橋本祥平、舞台「文豪トレイドッグス 三社鼎立」芥川龍之介役を語る

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「芥川龍之介」という役を得て
初めて悪役という存在と向き合いました

「この、舞台「文豪ストレイドッグス」で芥川龍之介という役に出会えたことが、僕にとってはとても大きな発見と一歩を踏み出す機会となったんです」
 このほどシリーズ新作となる、舞台「文豪トレイドッグス 三社鼎立」に出演する橋本祥平は役について、そう語る。なぜか? それにはデビューからの道のりがあるという。
「もともと俳優を志していて、お芝居が学べる学校に通っていました。その進路を決めたときに『一度限りの人生だから』と背中を押してくれた両親には感謝しています。そこで、あるとき『勉強になるよ』と言われて、ミュージカル『薄桜鬼』斎藤一篇のお手伝いに行ったんです」
 それが2012年のこと。かくして舞台の輝きに魅せられてしまう。
「映画やドラマを観て、魅力的な世界だと思うことはあっても、生の舞台を観る機会は少なかったんです。だから、こんなにすごいものだとは知らなくて。ああ、僕もこんな場所に立ちたいな……と思いました」
 大きな出会いにも恵まれた。
「初舞台で主演の斎藤一を演じた松田凌さんです。僕が今の事務所に所属する縁となった方で、あんなふうになりたいな、と思ったし、今も背中を追いかけている絶対的な先輩です」
 そんな自身が後を継ぎ、同シリーズで同じ役を演じることとなるのが2015年。当時、後進へ役を引き継ぐ、松田凌さんが自身の思いをつづったあたたかいブログは大きな話題となった。
「それもまた縁を感じていて。夢って言葉にして、努力し続けていたら叶うものなんだと実感できて、本当にうれしかったし、感謝しましたし、でも、だからこそものすごく怖かったですね。
 ただ、演じられる喜びのほうが大きくて。だけど、全然、実感がわかなくて公演中もずっと気を張っていて、大千秋楽でようやく、ああ、舞台に立てているんだ……と初めて実感できて、大号泣でしたね」
 その後、さまざまな舞台を経験。
「同じ年の11月にハイパープロジェクション演劇 舞台『ハイキュー!!』で西谷夕を演じさせていただいて、体力的にも精神的にもものすごく鍛えていただきました。この作品は4作ほど出演させていただきましたが、作品が続くことの重みや一つの役を演じることの責任、といったものを学びました。結果的にシリーズが続く作品もたくさんありますが、実は続くって、ものすごく大きなことでものすごいことだと思うんです。それは僕らの先輩方がつちかってくださって、道を作ってくれたからこそ『今』があると思っていて。でも、だから常に今を全力に『次』は考えないですね。
 今、眼の前にあることに向かって全力を尽くす、作品に対して命がけで挑む。その結果、お客様が喜んでくださって次に行けたら、それはとても幸せなことだと思います。だからこそ、再び、芥川龍之介を演じられることはものすごく嬉しいです」
 舞台「文豪ストレイドッグス」の第一弾の上演は2017年。そのときの思いを明かす。
「出演が決まったときはめちゃくちゃうれしかったです。もともと作品自体は知っていて、出演が決まってから、改めてアニメを観て、コミックスを読み、物語世界と向き合ったときに、ああ、こんなにいい役を演じることができるんだ……とものすごく身が引き締まりました。
 実は、それまで『悪役』のような立ち位置の役を演じたことがなかったんですよね。明るい役や前向きな役をいただくことが多かったので、芥川龍之介を演じてからそういう道が開けた……というか、暗い感情を演じるキッカケをもらえたという感じがしているので、今回、再び演じることができることがものすごく楽しみで仕方ありません」
 舞台ならではの愉しさもつまっていると語る。
「今はいろんな機材もあって舞台の演出にも映像がたくさん使われていたりしますが、この作品はそういったものも使いつつ、人力というかアナログな手法を使っている部分がたくさんあって、ああ、演出って無限大なんだな、と感じさせてくれる舞台です。初演では芥川の異能力である羅生門をはじめ、いろいろな技を出させていただいて、その演出がすごく演劇的でおもしろかったんです。なんというか……人の力を借りてたくさんの異能力を表現する方法にも驚いたし、また、それが本当に技を出しているように見えることがすごく感慨深くて……。
 ただ、今回はそういった技とは別に、自分の肉体を使って実際に戦う、という場面も多いので、そういった姿も届けたいです。もうね、身体が弱いのに芥川はがんばってるな……って我ながら思います(笑)。だから、そういう一面もしっかり演じて伝えたい。すでに演じた役だからこそ、さらに掘り下げることができると思うし、掘り下げて作り上げなければならないと思うので、より一層の熱を持って挑みたいです」

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周りに恵まれていることに感謝して
観てくれる人たちを幸せにしたい

「作品が続くことでいろいろな方と共演できることも楽しいんです。ことに中原中也を演じている植田圭輔さんとはほかの作品でもご一緒させていただいていますが、どの役も植田さんでありながら、植田さんじゃないんですよ。だからまた共演できることが嬉しいし、目標としたいところがたくさんある存在です。
 ものすごく視点の位置が高い方で、とにかく視野が広いんです。座長公演だと台詞も多いのに、さらに周りものすごくよく見ていてくれる方で。たとえば僕がなんとなくしっくりこないところがあって迷っていると、植田さんは気付くんです。気付いた上で意見を聞いてくれて『違和感あるなら、演出家さんに相談してみる?』とか提案してくれるんです。もう、とにかくそれがカッコよくて! 僕も座長を務めさせていただくことがありますが、どちらかというとみんなを引っ張っていくというよりは周りの方々に支えていただいて、一緒に走る姿を見せるというタイプなんです。ただ、作品を背負うぞ、とは覚悟しているから、必ずしも植田さんと同じようにはできないと思うけれど、あんなふうに在れたらいいなと思います」
 同世代にも恵まれているという。
「この作品で太宰治を演じている多和田任益くん、『RE:VOLVER』で共演した安西慎太郎くんや『ハイキュー!』で共演した木村達成くんといった、93年生まれの同世代がすごく熱くて、仲間でありライバルでもあるので一緒に盛り上げていけたらという思いもあるんです。だから同世代の役者が良い芝居をしているのを観ると、正直言ってめちゃくちゃ嫉妬するし、心ののなかで、うわー! ってなってます」
 その感情を言葉にできることが潔い。現在、さらに活動の場を広げて、様々なメディアミックスを展開する“BanG Dream!”のボーイズバンドプロジェクト“ARGONAVIS from BanG Dream!の通称「アルゴナ」ことArgonavisにドラムとして参加。
「これがものすごく楽しくて……声優としても活動しているんですが、表現という意味では変わらないと日々、感じています。
 ドラム担当ですが、実はすごくすてきなご縁で参加させていただいたんです。以前に鈴木拡樹さんがMCを務めている『2.5次元男子推しTV』にゲスト出演させていただいて。自分がやりたいことに挑戦できると伺って、ドラム練習をさせてもらったんです。もともと高校時代にちょっとだけかじっていて。ただ、それは従兄弟から電子ドラムをもらって、でも練習方法がわからなくて、YouTubeで練習画像を検索して見よう見まねでやっていた程度だったから改めてやりたいな、と思って提案したら、その番組が縁となってくれたんです。だから言葉にするって大切だな、とやっぱり思います」
 どんな仕事もつながっていくし、無駄にはならないと実感している。
「役者ではあるんですが、バンドを組んだからにはこのバンドで行けるところまで行きたいし、役者だからこそバンドマンの役を演じる機会があるかもしれない。だから、与えていただく機会にはすべて糧にしたいし、応えたい。
 どんなキャラクターでも寄り添う必要はあるけれど、やっぱり『橋本祥平』が演じているからこそすてきだと言っていただけるようになりたいし、観られる仕事であるからこそ指先まで神経を込めて演じたいですね」
 だからこそ「続ける」と決めたのは自然なことだったと明かす。
「実は一度も『辞めたい』と思ったことがなくて、本当に周りの方々や仕事に恵まれているんです。せっかくこんなにすてきな仕事に就けたからには。今はただただ目の前の役に全力で挑むだけです。でもね、まだまだ全然足りないと思う瞬間がたくさんある。だから、今やらせていただいていることを無理に広げるのではなく、今はそのひとつひとつを深めていく努力を続けていきます」
 最後に舞台「文豪ストレイドッグス 三社鼎立」への意気込みをうかがった
「本当にこの作品こそ、たくさんの人に観ていただきたいと思っています。今回、東京、大阪以外にも岩手、福岡、愛知での公演もあることが嬉しいし、いろいろな方にご覧になっていただける大きなチャンスだと思うので、とてもありがたいです。
 僕らも楽しんで演じますが、観てくださる方にも、いらしていただいたからには幸せな気持ちになっていただけることを約束するので、どうぞ足を運んでください」

橋本祥平 はしもと・しょうへい

1993年12月31日生まれ。神奈川県出身。
2013年に舞台デビュー。その後、さまざまな作品に出演。2017年より舞台『文豪ストレイドッグス』で芥川龍ノ介を演じている。
公式サイト http://www.cast-may.com/contents/cast_31.php
オフィシャルブログ「SHOW HEY! HEY!」https://ameblo.jp/hashimoto-shohei/
ツイッター @hashimotoshohey

 

撮影/武田和真 取材・文/おーちようこ

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舞台「文豪ストレイドッグス 三社鼎立」

原作:テレビアニメ「文豪ストレイドッグス」
演出:中屋敷法仁
作:御笠ノ忠次
協力:朝霧カフカ、春河35
出演:鳥越裕貴、多和田任益、橋本祥平、植田圭輔、君沢ユウキ ほか

岩手公演:6月8日(土)~6月9日(日) 北上市文化交流センター さくらホール 大ホール

福岡公演:6月14日(金)~6月16日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール

愛知公演:6月21日(金)~6月22日(土) 名古屋市公会堂 大ホール

大阪公演:6月27日(木)~6月30日(日) 森ノ宮ピロティホール

東京公演:7月3日(水)~7月10日(水) 日本青年館ホール
★7月5日(金) 14:00公演 追加決定!!

公式ツイッター @bungo_stage
公式サイト http://bungo-stage.com/

Ⓒ舞台「文豪ストレイドッグス 三社鼎立」製作委員会

 

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