渡辺哲さん、酒井敏也さんが贈る、卵を巡る物語「じりりた」〜おじさんとたまごの諸事情〜 自利と利他とは?

優しい、って
なんだろう?

 

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 明後日 HR(ホームルーム)。
 それは、大人の放課後のイメージで名付けられたという。小泉今日子さんが立ち上げた、株式会社明後日と様々なジャンルでのこれからの才能が話し合いながら実験的な試みの場として生まれた企画。その第二弾がこの程、初日を迎えた。そのタイトルは「じりりた」~おじさんとたまごの諸事情~。仏教用語だという「自利利他」の意味は

「じり(自利)」とは、自分の幸せのこと。
「りた(利他)」とは、他人の幸せのこと。
「じり」と「りた」が一緒になるのが本当の幸せ。本当の平和。

 そんな思いが込められているという。当初はコロナ禍の前に上演予定だったという本作。その主演俳優は、60代、70代という大先輩。楽曲はこれまた70代のシンガーソングライターあがた森魚さん。
 脇を固めるのは、40代の町田水城さん、30代の森崎健康さん、そして20代の星野勇太さん。それぞれの世代が思う「優しさ」とは? かくして届けられたのはふんわりとあたたかく、けれど少し切ない、今、自分の隣にいる誰かと手をつなぐ物語だった。

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 舞台の上には木陰、そして瀟洒なベッドが左右に2台。片方のベッドにはカラフルなジャージ姿の、すーさんこと鈴木吾郎(酒井敏也)。ここは、とある介護施設。
 ある日、突然、空いている隣に即日入居を強行する、まっちゃん、こと松本賢彦(渡辺哲)。 まっちゃんには、どうしても息子の松本賢太郎(森崎健康)と会いたくない理由があって、報せを受け駆けつけた息子をけんもほろろに追い返してしまう。

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 隣人ができて大喜びの、すーさんと、うっとおしがる、まっちゃんの掛け合いが微笑ましい。そんなふたりを見守る、ベテラン介護士の近藤清志(町田水城)と新人介護士の宇佐美 蓮(星野勇太)コンビのやりとりも軽快だ。
 一見、のどかな介護施設の日々。
 ある日、宇佐美は自問自答する。
「優しくしなきゃ、と思う時点で、優しくないのではないか?」
 うむむ、と考え込む若者に、まっちゃんは言う。
「優しい人になろうったって、無理だぞう」と。
 なぜか?

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 子どものように、ふたりは笑う。遊ぶ。ケンカする。ゆるやかに時は流れる。そんな、ある日、施設の庭で不思議な「ヒナ」の声(あがた森魚)がして、おじさんたちが見つけたのは、巣から落ちた卵。

「このたまご、俺たちの手でかえしてやらないか」
「そうだな、俺たちの手でかえしてやろう」

 かくして、彼らの卵を巡る作戦は始まった──それは幸福な日々、けれど時間だけは確実に過ぎていく。

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 まるで言葉遊びのような台詞、ひとつひとつが耳から頭に届き、意味を持った瞬間、心に染み渡る。生身の身体から発せられる、声、表情、気配が、音楽が、灯りが、客席を静かに静かに満たしていく。カーテンコールにはまさかの、あがた森魚さんも! なんと、初日のスペシャル登場とのこと。最後はキャスト全員で本作のためのオリジナル曲「じりりたのテーマ」を全員で歌いながら、くるくるとまわる。そう、これからも人生は続いていくのだ──だからこそ、この愛おしい時間を、劇場で感じてほしい。

 

初日直前の通し稽古を終え、脚本と演出を手がけた、ニシオカ・ト・ニールさんに話を伺った。

──コロナ前から企画されていたとのことです。

 もともとコロナの前から、優しい話にしたいね、誰かのためになにかをする、ということ を描きたいね、とプロデューサーの関根明日子さんと話していて。世界平和は難しいけれ ど、隣の人に手を差し伸べて、そのまた隣に手を差し伸べて……それがぐるり、と続いたら、 少しでもよくなっていくのかな、と。今、世の中がギスギスしていると感じているので。
 今回、大先輩の胸をお借りしたのは、普段、私が活動している小劇場は同年代と演ってい ることが多いので、そうではない作品を創りたかったから。世代を通して共有できるものが あると思っていたし、一緒に創る、ということをやりたかったんですね。

──言葉遊びのようなやりとりが連なって意味をなし、つながったときに、ぐう、となる場 面がいくつもありました。

 それはやっぱり役者の方々のおかげです。かけ言葉のような遊びを、おもしろいな、と思 って入れていたんですが、そこに力を与えてくれました。
 同時にいろいろな意味にとらえてほしいな、とも思いました。見ている人に託すという か。だから、あがた森魚さんが声を演じる「ヒナ」が登場しますが、現れ方がちがうんです。 舞台美術も、その思いをくんでくださって、あえて、あべこべになっているところがあって、 実はなにが本当かわからない、という空間を創っていただきました。

──最後に一言、お願いします。

 無事に初日にたどり着きましたが、まだまだいけます。そう思えたことがうれしいです。 これからです。最終日まで駆け抜けたいです。

新宿シアタートップスにて、3月1日まで上演中。
2月27日(月)19:00公演では、音楽のあがた森魚さんを交えてのアフタートーク開催!
U-22チケット2,000円、10代以下対象のHRチケット500円も(詳しくは公式サイトへ)。

公式サイト
卵を巡る物語「じりりた」〜おじさんとたまごの諸事情〜

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■作・演出:ニシオカ・ト・ニール

■音楽:あがた森魚

■出演:渡辺 哲 酒井敏也 / 町田水城(はえぎわ) 森崎健康(KAKUTA) 星野勇太

■劇場: 新宿シアタートップス
〒160-0022 東京都新宿区新宿 3-20-8 WaMall TOPS HOUSE ビル 4 階
TEL:03-6457-4083(劇場ロビー・主催者直通/公演期間中のみ)

■期間:2023 年 2 月 22 日(水)〜3 月 1 日(水)2 月 22 日(水)19:00
2月23 日(木・祝)14:00/18:00
2月24 日(金)14:00 ※音楽のあがた森魚さんを交えてのアフタートーク
2月25 日(土)14:00/18:00
2月26 日(日)14:00
2月27 日(月)19:00 ※音楽のあがた森魚さんを交えてのアフタートーク
2月28 日(火)14:00/19:00
3月1日(水)14:00

■料金
一般:5,800円(前売り・当日共/全席指定席/税込)※未就学児入場不可
U-22:2,000円(当日指定引換券/枚数限定/要証明書提示/税込)
HR チケット:500円(10代以下対象/当日指定引換券/枚数限定/要証明書提示/税込)

■取り扱い
チケットぴあ Pコード:516-762
ローソンチケット Lコード:34963
イープラス 
Confetti(カンフェティ)

■スタッフ
舞台監督:⻄廣 奏 美術:片平圭衣子 照明:倉本泰史 音響:佐藤こうじ 演出助手:坂本奈央(終のすみか) 宣伝美術:土屋咲登子 制作助手:前田明子 票券:Mitt プロデユーサー:関根明日子

■企画・製作:株式会社明後日
■チケットに関するお問合わせ Mitt:03-6265-3201(平日 12:00~17:00)
■公演に関するお問合わせ 株式会社明後日:03-6412-7205(平日 11:00~18:00)

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