイベントにはあまり人を誘わなかった。もちろんチケットが手に入りにくかったという理由もある。アイア 2.5 シアタートーキョーは青春学園中等部の体育館としてはあまりに小さすぎて、男子テニス部と親睦を深めたいと考えている生徒やOB、ご家族の面々をとてもじゃないが収容しきれない。マネージャー募集説明会を体育館でやろうと張り切って申請書を書いた橘さんも、その発想までは良かったが少し読みが甘かった。新生テニス部の密かな人気は、体育館レベルに収まらない。

 そいういう意味では、TEAM Liveはよりディープなファンを創り出すための「加速装置」だったと言えるのかもしれない。原作に描かれていないストーリーを空想して楽しんだり、観客である自分に物語上の役割を設定してみたり。ファンが独自に楽しんでいたことやコアな方々の間では当たり前のように妄想されていることを、意識的に拾い上げてイベントにしてみる。それに触れた観客は、よりディープな楽しみ方を知り、自分にはなかった視点を獲得し、深みにハマる。そして気付いたときにはテニミュなしでは生きられないような体になっている……。正味1時間しかないTEAM Liveは、実はかくも恐ろしいテニミュオタク養成ギプスだった、のかもしれない。

 と、今回のTEAM Liveを一応総括してみたものの、実際のところ青学と不動峰であまりに内容が違っていてまとめて何かを言うのはなかなか難しい。2つのライブは、それぞれが別のイベントと言ってもいいほど内容に差があった。その差がどこから来ているのか。主役校と対戦校という違いによるものなのかもしれない。あるいは、TEAM Liveというイベントの方向性を模索する姿がそのままダイレクトに出てしまったということなのかもしれない。 でも、青学も不動峰も。ほんとにほんとに、楽しかった。それぞれのチームの魅力が溢れていた。想像以上だった。何だったら本公演が終わるごとに、全校のTEAM Liveをやってほしい! こんな楽しいイベント、1シーズン1回なんてもったいない!

せっかくなので、溢れんばかりの想いを少しばかり整理して「TEAM Liveのここが好きだ!」ポイントを各校3つずつ、紹介しておきたい。

■TEAM Live SEIGAKUのここが好きだ!

その1:定番ネタに頼らないガチのアドリブ

 TEAM Live SEIGAKUのトークコーナーは、ガチのアドリブが求められる。本公演もドリライもアドリブと言いつつ、あらかじめ打合せをしている場合が多い。だが、アンケートコーナーは違う。その日のお客さんの投票をもとにランキングが発表されるから、当然台本は存在しないし打合せも出来ない。本当にガチなのだ。

 同じくアドリブ性の高いイベントといえば、2ndシーズンからはじまったテニミュ大運動会。あれは手持ちの札の中から適切なタイミングで、適切なカードを切るゲームだった。誰が勝ち、誰が負けるのか、変化する場の状況を読んで「自分の持ちネタをいかにうまく当てはめるか」を争う競技だ。決め台詞の種類やキャラ同士の意外なつながりなど、手持ちの札が多ければ多いほど、有利になる。

 一方で当てはまる手札のない場面が多かったのが、今回のアンケートコーナー。地区予選の終了直後という設定で行われているから、そもそも手元に配れている手札の数が少ない。まだ本公演で登場していない決め台詞を使うわけにはいかない。さらには「報告・親睦会」という設定が与えられているため、決め台詞という若干メタな視点の入った手札をあまり乱発することはできない。そういった制約の中だからこそ、使い古された定番ネタを当てはめる作業ではなく、真のアドリブが必要とされていた。

 青学歴の浅い新・青学になんて過酷なことを、と最初は思った。だが彼らは公演回数を重ねるにつれ勘所をつかんでいったようで、日に日にアドリブトークの面白さは増していった。  特にトークセンスが光っていたのは、言わずもがな、ゴールデンペアのお二人。ほかのレギュラー陣に比べて元々自由度が高いというのもあるだろうし、キャストのポテンシャルというのもあるだろう。菊丸が自由に場を掻き回し、大石がまとめる。原作ゴールデンペアのテニスに対するアプローチ/関係性をフリートークという場で再現してみせたという意味でも、2人のアドリブトークは本当に高度な“2.5次元”だった。

 もう1人、トークコーナーでうまい!と思ったのは、リョーマくん。注目すべきは、全メンバーが一言ずつ答えるパターンの質問に対して「質問の前提を否定してマジレスする」というアプローチを取っていた点。「透明人間になれたらどうする?」という質問に対し「なりたくない」と答える。「もし女の子になったら?」と聞かれれば「俺、男ッスよ」。このアプローチであれば、地雷を踏むこともないし、海堂や手塚などのクールキャラともかぶらない。これは「いいポジションを見つけたな」と思った。

 もちろん、ガチのアドリブだから、トークがグダグダになってしまう日もあった。事故に近い発言もいくつかあったように思う。でも、実際に青学レギュラー陣が体育館で報告・親睦会をやったとしたら。彼らと同じようにグダグダになるだろうと思うと、それですら愛おしい。なんといっても、彼らは中学生だ。数百人を前にしてステージに立つというだけで相当緊張するだろうし、アドリブでのトークなんて芸人ではない彼らには出来なくて当然だ。

その2:青学バックダンサーズ

 Dream Liveではあまりこういうのが見られないのは、もしかしたらステージサイズも影響しているのでは。広いステージを有効活用すると、メンバー間の距離は当然遠くなる。メンバー間の絡みがここまで盛りだくさんで、あれやこれやの大騒ぎになっていたのは、距離の近いTEAM Liveだからこそなのかもしれない。

その3:座長の日替わりあいさつ

 アンコール曲前後の古田座長による日替わり挨拶。彼は、狙ってやっているのか、いないのか。これが、とにかく可愛い。

 決まり文句だけの日もあれば、「みなさまに感謝のスマッシュを直撃させます」などと小ネタを用意してくる日もあった。「完全お見送りまでが、親睦会です。」という言葉への謎のこだわりも、なかなかに愛おしい。観客のお姉さま方にお化粧直しを促したのはご愛嬌。座長単独での挨拶が日替わりで見られるなんて、とてもおいしいボーナストラックだった。

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TEAM Live SEIGAKより

■TEAM Live FUDOMINEのここが好きだ!

その1:不動峰が主役のスピンオフ公演

 不動峰が主役。その事実だけで、嬉しい。  最初に「TEAM Live」と聞いたときに想像していたものが、そこにはあった。いや、想像以上だった。  「マネージャー募集説明会」という設定。この設定が発表されたとき、正直大丈夫?と僕は思った。7人だけの不動峰中テニス部、原作にはいないマネージャーという存在。募集してどうするの?どうやってオチをつけるの?観客は全員中学生になりきらなきゃいけないの?などなど疑問はつきなかった。ともすれば、原作の世界観を壊してしまうのではないか、そんな恐怖心すらあった。  でも、そんな心配はすべて杞憂だった。僕が疑問に思った点はすべてクリアになっていたし、それどころかマネージャーを募集するという設定を軸に、不動峰7人の新しい物語が展開されていた。中学生へのなりきりは強要されるものではなく、入れ子構造の中で、ただのTEAM Liveの観客になることも許されていた。  TEAM Live FUDOMINEの初日を見終わったとき、「これはテニミュだ!」と強く思った。キャラクター版TSCPP(テニミュ・サポーターズ・クラブ・プレミアム・パーティー)だと思って気楽に構えていたものが、まさかの「不動峰主役のスピンオフ公演」だった。ただただ、嬉しかった。

その2:橘さんによるダイバーシティ推進宣言

 初日にこの台詞を聞いて、思わず「橘さーーーーん!!!」と叫びそうになった。橘さん、ありがとう!橘さんは俺たちの救世主だ!と、ちょっと大げさだけれど、涙があふれそうになった。仕事を抜け出して、マネージャー募集説明会に来ている男性サラリーマンだっているんだ。僕だってマネージャーになりたいと思ってここに来てるんだ!  聖ルドルフ学院には男性マネージャーもいると聞くし、この台詞は別に男性客を意識したものではなかったのかもしれない。でも、それでも僕は、橘さんのこの発言が嬉しかった。マネージャーのダイバーシティも大事、観客のダイバーシティも大事。

その3:最初から最後まで橘さん。

 ライブ終盤、橘さんが観客に向かってお礼の挨拶をする場面が計3回。1度目は、「マネージャー募集説明会」に集まってくれた皆さまに向けての橘さんの挨拶。2度目は、アンコールを受けての不動峰全員での挨拶。3度目は、アンコール曲終わりでの橘さんの挨拶。

 3回の挨拶はすべて、橘さんとしての挨拶だったように思う。マネージャー募集説明会を主催した橘さんとTEAM Liveの出演者としての橘さんという違いはあったものの、そこにキャスト・青木空夢としての言葉は一言もなかった。  普段であれば、締めの挨拶はリョーマ役のキャストが座長として行うのが決まり事だ。現にTEAM Live SEIGAKUでは、1度目は手塚部長、2度目と3度目は古田座長による挨拶だった。

 リョーマくんが場を仕切るのは、キャラのままだと違和感がある。リョーマはこういう場で前に出るようなタイプではないし、何と言っても1年生だ。手塚部長を差し置いて彼が挨拶をするのはいくらスーパールーキーでも無理がある。でも、テニミュとしては主人公/座長である彼が挨拶をするべきだから、一度キャラとしての設定を捨ててキャストとして挨拶せざるを得ない。

 でも、橘さんは違う。橘さんは部長という立場だから、徹頭徹尾、橘さんだ。TEAM Liveがなければ、橘さんが締めの挨拶をするテニミュなんて、見ることがなかったと思うととても感慨深い。

 上のほうで、古田くんの挨拶が好きだ!と力説しておいて何なんだあんたはと言われるかもしれないが、それはそれ、これはこれ。

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 TEAM Live FUDOMINEより

 —今はとにかく、次のTEAM Liveがどんな形になるのかが楽しみだ。いや違う。まずは、聖ルドルフ公演だ。TEAM Liveというブートキャンプを経てゴリゴリに鍛え上げられた青学と不動峰が本公演で何を魅せてくれるのかも期待大だし、そこに挑む3rdシーズンの聖ルドルフがどういうチームになるのかも楽しみだ。きっとこの勢いで、半年後には聖ルドルフが好きだ、山吹が好きだ、と言ってるに違いない。

2015年8月  ぽった@tenippttr ゲスト寄稿原稿

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ミュージカル『テニスの王子様』青学vs聖ルドルフは2015年9月5日より開幕。

 詳しくは、公式サイトへ!

最善席 テニミュ特集 St.RUDOLPHomote

©許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト ©許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

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