水石亜飛夢の「今」。ひとり親家庭支援「グッドごはん」クラウドファンディングに託した願い。

「Be A HEROプロジェクト」──ヒーローになろう、と名付けられたこのクラウドファンディングを立ち上げたのは俳優の水石亜飛夢。現在、25歳。

  16歳でミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで立海大附属中学校、柳蓮二役で俳優デビュー、さまざまな作品に出演。そして昨年。スーパー戦隊シリーズ『魔進戦隊 キラメイジャー』のキラメイブルー/押切時雨として1年間、子どもたちのためにヒーローを演じた。そんな自身が今、「誰しもヒーローになれる」という、このプロジェクトと向き合っている。
 
 ひとり親支援を決めたのはヒーローを演じる自身へ寄せられた多くの声だった。その経緯はプロジェクトサイトに詳しい。かくして4月4日に発表された本プロジェクトはわずか2日で第一目標金額 3,000,000円を達成、最終日を控えた5月13日にはネクストゴールとして定めた7,000,000円の達成! という快挙を記録する。そこで今回、プロジェクト最終日である5月27日(木)午後11時に向け、水石亜飛夢がどれほど心を砕き、身体を動かしているのか? を伺った。

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自身の名を冠するからには
いちばん汗をかくべきだから

 

──立ち上げについてはプロジェクトサイトで語っておられますが、具体的にはどのように動き始めたのでしょうか。

水石:思い立って、すぐに事務所に相談しました。昨年からのコロナ禍で、僕自身も「これからやっていけるのかな……」といった不安を抱いたこともあったから、いてもたってもいられなくて。皆さん、僕が演じる『魔進戦隊 キラメイジャー』のキラメイブルー/押切時雨に元気をもらったと言ってくださるんですが、不思議なことに僕自身も演じることで、彼から応援されていたように感じたし前を向くことができていた部分も多かったな、と思うんです。
 だから一年間の作品が終わったところで今度は生身の自分がヒーローになれたらと考えました。もっと言えば、こういった活動に興味を持ち参加していただくことで、一緒にヒーローになれたら、と。その考えに事務所も共感してくれて、すぐに協力体制が整いました。なにより、これをやらない理由がどこにもなかったので。いろいろと探してすぐに国際NGOグッドネーバーズ・ジャパンさんのフードバンク「グッドごはん」という活動に辿り着きました。
 
──それは、いつ頃でしょうか。

水石:プロジェクト立ち上げの2ヶ月くらい前かな……とにかく思い立ってからの動きが速くて。あっという間に次々と決まっていって、そこに巡り合わせの良さというか縁を感じました。
 プロジェクトに関わってくださる方々にお会いして、お話を伺い、実際に食事を届けるボランティア活動にも参加させていただきました。実はこれが僕にとっても大きな経験で、これまでずっと芸能界の方々との関わりが中心だったなかで「こんな考えを持つ方がいるんだ」「こういう世界があるんだ」といった出会いがありました。今回のプロジェクトもですが、僕は本当に人の縁に恵まれていてたくさんの人に助けてもらっている……と常日頃、感謝しているので、この活動で僕から返すことがあるなら、なんでもやりたい、とも思ったんです。

──そして、なんと開始二日目で達成してしまいます!

水石:驚きました……え!? ホントに??? という気持ちがまずあって、同時に責任も感じました。だけど、とても嬉しかったし、この活動がもっともっと広がると良いなと思ったので、相談してネクストステージを設けました。(取材後達成)

──リターンにもこだわりを感じます。活動報告レポートやボランティア活動参加権といった「グッドごはん」に関わる内容のほか、ご自身からのお礼メールやメッセージ入りハガキ、同級生のイラストレーターさんと考えたオリジナルチャームやボイスメッセージに蔵出し写真、さらにはオンライントークや撮影会にリサイタル開催、キャスティング権といった自らが参加されるものが多くて驚きました。

水石:我ながら、とんでもないことになったな……とは思っています(笑)。何ができるのかを書き出して、いろいろなリターンを提案したものの、家でシャワー浴びながら、ふと「あれはどういう形にしたら、喜んでもらえるかな……あっ、そうだ、あの人に相談してみよう」とか考え込んだりもします。でも、それが楽しくもあって。なにより「水石亜飛夢」の名を冠したからには、誰よりも僕が汗をかかなくてはいけないんです。
 ただ、ここにきて一層の広がりを感じています。最初は舞台やテレビで僕を知って応援してくださっている方々に賛同していただいていたのが、だんだんとプロジェクトを知って参加してくださる方も増えていて。僕、プロジェクトに寄せられた応援コメントを全部、嬉しく読んでいるんですが、僕を知らずに内容に賛同してくださっている方がおられて、さらに繰り返し支援してくださる方もいて、なんだろう……今、ものすごい景色を見せてもらっている思いです。

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俳優として、人間として
「水石亜飛夢」が志すこと

──16歳でミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで立海大附属中学校、柳蓮二役でデビューされ、来年で10周年です。俳優としてやっていこうという覚悟が決まった瞬間はあるのでしょうか。

水石:いえ、最初から覚悟があったわけではなく、少しずつ……本当に少しずつですが、この世界で生きていこうという自覚が生まれてきたという感じです。本当に無我夢中だったし今も無我夢中です。
 決して平坦ではなかったし、大学受験が上手くいかなったとき、オーディションになかなか決まらなかったとき、与えられた場所で良いうまいパフォーマンスができなかったとき……辞めてしまおうかと悩んだこともあります。でも、やっぱりお芝居が好きだったんです。さらに先程も言いましたが、ものすごく人の縁に恵まれていて、いろんな出会いと機会をいただき、腹をくくって俳優を続けていこうと決めました。

──その言葉がうれしいです。デビュー当時から取材で伺っているので、今回、広く多くの方の力になりたいと考え、考えるだけでなく行動を起こし、実現していることが本当に感慨深く。これだけの支援が集まったことも、ご自身が歩んでこられた姿を見ていた方がおられたからだと感じますし、なによりもその人となりや真摯な想いが見えたからではないか……と感じ入っています。

水石:……だとしたら、とてもうれしいです。俳優とは異なる活動ですが、僕が俳優であることで活動が広がることに役立てているなら、それは続けてきたことのひとつの結果だと思えるし感謝しています。もし続けられるなら、この先も定期的にこういった活動ができたらいいなと考えるようになりました。
 ただ、今はまず、このプロジェクト最終日の5月27日(木)午後11時まで全力を尽くし、辿り着きます。でも、それはゴールではなくスタートです。実際に「グッドごはん」を各家庭にお届けし、僕自身のリターンをすべて返し終えてこそ、大成功だったね、よかったね、と笑いあえると思います。キラメイジャー的に言えば、全員で一緒に最後まで「キラメコウゼ!」と伝えたいです。

──最後にこの記事を読んでいる方に一言、お願いします。

水石:まずは、この「最善席」という演劇サイトで俳優としてではない活動のインタビューで取り上げていただけたことに感謝します。
 ミュージカル『テニスの王子様』当時から応援してくださっている方、『魔進戦隊キラメイジャー』で知ってくださった方、この記事で初めて知ってくださった方、すべての方に、水石亜飛夢は俳優として歩むだけでなく、ひとりの人間として、この活動に向き合っていることをお話できてうれしかったです。デビュー当時から少しは成長できているでしょうか……? 自分ではまだ、わからないんですが、これらの経験を糧として、これからも演じ続けていきますので、どうか、応援してください。

5月上旬、リモートにて収録 取材・文/おーちようこ

 

#BeAHEROプロジェクト|水石亜飛夢とひとり親家庭支援を!
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水石亜飛夢 みずいし・あとむ
俳優。1996年1月1日生まれ。25歳。神奈川県出身。
Twitter @atom_mizuishi
2012年、ミュージカル『テニスの王子様2ndシーズン』の柳蓮二役で役者デビュー。スーパー戦隊シリーズ『魔進戦隊キラメイジャー』のキラメイブルー役、TVドラマ『あなたの番です』波止陽樹役など多数。

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