演劇的演出の高みに挑む。「ミュージカル封神演義-目覚めの刻-」開幕

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 写真:太公望/橋本祥平 四不象(スープーシャン)/吉原秀幸(声と操演)

 

「ミュージカル封神演義-目覚めの刻-」が1月13日に東京・EX THEATER ROPPONGIにて開幕した。果たしてそこには、演劇的演出で彩られた原作世界が在った。

「封神演義」が舞台化。それも、プロジェクションマッピングといった映像演出を一切使わず、すべてを役者の表現でその世界を具現化するという。一体、どんな舞台が待っているのだろうか──心躍らせて向かった劇場で待っていたのは、人の力が、熱が、光が、鮮やかに舞う空間だった。

 原作は、安能務が翻訳した中国に伝わる怪奇小説を元に藤崎竜が漫画化した人気作。1995年から2000年にかけて集英社「週刊 少年ジャンプ」にて連載され、今なお「集英社文庫〈コミック版〉」全12巻が発売され、「週刊 ヤングジャンプ」公式アプリ 「ヤンジャン!」でも配信され、広く支持されている。
 
 今回は物語の序盤、仙人界より『封神計画』の命を受けて旅する太公望(橋本祥平)が 天才道士・楊戩(安里勇哉)や宝貝人間・哪吒(輝山立)、崑崙山の道士・黄天化(陳内将)たちとの出会いの軌跡、悪政で人々を苦しめる仙女・妲己(石田安奈)率いる者たちとの苛烈な戦い、そんな彼らと関わる申公豹(大平峻也)らの姿が描かれる。
 
 冒頭、ど迫力の群唱に奮える。合唱ではなく、群唱。キャスト全員が強い瞳と確固たる意志で、キャラクターとして言の葉を放つ。わくわくする。その間をすいすいと泳ぐ魚のように踊るアンサンブル、手には風を受けて帆のようにはらむ布。それらが音と光に飾られ、ときに鋭い稲妻、ときに水の奔流となって舞台上を縦横無尽に駆け抜ける。しなやかな身体で、指先で、表情までも、すべてを駆使して森羅万象が表現され、観る者の想像力を掻き立て、そこにはないはずの景色がぶわあ、と広がっていく。まさに本作の志す挑戦であり、演劇ならではのおもしろさだ。

 主演の太公望を演じる橋本祥平は、囲み取材で見どころを聞かれ「個人的な見どころとしては四不象です。人形操作なんですが、本当に生きているかのようにちゃんと魂の入った四不象も観ていただきたい」と語った。舞台上ではその言葉通り、愛らしい四不象をからかい、けれど大切な相棒として愉快な掛け合いが繰り広げられる。けれど。

「生きてさえいれば」

 これは、舞台上で繰り返される、太公望の言葉である。どこか飄々として、とらえどころのない存在だが実は心の奥底に秘めた想いがあふれ出す刹那、瞳が燃え、柔らかな佇まいが一変する。かつて、人狩りによって大切な人々を失った……その哀しみが、怒りが、今の彼の在りようへとつながる瞬間だ。やがて、「誰も殺させぬぞ!」そう、高らかに叫ぶ、太公望の決意が轟く。

 そんな彼を巡る周りの者たちの変化も、見どころのひとつ。ある者は好敵手とみなし、ある者は尊敬し、またある者はともに高みを目指したいと願う、それぞれの変化の瞬間が描かれ、「ああ、今、この人は太公望によって心を動かされたのだ(それが敵意だとしても)」と、腑に落ちる。それらすべては役者の表現力があってこそ。登場するすべての者が抱く希望や夢や愛、だけでなく、欲望、葛藤、焦燥、憎悪までが歌詞に乗せられ、朗々と響き渡るのも心地よく、まさにミュージカル。
 脚本の丸尾丸一郎 、演出とともに歌詞も手がける吉谷光太郎のタッグが光る、圧巻の2時間45分(休憩15分)をともに劇場で駆け抜けてほしい。「ミュージカル封神演義-目覚めの刻-」は1月20日(日)まで東京・EX THEATER ROPPONGIにて上演中。

公式サイト https://musical-houshin-engi.com/
千秋楽の模様を昼公演・夜公演共にニコニコ生放送にて、生中継決定!

文/おーちようこ 撮影/オフィシャル&最善席

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