舞台俳優は語る 第3回 鈴木勝吾の「今」

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あなたの「今」を教えてください──舞台人の「今」を記録する新連載『舞台俳優は語る』第3回は、鈴木勝吾さんの登場です。

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 お話を伺ったのは、W主演『ちょっと今から仕事やめてくる』公演中のある日。演じているのは自身の内に想いを秘め、にぎやかに振る舞う役。けれど、シン、と静まる、ライトがあたる空間で、ふいに空を見上げた刹那、哀しみが静かに奔流となってあふれ出る……佇むだけで舞台上の気配を変える、支配する。
 今年、デビュー10年目、30歳。たくさんの出会いと発見と気付きを経て辿り着いた「今」、その軌跡と未来を語る。

 

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「演じる」ことの覚悟も足りず、向かう先にも迷いました
けれど、たくさんの出会いから先へと向かうと決めました

──今年、30歳でデビュー10周年を迎えました。
鈴木:月並みですが10年間、ご一緒していただいた方々のおかげです。だからこそいただいた機会に対して、できることよりも足りないことをすごく実感しています。
──2019年1月から、少年社中『トゥーランドット~廃墟に眠る少年の夢~』、DisGOONie Presents Vol.5『PHANTOM WORDS』、ミュージカル『憂国のモリアーティ』、『ちょっと今から仕事やめてくる』、さらに7月にDisGOONie Presents Vol.6『PANDORA』、8月には少年社中『天守物語』と立て続けに舞台に立ちます。
鈴木:ありがたいことに主演作品も多く、新たなことを求められて苦しんでもいるけれど、楽しんでもいます。25歳から30歳まで「これもできる、これもやりたい」とトライしてきたことが糧になっていることはわかっていて、後半は特に「できる! やれる!」と前のめりで過ごしていました。でも、そこから徐々に「じゃあ、できないことは?」と思うようになっていったところで、次の10年に向けての課題が今、また始まっているのかな、と感じています。
 求められたものに応えることは当然で、もっと広い場所に……例えるなら「植え替え」というか。今までの鉢では小さく感じているから、もっと大きな鉢で自分を育てるために、その鉢はどんな素材で、どんな形がいいのか、を考える時期が来たかなと。もっと言うなら、じゃあ、どこに置いたらいいのか、も意識していかなければならないと考えているんです。
──できることを知ったからこそ、できないことを探すことができる、それがすてきです。
鈴木:ただ、そう思えるまでにも時間はかかりました。20歳のときに『侍戦隊シンケンジャー』でデビューしてから、一度、演じることへのモチベーションがものすごく下がった時期があったんです。
──理由をお聞きしても良いでしょうか?
鈴木:……「演じる」ということに対して覚悟が足りなかったというか、どこで自分が求められているのかわからなくなったんです。今のように舞台に立つための準備もできていなくて、どこに向かっていったらいいのか迷っちゃったんです。
 ただ、そこを抜けるキッカケのひとつが、2015年公開の窪田将治監督の映画『野良犬はダンスを踊る』でした。監督が脚本も手がけていたんですが「役作りをめっちゃサボっている」と言われて。じゃあ、役ってどこから作っていくのか、役を作る深度というか角度を変えるということはなにか、を経験させてもらいました。さらに、西田シャトナーさんとの出会いも大きなことでした。
──2014年、シャトナーof ワンダー #1『ロボ・ロボ』でコック900を、翌年のシャトナー of ワンダー#2『小林少年とピストル』で主演を務めます。
鈴木:シャトナーさんの演出は発見だらけで、舞台での新しい扉を開いていただきました。空間の捉え方や声による場の支配力といった、映像とはちがう、舞台という空間での武器みたいなものをすごく教わって。この先、異なる作風の舞台に立つとしても、これも使える、あれも応用できる、みたいなことをたくさん学んだ……というか、気付かせてもらいました。
 なによりもシャトナーさんの、童心の部分にすごく共鳴したところがあって。実は自分が持っていた、ぶっ飛んで突き抜けたときの熱、シンプルさみたいなものが持つ破壊力、といったものを感じることができたんです。それはきっと誰にも真似しようとしても真似できない、僕だけのものなんだ、と確信できたことが、とても大きなことでした。
──具体的にはどういったことでしょう。
鈴木:体の動かし方や体力的な限界までフル稼働させるということも学んだし、舞台に自分の価値観や美学や表現を持ち込む、ということを知りました。「今、この役を演っている」ことだけでなく「こう見せたい」「この空気を届ける」という意思みたいなものも込めることができるんだ、という感覚は初めてのことでした。シャトナーさんが持っているきらきらした童心の哲学みたいなものに触発されて、僕自身のなかにあったものを引き出してもらったんです。
 自分の中から出る、美学……っていうとカッコつけすぎかな(笑)、なんだろう……感性みたいなものをあふれさせることに、とんでもない楽しさというか、おもしろさを感じるようになりました。

 

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さらに多くの出会いに恵まれて

 

──2012年、シリーズ初演のミュージカル『薄桜鬼』斉藤一篇から、2016年のミュージカル『薄桜鬼』新選組奇譚まで風間千景を演じました。これは新作のたびに主人公が変わり、2014年には風間千景篇が上演されました。
鈴木:初演当時から、風間篇を待ち望んでいました。演じていると役に愛着が湧いちゃうんですよね。DVDに記録されているものは公演のひと欠片であって、舞台は本当に日々変わっていくもので、みんなで時間をかけて創り上げていくことで、20代前半の迷っている当時に救ってもらった役でもあるので、今でも思い入れは深いです。
 このシリーズを手がけた毛利亘宏さんとの出会いも大きくて、知らない「僕」を見つけていただいたと感じています。風間千景を経て、これまでとはまったく異なる役を少年社中×東映 舞台プロジェクト「パラノイア☆サーカス」で渡されました。それは「風間を演じる僕」を観ていてくれた毛利さんだからこそ、与えてくれたんじゃないかと思っています。声の武器を見つけて、キャラクターの作り方の深度を見つけて、表現について考えるようになったところで、この作品に出演してエンタメとしての虚構であることを楽しむというか、自由さを楽しむということを知りました。
──自由とは、アドリブということでしょうか。
鈴木:アドリブという単語を、誤解を恐れず使うなら、この頃からアドリブ以外で演じることができなくなりました。もっと言うなら、舞台上で常に同じではいられないというか、その日の空気や相手の呼吸、心の有り様によって、どんどん変わっていくことが自然体になったというか。だから立ち位置とかも全然、守れなくて、より自由になったという時期です。
──自在に操れるようになった、ということ……?
鈴木:いえ、自在になるのはまだ先です。自由だ! と思って動いていたら、だんだん、その自由にも限界があることに気付いて、のちのち苦しむことになるんです。
──もしかして、それは2016年、西田大輔さん脚本・演出の、もののふシリーズ『瞑るおおかみ黒き鴨』でしょうか。
鈴木:そうです! それまで気分とテンションと自由でやってきたところに、自分の立ち位置……それは舞台上で指示される位置じゃなくて、座組の役回りとしての立ち位置を託されたんです。
 真ん中に青木玄徳と松田凌という、圧倒的な華があって。一方、俺はとことん泥臭い役として、その熱情や死に際を演じていて。でも同時に、話の展開のために明確に果たさなければならない役割があったんです。だから、今まで気分で演じていたのが、ここで必ず、これをやらなければならない、ということに毎日、従うことが課題となった。この照明で、この位置で、役がこう見えなければならない、見えるように動く、それは嘘をつくのではなくて、技術としてそう在るように見せることも演技である、と学びました……いや、わかってはいたし、それまでも演じていなかったわけではなかったけれど、演じ方の扱い方が増えた、というか。
 そこに気付けたのは西田さんのおかげで、なによりも出演者に魅力的な方が多かったので、埋もれたくなかった……という思いも大きかったから。絶対的な華に対してどう在ったらいいのか、それはやっぱり役割を果たすことだろう、と、ものすごくあがいたし、そう居ようとする姿を西田さんが見ていてくれたことも大きかったです。
──ひとつ得たことで理解が進み、そのことによってまたひとつ得る、と一歩一歩、積み重ねています。
鈴木:これらの作品で、多くの先輩に恵まれたことも新たな糧になりました。それまでは後輩が多くて、その存在に助けてもらっていたところから、先輩が「勝吾がやっていることはおもしろいな」とか、演出家やプロデューサーの方から「勝吾、頼んだぞ」と言われる機会が増えてきて、迷いながらもやってきたことが、一人前の「仕事」として認めてもらえるようになった。それが力となって、30歳まで突っ走ることができたと、改めて感じます。

 

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あえて流れに逆らうことで見えたもの

 

──同世代の俳優、池田純矢さんが手がける、エン*ゲキシリーズについて伺います。2015年の朗読劇、エン*ゲキ#01「君との距離は100億光年」を観て、池田さんのなかにはこんな世界があるんだ……と感じ入りました。
鈴木:今年10月のエン*ゲキ#04『絶唱サロメ』にも出演するし、この先も長い付き合いになっていくとは思うんだけど、最初は「参加したい」というよりも、純矢がそういったことをやることにものすごく感動して「僕でいいなら力を貸したい」と思ったことは覚えています。当時、純矢が主演のミュージカル『薄桜鬼』藤堂平助篇に風間千景として出演して、見届けたのもそういう気持ちがあったからで。その前の風間篇で燃え尽きた気持ちもあったけど純矢がやるなら応援したいと思っていたから。
 ただ、エン*ゲキ#02『スター☆ピープルズ!!』の主演は正直言ってプレッシャーでした。#01の朗読劇とは比べ物にならない責任の重さだったから……ただ、結果的には稽古が楽しくて、幕が開いてからも楽しくて、結果も出せたから、すてきな船出に関わることができたとは感じています。純矢はものすごくエンターテインメントの人だな、と思っていて、人に嫌われない作品を創るという才能に長けている。だから、この先もたくさん学ぶことがあるんだろうな、という存在です。
──お話を伺っていると、ミュージカル『薄桜鬼』出演後、2.5次元舞台に注目が集まりつつあるときに、あえて離れて行った印象があります。
鈴木:あー……実は、そうなんです。ちょうど2.5次元作品が注目を浴びていることも知っていたし、でもだからこそ流行りに乗りたくなかったというか(笑)、ちがうところで学びたかったというか。でも、その結果、自分の感性に直接訴えかけてくれる、たくさんものを見つけることができました。僕の俳優人生に於いて、一個、価値観というか、迷ったときの選択肢となるうる意思、みたいなものは、このときに出会った演出家の方々や出演した作品に育(はぐく)まれた、と思います。
──次にそれらをぜんぶ織り込んで、どかんと挑まれたのが、2017年のミュージカル『スタミュ』の天花寺翔ではないでしょうか。作中作で朗々と台詞を放つ姿が本当に粋でした。
鈴木:それはあります。自分のなかでつちかったものがあると感じることができていたし、力を貸してほしいとお話をいただいて、お受けしました。ただ、稽古に入ってしばらく戸惑っていました……吉谷光太郎さんという初めての演出家で、初共演も多くて、さらに初舞台に近い俳優がたくさんいて。みんな、この作品の出演をすごく喜んでいて、それはとてもすてきなことなんだけど、どちらかというと俺は一歩、引いた視点でいて、自分がやらねばならないことはなにか、といったことを考えていたので、その意思を伝えるのに少し時間がかかりました。
 ただ、伝わってからは速くて。主演の杉江大志が名前の通り大きな志を持っているヤツなんだけど、ものすごく高みを目指していて、その姿に周りが引っ張られていく様がとても美しかったんです。さらに原作のプロデューサーのモノ作りへの愛と届けたいという強い想いに触れる機会があって、方法や場所は異なるけれど、その情熱と作る姿勢みたいなものにすごく共感できて。この熱量を損なわずに「舞台」という場に持っていくのが僕らの仕事だな、と考えることができたし、役をどう演じるか、だけでなく、原作の熱を丸ごと客席に届ける、ということまで考えることができた機会でした。
──そうした思いで生まれた作品だからこそ、新作が続いているかと。前回、登場した櫻井圭登さんが、ライバルであるteam柊のスピンオフが上演され、本公演(ミュージカル『スタミュ』スピンオフ team柊単独公演『Caribbean Groove』)になることは奇跡のようなことだから、と話していました。
鈴木:ああ……わかります。僕、好きなんです、圭登が。ひたむきに演劇というものに向き合っていて、必死なのは当たり前なんですが、そこにもっともっと自分の価値観や欲求を乗せたいとあがいて、貪欲に演じていることが伝わるので、また共演したい俳優のひとりです。
──ほかに、また一緒に、と思う方は?
鈴木:スズカツさん(鈴木勝秀)です。演出家で脚本も書かれますが、2018年のリーディングドラマ 『シスター』がめっちゃおもしろかったです。スズカツさんのセンス、ものすごく好きです。朗読劇って、ただ読めばいいだけじゃないし、俳優の力はもちろんだけれど、朗読劇たらんとする脚本の力が大切で、朗読するための物語を書くってとても難しいと思うんです。
 ときどきこれは朗読劇じゃなくて朗読会だな、ってことがあるんですが、俺にははっきり区別があって「朗読劇ならここまでしなくてはいけない」と目指すラインがある。そのなかで『シスター』はまごうことなく朗読劇で、話す言葉は、そのまま俺の物語でもありました……あの世界にまた浸りたい、そう願ってしまう人です。

 

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「今」だから、見えるものがある

──10周年、30歳を迎えての変化を伺います。今年、1月、少年社中『トゥーランドット~廃墟に眠る少年の夢~』に出演しました。
鈴木:主演がミュージカル『薄桜鬼』斎藤一篇からずっと共演している松田凌でしたが、やっぱり松田凌という俳優と演ることはおもしろくて、楽しくて、俺の憧れであり全部好きなんですね、お芝居とかセンスとか人間の感覚とか。だから、このときは「あなたは俺の上位互換だから、もしも俺という存在がいなくなっても、きっとあなたは演じている」という話をしました。
 自虐でも何でも無く、30歳ともなれば見えてくるものがあるんですよね。今の「自分」という、ある程度できあがったものと周りの俳優が持っているものとの差、みたいなのが。だから松田凌に売れてほしいし、実際、売れているんですけれど。松田凌が認められない世界だったら俺が認められるわけがないし、それ間違っているから、って思うんです。
──冒頭の「植え替え」の話でも感じましたが、自身の輪郭を知るだけでなく、他者を認め、言語化できることに感嘆しています……。
鈴木:なんとなくですが、観たらわかりますから。「あ、才能あるな」って。それは技術的なことや持って生まれた愛嬌とか、天賦の才、みたいなの。ああ、もう、これは敵わないなって。
 でも、だからこそ異なるところで戦わなければならないし、よりいっそう俺のセンスが問われてることになると知っています。そこは諦めてはいないから、今もあがいているわけです。
──その言葉を今日、記事として届けることができてうれしいです。
鈴木:でもね、一方で、時代に選ばれる、という運もあって。以前、シャトナーさんが「時代に選ばれるってすごいことだから」と言っていたことを、今、この年になって実感しています。だからこそ、自分のスペシャリティをどう出すかをより一層、考えるようになりました。
──その「鈴木勝吾」という俳優のスペシャリティについてですが、ミュージカル『憂国のモリアーティ』がすばらしかったです。ミュージカルは一曲のなかに時間の流れとそこでの感情の変化をこれでもか、と盛り込むものと解釈しているのですが、一曲、一曲の情感の濃さに驚き、より高みへと踏み出すのだ……と感じました。
鈴木:ありがとうございます。今、持てるべきものはすべて出すことができたし、さらに学ぶことはありました。今までも歌う作品はあったし、風間千景も歌ってはいましたが、どちらかというと作品世界に寄り添ったイメージソングやテーマソング的な曲が多かったと感じていて。
 一方で『憂国のモリアーティ』は心を伝える曲が多かった気がします。この歌詞をどう、感情として伝えるか……言葉を選ぶけど、単に「歌が上手い」という評価にあらがいたくて。どう感情を乗せるかは演技力で表現力だから。
──その志が伝わったと感じていて、幕が開いてから口コミで評判が広がりました。
鈴木:久々に尖ったな……と思います、精神的に。主演を背負うからにはグランドミュージカルを目指したかったし、でも足りないものがあることもわかっていたから、なにが必要かものすごく考えたし、W主演の平野良くんとめちゃくちゃディスカッションしました。
 脚本と演出の西森英行さんともいい意味でぶつかって、作品解釈の向かう方向や、キャスティングされているからには俳優全員に居る意味があるべきで、そのためにどういう曲が求められるのか、といった深い部分にまで踏み込ませていただきました。主演として、いや、主演だからこそ、わがままをたくさん言うことを受け止めていただいて、とても贅沢な時間を与えていただきました。
──自身が「わがまま」だとわかることがすてきです。同時に、ゼロからイチを立ち上げる作業でもあったかと。
鈴木:だって、キャスト全員が世界で最初に、このキャラクターを演じるわけだから。原作が作り込まれて、おもしろいからこそミュージカルとして最初に世に送り届けることの責任を感じていました。苦しかったけれど、これまでとは異なる作品との関わり方もものすごくおもしろかったんです。
 それなりに苦労して経験を積んできた俳優たちが演技も歌もがんばって、評価されて、いいものを創ることができたという手応えを感じることができました。だから、公演は終わったけれど、こうして機会をいただいたときは言葉を尽くして語りたい。それはどんな作品でも同じで、本気で創ったものだからこそ、常に劇場で観てほしいし、舞台で体感するよりも届く熱量が損なわれることはわかっているけれど、映像として残るなら、一人でも多くの人に観てほしいと願っています。
──デビュー当時から取材に伺っていますが、歯がゆそうだな、と感じた時期が、実はあります。ですが、今日、それらがすべてどこかに吹き飛び、晴れやかです。
鈴木:苦しみましたから(笑)。積み重ねることで生まれたものを整理することにもそれらを言葉で説明するにも時間が必要でした。
 うまく言葉にできなかった時期もありました。マネージャーに自分の考えを伝えることができなくて、たくさんぶつかりました。それは周りに対しても同じで、自分が何を思い、何をやりたいのかをどうしたら伝えられるのか考えて、考えて……誤解なく伝えるためには、言葉を尽くすこと、行動で見せることのふたつしかない、と、すごく当たり前のことなんですが、わかったんです。いくら、いろんなことを考えていても、相手に伝わらない、ということがいちばんだめだと思うから、そこに関しては努力を重ねてきたと胸を張って言えます。
──その、マネージャーさんはデビュー当時からずっと鈴木さんを担当されています。
鈴木感謝しています。10周年記念のバースデーイベント用の撮影時のムービーインタビューでも、ファンの方にお礼を言うべきところで、気付いたらマネージャーへの感謝を語っていました(笑)。
 ただ、僕らはシステム上、プロダクトであらねばならないと思うんです。でも、じゃあ、終身雇用で50年間、プロダクトとして、用意されたことをやり続けることで生きていけるかというと、そうではない。もちろん才能もあって努力もできて、用意されたことをやり続けることを求められる人もいます。ただ、そんなスター街道を走れるのはほんの一握りの存在だから。で、僕はそうではないから自分の頭で考えて、やりたいことややるべきことを決めていく必要があって。そのバランスを一緒に悩んで、歩んでくれるのがマネージャーなんですよね。
──まさに二人三脚です。
鈴木:はい。ただ、頼りすぎるのも良くなくて。自分の価値観や、生活のこと、縁があった方々との関係を紡ぐ、という己の人生に関わってくることは自分で考えていかなければならない。そこを自覚していないと、もしもつまづいたり、転んだりしたときに、誰かのせいにしちゃいそうなんですよね。それ、絶対、だめだから。
 今日の話って、全部つながってるんですけれど、だから周りの人すべてに、自分の考えを言葉と行動できちんと伝えられるようになりたい、それは表現にもつながることで、心がけてきたことです。
──7月には脚本・演出は西田大輔さんが手がける、DisGOONie Presents Vol.6『PANDORA』で主演を務めます。
鈴木:3月にDisGOONie Presents Vol.5『PHANTOM WORDS』が終わったときに、西田さんから「次、主演な」と言われて「えっ、なんでですか?」って聞いたら「おまえ、やれそうだから」って返され。言われたわけではないけれど「30歳で、10周年だろ。主演、はれよ」っていう男気を感じているので、託されたからには、応えます。それが恩返しになるから。
 西田さんって表現者で、ロマンティックで、人間的魅力があって、人を惚れさせる才能があるんです。だから、まんまと惚れさせられちゃって(笑)、西田さんから惚れてほしいと思ってもらえる存在でいたいな、ってなっちゃう。でも、だから、怖いんですが、全力で臨みます。かっこいい作品になっていると思いますので待っていてください。
──今日はご自身の変化と、まさに「今」を語っていただきました。最後に一言お願いします。
鈴木:本当に今年はいろいろなところで「10周年です」「30歳です」と言っていて、ありがたいことに忙しくさせていただいていて、これらの経験をさらに次の5年、10年の糧とします。
 ただ、僕が忙しくさせていただいている、ということは、応援してくださる方々も忙しくされているということで、追いかけてくださる方は大変かもしれません。けれど、機会をいただく限りは出続けます。それは「今、鈴木、がんばってるぞ」ということでもあるので、決して無理はせず、けれど観ていただけたらうれしいです。

 

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鈴木勝吾 すずき・しょうご

 
1989年2月4日生まれ。神奈川県出身。取材時、30歳。
2009年、『侍戦隊シンケンジャー』シンケングリーン/谷千明役で俳優デビュー。2012年よりミュージカル『薄桜鬼』シリーズに風間千景役として出演。2017年の舞台『ジョーカー・ゲーム』、2018年に少年社中×東映 「ピカレスク☆セブン」、エン*ゲキ#03「ザ・池田屋!」、2019年はミュージカル『憂国のモリアーティ』、舞台『ちょっと今から仕事やめてくる』など主演作も多数。7月にも主演舞台DisGOONie Presents Vol.6『PANDORA』、少年社中第37回公演『天守物語』、エン*ゲキ#04『絶唱サロメ』の出演が控えている。
公式ブログ https://ameblo.jp/shogo-suzuki/
鈴木勝吾[Official] @Shogo_Suzuki_

 

インタビューを終えて

 デビュー作『侍戦隊シンケンジャー』当時から取材に伺っている方です。二十歳の当時、気持ちがあふれてあふれて、言葉が追いつかないけれど、心の機微に敏感で、なによりも行動が十全に語る方でした。決して自ら明かされることはないだろうけれど、番組最終回を迎えた2010年2月8日の自身のブログ(タイトル「正義が光る、その空に」)に込められた心遣いは多くの人の胸を打ちました。
 そんなふうに常に言葉よりも行動で、心を、熱を、届けていた、少しだけ不器用だったかもしれない。そんな俳優が、きっとあがいてあがいて、10年経ち、30歳を迎えた今、自身を語る言葉の豊かさを得て、この日、きれいな笑顔でたくさんのことを明かしてくれました。その経験の重みを噛みしめた時間をここに、届けます。

 

取材・構成・文:おーちようこ
撮影:武田和真
ヘアメイク:古橋かなこ
スタイリスト:吉田ナオキ 衣装協力 BLUE IN GREEN pr

禁無断引用、転載。記事、写真、すべての権利は「最善席」に帰属します。

 


DisGOONie Presents Vol.6『PANDORA』


公式サイト http://disgoonie.jp/stage/vol6/

「NEW WORLD」。
ディスグーニーのモチーフともなる「海賊」をテーマに、
2015年ディスグーニー設立第一弾記念公演として上演された作品。
ディスグーニー史上、観客に最も支持されたこの作品の世界観をベースに、
西田大輔が新たに書き下ろす新作公演。
新たなもう一つの物語。

「PANDORA」。
ディスグーニー第六弾公演で、この始まりの物語が生まれる。
2019年7月11日(木)~7月17日(水)
全労済ホール/スペース・ゼロ

■出演:
鈴木勝吾 谷口賢志 田中良子 中村誠治郎 山口大地 村田洋二郎 高橋光 平山佳延 磯貝龍乎 佐久間祐人/萩野崇 西田大輔/松田凌

平野雅史 石井寛人 書川勇輝 田嶋悠理 今井直人 和田啓汰 七瀬彰斗 竹内悠人

PANDORA ロゴ

鈴木勝吾キービジュ写真☆

 

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