年の瀬、る・ひまわり明治座公演『ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~』前川優希からの手紙、再び、物申す!?

先日の前川優希さんの「る・ひまわりに物申す(!?)」インタビューでの「参加ユニットが多い!」なる発言を受け、本取材を敢行。
5ユニット中、3ユニット(ActSTONES『イミネーッショ・レイン坊』・鹿るGENJI『ナラダイス銀河★劇場』・THE ZEN 『JI-AI』)の歌唱パートを収録中のスタジオへ突撃。
レポとインタビューをユニット写真とともに、ここにお届け。

ステージ衣装の撮影とともにユニットそれぞれのパートを収録したという、この日。る・ひまわりの第二部の音楽を担当されている楠瀬拓哉さんがていねいに歌のニュアンスを伝える。心がけているのは「楽しく歌ってもらう」こと、だとか。だからこそ、その役者に届く言葉を選び説明することを心がけておられるそう。

「ここはめちゃくちゃカッコつけて」
「元気よく」
「吐息を多めで」

機材や卓が並ぶブースの向こう側、前川さんはかけられる言葉に即座に反応し、明らかに変えて歌ってみせるからすごい──しかし、とある歌の収録時、ブースの向こうから「もう! 松田岳の次が俺って良くない!(笑)」と叫ぶ声が。先に収録していた松田さんの歌い方にツッコみ、スタジオに笑いが。

真剣だけれど、やわらかな空気のなか、次々と収録を終えていく。曲の途中にはさまれる台詞も一発でOK。

すべて終えた後は自分の歌の確認を。スタジオの隅っこに腰かけ、つま先でリズムを取りながら目を閉じ真剣に聞き入る。聞き終えて、満面の笑顔を見せた。

「表現」と呼ばれるもの
すべてに挑みたい

──前回は、る・ひまわりさんに物申す、インタビュー、ありがとうございました。

前川:その節はだいそれたことを言いました(笑)。改めて「司会」という経験は本当に大きかったんですが、役者としてはユニットに参加してみんなと舞台の上にいたい、という思いもあって……ちょっと話が脱線しますが、僕はアスリートではないので、なかなか軽い感覚で筋トレに挑めないんです。すごーく思い切って、よし、やるぞ! と気合を入れないと難しくて。
この例えがあっているかどうかわからないんですが、表現することは好きだし、舞台上でお客様とセッションじゃないけど反応していただいて、そこに返すことも楽しいんですがめちゃくちゃ真面目に考えてしまっていて、毎朝、起きた瞬間に悩んでいました。でも、もちろん毎秒、毎秒、幸せも感じていたんですが。ただ、今年は鯨井康介という大先輩が司会で、すべて受け止めてくださるので全力で甘えさせていただこうと思っています! 観ていてくださる方々に「ああ、前川くんはこんなことができるようになったんだね」と少しでも思っていただけるように取り組みます。

──本日の歌の収録はいかがでしたか?

前川:歌に関して、実はちょっと苦手意識がありまして……学生時代というか本当に中学、高校と友人とかに「上手くないよね」と言われ続け。まあ、下手だったんです。今は舞台上で歌うこともありますが今もすごく上手いというわけではないので、込められた思いを表現して届けたいと心がけています。
上手く歌うというよりも、どうしたら、この高い音を出せるんだろう、どういう風に声にしたら歌詞が届けられるんだろう、という感覚でいて。もちろん、歌がうまい、ってすごくすてきでカッコいいことなので表現者として憧れはあります。ことに今回、二部だけでなく一部もミュージカルなので、歌うことで「表現する」という意識は深まっています。

──確かに一部も歌う場面は多そうです。(と、ここで立ち会っていたプロデューサーから)

:実は本編の曲が増えまして……現在、32曲になりました。

前川:えっ? 先日は28曲と聞いていたんですが、4曲、増えたということですね(笑)。

──なんと!

:さらに、相葉裕樹さん、内藤大希さん、上口耕平さん、大山真志さん、原田優一さん、そこに前川さんというワンシーンで、前川さんだけが歌う……。

前川:待て、待て、待て!!!!! やだやだやだやだやだやだ、なんで、そのメンバーで? ダメじゃない? もう全然、ダメ! いや、逆でしょ、逆。俺だけ台詞で、他全員が歌でしょ! わー、これは、どこと戦えばいいんだ? 「る・ひまわり」という概念と戦えばいいのか?

──概念……?(しばし混乱する前川さんが落ち着くのを待ち)改めて、収録後の取材ですが「この曲が難しかった」「歌詞を覚えるのが大変だった」という感想ではなく「役者として、どう表現するか?」といったことを語られていることが興味深いです。

前川:「表現」として、ひとくくりにはできませんが、ミュージカルがあって、ストレートプレイがあって、商業演劇があって、小劇場があって、2.5次元があって、それらは全部「表現」だと思っていて。観る人に感動を与えるもので、俺が選んだものだから、その「表現」というカテゴライズに入っているものは全部、やりたい……という思いがあるんです。
こんなふうに正直に言っちゃうのも恥ずかしいし、暑苦しいとか思われちゃうんだろうけど、俺、る・ひまわりさんの明治座の年越し公演、ものすごく好きなんです。おこがましいですが、なんだったら出演者の方々はもちろん、客席にいてくださる方も全員、家族みたいに思っていて、一家だなって、すごく大切にしているんです。でも、だからといって「表現」として突き詰めてやる……! ということだけでなく、楽しみたいし、盛り上がればいいじゃん、という気持ちもあって。でも、頑張ったから良し、というのも嫌で、結果も出したいというか。なんか、うまく言葉にできないんですが、そういうものを全部まとめて俺にとっての「表現」だと思ってます。
だから、これは俺が役者だからだと思うんだけど「できなかった」や「落ち込む」も自分で観察しちゃって、それも「表現」のひとつとしたい、みたいな気持ちがあるんです……あれ? なんかズレたこと言ってますね。一生懸命、言語化してみたんですけど、これ、すごく恥ずかしいっすね(笑)。

──いえ、すてきな思いを伺えました。なので、このまま記事にさせていただきたく。

前川:あっ、でも、さっきの、僕だけ歌うくだりは載せないでください! もしも歌わないことになったら、それはそれで恥ずかしいから!!!

 

果たして、どうなってしまうのか? 本番をお楽しみに。

撮影・文/おーちようこ

【る太】シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~』(略して『る太』)

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第一部:シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~』

【脚本】 池田テツヒロ
【演出】 原田優一
【音楽】 かみむら周平
【出演】 相葉裕樹/内藤大希/
石川凌雅、松田岳、前川優希、井澤巧麻、広井雄士、井深克彦/
丘山晴己/井澤勇貴、伊藤裕一、加藤啓/大山真志、辻本祐樹/原田優一/
上口耕平/ROLLY/水夏希

第二部:「猿楽の日1338~近頃都で流行るものフェスティバル~

【総合司会】 鯨井康介
【出演アーティスト】
ActSTONES『イミネーッショ・レイン坊』
メンバー:リーダー/ウジー(相葉裕樹)、ほじょ(松田岳)、さだろー(前川優希)、MORRY(石川凌雅)、どーよ(井澤勇貴)、MASASHI(大山真志)
ギター…ROLLY

鹿るGENJI『ナラダイス★銀河劇場』
メンバー:しかーくん(井澤勇貴)、大仏男(石川凌雅)、興福寺(前川優希)、吉野山(井澤巧麻)、平城京(広井雄士)、奈良漬(原田優一)

新しい都のリーダーズ『キゾクブルー』
メンバー:ASHIKA(内藤大希)、SHIGENON(丘山晴己)、KAZYU(広井雄士)、ENN(加藤啓)

ミュージカル『ナラジン』より
「三種のジンギー」「ア・ホーリュー・ジ・ワー(あ、法隆寺は?)」
メンバー:ジンギ―、アラジン、ナラジン、ジャスミンティー
※出演キャストは後日発表

THE ZEN 『JI-AI』
メンバー:愛・尊氏(相葉裕樹)、愛・時行(井澤巧麻)、愛・義貞(前川優希)、愛・顕家(辻本祐樹)、愛・直義(内藤大希)、愛・高時(松田岳)

夢窓疎石:加藤啓
明かっち家さんまミーア:井深克彦
ダーリン:伊藤裕一

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