年の瀬、る・ひまわり明治座公演『ながされ・る君へ』出演を楽しみにしていてくださる方へ──前川優希からの手紙

2020年、10周年は忠臣蔵だ!! チャオ!明治座祭10周年記念特別公演『忠臣蔵 討入・る祭』に最年少で初登場時に、当サイトに登場した前川優希さん(蒼木陣さんとの対談)が、再び登場。
2023年の今年は、シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~で座長の相葉裕樹さん演じる足利尊氏の“自称・ライバル”な新田義貞として出演。
取材当日、4年連続の、る・ひまわり年末公演に、どうやらあれこれ感じるところがあるらしく……? 改めて思いの丈を語っていただきました。

──2020年に続き、2021年のシンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『明治座で逆風に帆を張・る!!』に出演。2022年には、笑う門には福来・る祭『明治座でどうな・る家康』で二部の司会を務め、今年で4年連続の出演となります。

前回の取材のときは最年少の21歳で、稽古中に誕生日がきて、22歳になり、今、26歳です。4年かあ……(しみじみ)。

──そこで、台本などもこれから、とのことなので、「る・ひまわりと私」というテーマでお話を伺えたら。

えっ、今、ここで、昨年の話をさせていただいてもいいんですか? いいんですね! だとしたら、僕は、全力で物申したい!!!

──なんでしょう?

おい! これはどういうことだ! という話です(笑)。4年前に初めて呼んでいただいてほんとうに楽しくて、こんなすてきな現場はないと思っていて。だから翌年も呼んでいただけて、それもすごくいい経験をさせていただきました……しかし! 三年目、去年ですよ!
ありがたくも出演のお話をいただきましたが、どうしても稽古の都合がつかなくて。調整します、とも言っていただきましたが、共演者の方々にご迷惑をおかけするのも、と思って泣く泣くお断りしたんです。ただ、ゲストで呼んでいただけたらうれしいです、なんて話をしていたらですね! なぜか『二部の司会で』というオファーをいただいて。えっ!? ってなるじゃないですか。

──なぜ、そんなことに?

スケジュール的に公演には全日、出演できたから、です……っていうか、司会って、なに!!!!! ってなりました。だって、歴代の大先輩が務めてきた大役ですよ!? それを僕のような新参者が! と。観客の皆さんだって、ざわざわするに決まってるじゃないですか。

──ですが、結局、受けられました。

そりゃ、こんな光栄なお話いただいたら、受けるでしょ! いや、受けさせていただきました。はい。でも……いい経験でしたが、正直言ってものすごく大変でした……。もう、どうしていいかわからなくて諸先輩方に相談しまくって、座長の平野良さんには「大丈夫、大丈夫」って言っていただいたけど、全然! 大丈夫じゃなかった!!!(笑)。
もう、これでもか、というくらいに次から次へと出演者の方々にイジっていただきました。「はい、次、行きます!」って言ってるのに、宮下雄也さんから「いやよ! いきたくないわ(笑)」って止められて、いつまでたっても次に行けないとか、本当に毎日、生きた心地がしませんでした。

──とはいえ、楽しかったのではないでしょうか。

………そう、なんです! 楽しかったんですよ! でも、大変だったんですよ! ただ、僕自身も少しずつ、目一杯だった2020年から少しはお客様の反応を受け取る事もできるようになって。
出演者のひとりではありますが、一歩引いた場所で全体を見回すことができるという位置にいさせていただけたことは本当に大切な経験となりました。

──それはなによりです。

はい! 物申す、というよりは、お礼でした。ありがとうございます! ただ、さらに!!! もういっこ、言いたいことがあります!

──なんでしょう?

お願いですから、今年の二部の出演順は、どうか松田岳の次にしないでください!(その場にいた全員、思わず爆笑)あれは、もうダメですよ。初出演の2020年はWキャストでしたが二部は全公演、ふたりで出ていて、自己紹介タイムで名乗りましたが、松田岳の後にはなにをやっても、一個もおもしろくない!
もう、いろんなスタッフ、諸先輩の方々に「優希、あれはもう順番が悪い。松田岳の次という点でスベるのはしょうがない!」と言われ。さらに翌年2021年の順番が、松田岳、私、櫻井圭登だったんですよ! もうやだー! とんでもないのにはさまれてた!

──今、プロデューサー氏から「松田さんを受け止められる力があると信じているから」とのコメントが。さらに「前川さんならきっと超えていける、という、お客様からの期待値が大きくて」とも。

だから! それが問題なんです。もうね、観てくださる方々が楽しみにしちゃってるんですよ。松田岳との対決を。そこがもう、ダメですから!

──松田さんご自身も受け止めてくださると思っているのでは?

そうだとしたら、とても光栄ですし、もちろん期待には応えるべく全力を尽くします……というか、この発言がもうダメですよ。自分でハードルをあげている……申し訳ありません。あー、今日、なんか私、ずっと生意気ですね。

──むしろ、心強いです。僭越ながら、4年の間に役者としても成長されたかと。前回の取材時は、最年少で初参加の緊張も感じられ、かなりかしこまっておられて……。

それが、今や、こんなふうに物申すまでに(笑)。いや、これじゃダメだ。もっと謙虚になります。というか、それほどまでに、る・ひまわりさんに心を許して、楽しみにしているということなんですが。

──そこは、今日、ずっと感じています。

やっぱり、うれしいんです。去年はカウントダウンこそなかったけれど、年末年始に、る・ひまわりさんの舞台に立てることが。暦を使っている日本人として、一年の締めくくりという瞬間に、表現者で在れる、舞台の上でカウントダウンして、みんなと「あけましておめでとうございます!」と言い合える経験ができることが、どれだけ幸せか、と。
さらに4年間という月日を経て「表現」に対し、役者「前川優希」として、より深く考えられるようになり、引き出しを増やすこともできました……というか、そうでなければ役者としてまずいですよね。4年前の自分は明治座という大舞台に対して、もちろん全力ではあったけれど、やっばりどこか物怖じしていただろうし緊張していたと思うんです。

──だからこそ、今日のこのインタビューはとても頼もしいです。

そう感じていただけたらうれしいですし、そうありたいと思っています。改めて思うに今年も呼んでいただいた、という事実への自負みたいなものもあって。なによりも、これまで僕の役はどこかの軍に所属していましたが、今回はちがうんです。
新田義貞という人物は関係図を見ると、相葉さん演じる足利尊氏の“自称・ライバル”として独りで対峙するんです。新田義貞は決して有名な武将ではないので詳しい方は少ないと思うんですが、だからこそ演じがいがあるというか。役として作り込める部分が大きいことが今からとても楽しみなんです。

──確かに、想像する余地が大きい役です。

この、る・ひまわりの明治座公演は毎回、史実を知らなくても、知っていても楽しめる、エンタメとしてのおもしろさがつまっていると感じていて。お芝居があって歌と踊りがあって、それこそ全方位で楽しんでいただけることが大変ではあるけれど、役者としては最高な舞台で。さらに、だからこそ戦いの場でもあるので、怖くもあるんですが、わくわくしている部分もすごく大きいです。
さらに一昨年前には源氏がどうとか、鎌倉がどうとか言ってた私が、今年は鎌倉幕府を倒しに行きますからね(笑)。そんなふうに立場ががらりと変わるのもすごくおもしろい。

 

──そして、なんと今回はミュージカルです!

そうなんですよ! 相葉さんはじめ、ミュージカルモンスターがたくさんおられて、いったいどうなっちゃうんだろうと。さらに、元宝塚トップスターの水夏希さんにまさかのロックスター、ROLLYさんまで!!! と。これまで舞台上で歌う機会がまったくない、とは言いませんが、やっぱり「ミュージカル」という文化が形作るものがあるので、要求されるスキルも高いだろうし、新たに身につけなければならないことは多いとは思っているんです。
そのうえ、これからメンバーが発表になるんですが、二部のユニットの参加数が、俺、なんか多いんですよ! 毎年、他の方々よりちょっとだけ多いんですが、今年もか! と。いや、本当にありがたいたいんですけれど。

──だから、それは期待値の現れ……。

うれしいですよ!!! でもダメ! そういうところが怖い!(笑) とにかく試されることが多すぎて。ただ、年末のお祭りだってこともわかってるし、出ている方も観ている方もだんだんとクセになっちゃってる、とは感じているんです……だって私を応援してくれている方々がちょっとずつハマっているみたいで(笑)。
「前川優希の年末はもしかして、るひま……?」と予想してくださっている方もいて。はい、その通りです! 今年の年末は明治座です!!! こんなふうにみんなにとっても年の瀬の定番みたいになっていて、一緒に楽しみにしていてくれることも、実はとても誇らしいいんです。

──すてきです。確かに前川さんの出演で、初めて明治座に足を踏み入れる方もいるかと。そこで、お土産やお弁当と、観劇の新たな楽しみに出会う方もきっといるかと思います。

一緒に知らないことを経験してもらえる、楽しんでもらえる、それが続いていくことがどんなにか幸せなことかと。それはもう、ものすごく噛み締めています。
今年は「ようこそ明治座の狂宴へ」ということで、キービジュアルは吸血鬼がテーマで、生まれて初めて血糊を付けての撮影も経験してしまいました。これからさらに一部の衣装があって、二部のユニットの衣装もあって、芝居の稽古と曲のレコーディングと振付の稽古もあります……と話していると、改めて本当に手間暇がかかっている、年の瀬のお祭り騒ぎだなあ、と感じます。

──これから年末に向け、ますます盛り上がっていくかと思いますが、最後に、公演を楽しみにされてる方々に一言、お願いします。

えーと、そうですね……今日は私の思いをここまで明かしてしまったので、あえて言わせていただきます!
私を応援してくださっている方々へ! 皆さんが明治座に毒されていることを知っています。私と松田岳の掛け合いを楽しみにしていることも知っています。だから、俺も! 存分に楽しみます。いつか、ふたりでW主演、とか! そんな、だいそれた声もいただいている、と聞き及んでおります(笑)、だからこそ、そのためには全力で精進したく。
今年も呼んでいただいたからには期待以上のものを見せたいですし、去年は出演できなかった本編に出演し、物語を彩れることにわくわくが止まりません。謙虚な気持ちで今年も精一杯がんばりますので、どうか幸せな年の瀬を一緒に迎えに来てください。よろしくお願いいたします。

 

前川優希 まえかわ・ゆうき
X(Twitter)https://twitter.com/yuyukiki535

 

取材を終えて
笑顔で、ときに照れながら、本音で話してくださった前川優希さん。実は、る・ひまわりさんの明治座公演へとつないでくださったのは、滝口幸広さんだったとか。
別作品で共演し「すごくすてきな俳優だから」と伺っていたのでお声がけしたかった、というプロデューサーの話を受け、改めて今回、明治座公演を心から全力で愛しておられる心を丸っと、お届けできたこと感謝します。

撮影・取材/おーちようこ 8月都内にて収録

シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る
『ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~』

【公演HP】 https://taihenki.com

【脚本】 池田テツヒロ
【演出】 原田優一
【音楽】 かみむら周平
【出演】 相葉裕樹/内藤大希/
石川凌雅、松田岳、前川優希、井澤巧麻、広井雄士、井深克彦/
丘山晴己/井澤勇貴、伊藤裕一、加藤啓/大山真志、辻本祐樹/原田優一/
上口耕平/ROLLY/水夏希

【東京公演】2023年12月28日(木)~31日(日)明治座
・12/28(木) 11:00/17:00
・12/29(金) 11:00/17:00
・12/30(土) 11:00/17:00
・12/31(日) 14:00/20:00
※12/31(日)20:00公演はカウントダウンを行います。
※上演時間は約4時間を予定しております。(休憩2回含む)
※ロビー開場:開演の60分前。客席開場:開演の45分前。

キービジュアルアザー写真も特別公開! 足元まで注目だ。

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