次は大阪公演だ!「飛龍伝2020」NON STYLEの石田明さん・味方良介さん特別対談登場!

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 1月29日に東京・新国立劇場 中劇場で行われるプレビュー公演を皮切りに開幕した「飛龍伝 2020」。主演の神林美智子役に欅坂46の菅井友香さん。彼女を巡るふたりの男、第4機動隊隊長・山崎一平役のNON STYLEの石田明さん、全共闘作戦参謀本部長・桂木純一郎役の味方良介さんが登壇した。

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 物語は安保闘争真っ最中、学生運動が激しさを益す当時。春、四国高松から大学進学のため上京した神林美智子の姿があった──その底知れぬ資質を見抜いた桂木は、彼女を全共闘40万人のトップに立つ委員長に指名する──!
 タイトルの「飛龍」とは、かつて桂木が投げたという伝説の石の名。その石が空を裂き、羽田闘争の勝利を切り開いたことで、学生たちはひとつとなった。
「綺麗事では革命はできません」そう叫ぶ声に、桂木は毅然と答える。「革命は綺麗事です!」
 そんな学生たちを弾圧するため出動する機動隊。そこで「狂犬病」と名を馳せる第4機動隊隊長の山崎一平は、桂木の幼馴染でもあった……かくして、革命への夢と皮肉な現実と熱い思いが交差し、苛烈で切ない彼らの季節が幕を開ける。
 囲み取材に続き、ゲネプロを終えたばかりの石田明さん、味方良介さんにお話を伺った。

 撮影・文:おーちようこ

 

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ずっと石田と味方で「飛龍伝」を演りたかった

──今日、舞台に立って演じていかがでしょうか。
石田:……本当にね、残せないです。なんにも。舞台の上で全部出し切って、どんどん無くなっていくのがわかる。毎通し終わりに抜け殻になっていきます……。
味方:わかる……! 石田さん、場面ごとにどんどん小さくなっていく。
石田:逆に味方は、しんどいとどんどんでかくなっていく(笑)。一方、俺はどんどん削がれていくから、本当に最後は全部、無くなってます。
味方:僕は石田さんに比べて、出番自体は少ないんです。でも、だからこそ僕のパワーは全部、注ぎ込んでいます。
──ただ、桂木は本心をあまり見せない分、気持ち的にはかなりしんどい役かと。
味方:そうですね。山崎との関係もあまり描かれませんし、でも心はある。なので、毎日、発見があるし、桂木自体も変化していく役なので、進化していきたい。
 誤解を恐れず言えば、つかこうへいさんがなにを考えていたのかとかそんなことは関係なくて……ちがうな、うん。きっとそこには答えなんてないと思うから、日々、やるだけです。
──「飛龍伝」出演が決まったときの思いを伺います。
石田:ずっとやりたかったんです。だから、飲み会の度に、演出も手がけるプロデューサーの岡村俊一さんに「俺は『新・幕末純情伝』も『熱海殺人事件』もやったから、次は『飛龍伝』か『蒲田行進曲』を味方とふたりで、俺たちに演らせてほしい」って言い続けてましたから。
味方:言ってましたねえ。
──おふたりは『新・幕末純情伝』に続き『熱海殺人事件』で共演されていますが、絆のようなものが生まれているのでしょうか。
石田:……一言でいうと、ツレ、ですかね(笑)。
味方:ああー……まさに。共演して、作品を通じてプライベートでも飲むようになり……ただ、周りがそういう関係にしてくれたとも思っていて。
 つか作品に新しい役者が入ってくる度に、僕たちがやってきたことをどう伝えていこうか、みたいな話をする時間が増えていって。共演者としてだけでなく、より深い話をするようになっていって、そこからですね。いつしか「一緒に『飛龍伝』をやりたいね」という話をするようになって。
──決まったときはいかがでしたか?
石田:なんかね、ふわっ、と決まったの(笑)。 
味方:いや、本当にふわっと(笑)。
石田:ある日、スケジュールが押さえられていて。あれ? ってなって。で、味方に連絡して。でも、その時点で演目を知らなくて。
味方:配役を知ったのも、だいぶ後でした。
──俺たちが「飛龍伝」をやるんだ……! という実感が湧いたのは?
石田:年明けて、本格的に稽古に参加したときかなあ……。
味方:僕は……なんだろう……あー……今、かな。稽古をやってきて実際に舞台に立って、ようやく、僕らの「飛龍伝」が見えたかな、という感じです。
石田:ああー……あの……今、正直に告白すると、偉そうなことを言ってましたが、舐めてました……。
味方:(爆笑)
石田:あんなに、やるなら「飛龍伝」しかない! みたいなことを言っておきながら、こんなにもカラッカラになるとは思ってもみませんでした。今、コーラ、飲んでますけど、俺がコーラを飲むって滅多にないからね!

状況に翻弄されながらも
生きる人間の普遍的な姿を描(えが)いた物語

──安保闘争の全共闘時代の物語ですが、この2020年に上演することで、ご自身が演じる軸というか縁(よすが)があれば、お教えください。
石田:時代的背景で言うと、香港のデモといった、まるでこの作品に出てくるような出来事が身近にあることは大きいと思います。特に意識していたわけではないんですが、そういう意味では「今」だからこそ上演する意味もあるんじゃないかな、と思うし、僕らも演じていて、作品世界に入りやすかったかな、と思います。
味方:確かに、等身大で感じる、ということはありましたね。
石田:3.11の震災から、エンタメにおける死生観の扱い方っていうのが、よりシビアになった感じがしていて。そのなかで、こういった作品が上演できる、ということも大切だと感じています。
味方:この演目が上演される意義、みたいなものはきっとあるんだろうけれど、僕自身は、演じるときになにかを軸にする、ということはしないんです。
 ただ、心がけているのは30年前から続く、この「飛龍伝」という作品をみんなが愛しすぎていると思っているからこそ、僕が演る桂木で在りたい。もっと言うなら、石田さんが演る山崎、菅井ちゃんが演る美智子で届けたい。昔、こうだったから同じように動く、ではなく、今、僕が感じたままに動きたい、台詞を放ちたい、そういった僕ら個々のパワーで創り上げたいと思っています。
──確かに、同じ演目ではありますが、演じる役者の数だけ「飛龍伝」が在るのではないかと感じています。観客に届けたい思い、みたいなものはありますか?
石田:30年前の作品ですが、つかさんは状況に翻弄されながらも生きる人間の普遍的な姿を描(えが)いたと感じています。でも、人がそれをどう受け取るかは、きっと全員ちがうはずなので、僕らはただ全力で、持っている球をすべて投げきることだけです。
味方:まず、出し惜しみ無く、投げる、ですね。ただ、それは「飛龍伝」だから、というわけではなくて、すべての舞台に対してですが常に100%以上の熱をぶつけたい。その熱を受け取った方が、どう感じて、なにを思うかは自由で、でも、確実になにかを受け止めて考えてしまうような……そんなところまで含めて、この作品を味わってほしいです。
──最後に、お互いへ一言、お願いします。
石田:あー……あの、声の出し方を教えていただき、ありがとうございました!
味方:えっ、えええ。わざわざ、恐縮です! 
石田:僕ね、どうも下半身で声を出すタイプらしくて。
味方:そう。見てるとわかるんですが、石田さんはすっごいスタンスを広く取って低く立つんです。
石田:しかも座ってる場面も多いから、どんどんどんどん枯渇していって、途中から、どこ使って声だそうかな、どこ残ってるかな、みたいな感じだったんです。なので、「どうしたらええ?」って相談したんです。
味方:だから「石田さんは上が余ってますよ」って教えました……でもね、本当はあまり教えたくないんです(笑)。だって強いから。
石田:ははははは! でも、実際にやってみたら、なんかできそうでさ。
味方:そう! そして、どんどんできるようになっていく! 殺陣のコツやリアクションもどんどん覚えていくから、もう、芸人さんじゃない! 一端(いっぱし)の舞台役者ですよ!
石田:ありがとう! ただ、ゲネプロでは試すのを途中でやめました。どこで声を出そうか、とか意識しちゃって気が散ったから。でも、ところどころ、あ、ここイケる、とか、確認して……。
味方:そうなんですよ。すぐ試すから。ああ、この人、ものすごく真面目なんだなあ、とわかる。そういうところはすごいと思います。
──味方さんからはいかがでしょう?
味方:僕は、石田さんとケンカして……ケンカしたことで、よりいろんな話ができたことに感謝してます。
石田:あー、そう。新年早々、ケンカしたね!
──ケンカ……?
味方:もっと言うと、僕が石田さんに突っかかったというか……。
石田:まあ、酒も入ってたし、稽古も詰まっていて、味方も思うところがいろいろあるんだな、って……なんかね、ぶつかってくれて嬉しかったですよ。
味方:その節はありがとうございました!
石田味方:(顔を見合わせて、笑う)
石田:あのね、「飛龍伝」って題材が題材なんで決して生易しくはない。だから、味方は味方ですごく考えてることがあって、俺も俺で考えていることがあって、ぶつかることもある。でも、それが互いに上を向いているんですよね。否定しあって下を向いているわけじゃないから、言われてムカつくことがあっても、嫌なムカつきじゃないんです。
味方:だから、そういう時間を持てたことが大きくて。舞台上で描かれる場面は少ないですが「飛龍伝」は山崎と桂木の深い関係があっての物語なので、石田さんと過ごした時間を思いながら桂木を演じています。千秋楽までよろしくお願いします!
石田:こちらこそ!

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「飛龍伝 2020」

公式サイト http://www.rup.co.jp/hiryuden2020.html

2020年1月30日(木)~2月12日(水)
(1月29日にプレビュー公演あり)
東京都 新国立劇場 中劇場

2020年2月22日(土)~24日(月・振休)
大阪府 COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール

作:つかこうへい
演出:岡村俊一
出演:菅井友香(欅坂46)/ 石田明、味方良介 細貝圭 小柳心 久保田創 小澤亮太 須藤公一 大石敦士 吉田智則 / 山田良明 友岡靖雅 草野剛 うえきやサトシ 和田慶史朗 岩上隼也 河合健太郎 濱田和馬 江浦優大 河本祐貴 米岡孝弘

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