開幕直前!『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン2025』 多和田任益さん✕鳥越裕貴さん対談到着!
2025.12.15
1991年以来、実に34年ぶりに日本で世界陸上が開催され、棒高跳びの世界新記録が誕生した今年、『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン 2025』が上演される。
それは、オリンピックで世界を目指した者たちの、ある疑惑を巡る物語。
初演は1993年。故つかこうへい氏が阿部寛さんのために書き下ろした本作は、2020年に『改竄・熱海殺人事件』モンテカルロ・イリュージョンとして上演。しかしコロナ禍で公演途中に中止、翌年の上演も叶わず幻の作品と言われた本作、2024年に紀伊國屋ホール60周年記念公演として復活、この冬、さらなる進化を経て、ここに開幕。
これまでの記事もぜひ!
◆2020年 多和田任益さんインタビュー
◆2024年 中屋敷法仁さん✕多和田任益さん✕鳥越裕貴さん鼎談
◆2024年公演ゲネプロレポ+全編写真公開
◆2024年公演千秋楽レポ+全編写真公開

その激情のぶつけ合いが
暴力的にも見えるかもしれない作品です
2012年当時、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンの手塚国光、舞台『弱虫ペダル』シリーズの鳴子章吉として、2.5次元演劇が注目を浴び始めた当時から活躍を続けている、ふたり。
2017年に、『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』と同じく中屋敷法仁さんが演出を手がけた舞台『文豪ストレイドッグス』で初共演、今年3月にはGORCH BROTHERS PRESENTS「極めてやわらかい道」でも共演した彼らだからこそ、今、明かす、本作への想いをここに。
ーーお互いの存在はご存知でしたか?
多和田:知っていました。『ミュージカルテニスの王子様』時代に越前リョーマ役の小越勇輝から聞いていたし、鳥ちゃんの名前も同じ、ゆうき、っていうんだな、って思ってました。
鳥越:僕も、勇輝は自分の自撮りとかほとんどSNSにあげないから、多和ちゃんが一緒の写真をあげてくれるのを「あ、生存してんな」みたいな感じで見てました。
ーー初共演当時のお互いの印象について伺います。
鳥越:あ、関西人がいる、って、うれしかったです。同じ関西人を見つけるとテンションがあがるので。
多和田:うん、なんか落ち着くよね。僕、関西出身ですが、普段、そんなに関西弁がでる人じゃないんですけど、あっ! って思いましたもん。なによりもずっと会いたい人でもあったし、実際に会ったらすっごいフランクな人で。それが、ものすごく印象に残っていて、この人が「中島敦」として座長で真ん中にいてくれなら、絶対に大丈夫だな、安心だな、って最初に思ったことを覚えています。
鳥越:僕は、すごい「太宰治」というキャラクターにあってるなあ、と思いました。そもそも手足の長さや佇まいが二次元だし演技や発想の引き出しがとにかく多くて、いろんなものが飛び出してきて、頼もしい存在となりました。あと、稽古場でよく、なにかくれます(笑)。
ーーどういうことでしょう?
鳥越:誕生日といった記念日だけでなく、なんにもない日も「これ見つけたから買っといたわ」と、ちょいちょい、なんかくれるんです。
多和田:大阪の、飴ちゃんをくばるオバチャン的な性質なんです(笑)。まあ、なんか好きなんですよ。お店で見つけて、あ、これ好きやんなー、買っといて喜ばそ、みたいなのが。
鳥越:くすぐったいですけど、うれしいんですわ。だから「今日、多和ちゃん、なんか買ってくれるんかなー」って待ってるときもあります(笑)。
(このあと、多和田さんは鳥越さんとご自身の分の、果物のフレッシュジュースを手に去っていかれました)
ーーそのおふたりから見て、中屋敷さんの演出はいかがでしたか。
鳥越:すごい力を持っている人でした。初めて演出を受けて、なんだこの鬼才は? と。稽古場でもひとりでずっと楽しそうにしてるし、なんだったら、ひとりだけ誰よりも早く稽古場で初日を迎えている、というか……すでに照明や美術といったことが見えているんです。
稽古中もずっとどこかを見てるよな、とか思って不思議でしたが、あるとき「そうか、全部、もう自分のなかでできてんねや!」とわかって。そう理解してからは一気に信頼感が増しました。
多和田:どの作品でも、いちばん最初に楽しむ人なんだな、っていうのは思いました。いろんな演出家さんがおられますが、そのなかでも誰よりも楽しもうとするし、例えが難しいんですが、観客目線みたいなものを持っていて、鳥ちゃんが言うように舞台上の総合的な構図がすでに在る状態で僕らを見てくれる。
僕も最初はそれがわからなかったんです。でも、言う通りにやっていけば見えるんだな、って思わせてくれる演出家だから、黙って付いていけばいいんだと感じました。中屋敷さんの頭のなかにあるレールにみんなで乗って行けば、すごくすてきなところにたどり着けるんだろうな、と自然に思わせてくれるんです。ただ、ときどき、なに言っているかわからないときがあって(笑)。すごく早口とか、たぶん自分だけがわかっている意味不明の指示が飛んで「???」って、なることはあります。
鳥越:確かに。あんなに普通にツッコめる演出家さんって、なかなかいません。「今、なんつった?」って。
多和田:「もう一回、言って!」とか(笑)。
鳥越:「もっと、ゆっくり言って!」とかね(笑)。
多和田:そういった一面がありつつ、創り上げるものがすごいという、危ういバランスみたいなものが、たまらなくおもしろいんです。
ーーその中屋敷さんの演出で2020年に、おふたりが木村伝兵衛と大山金太郎を演じる、上演の発表を受け、驚きました!
鳥越:もともと、紀伊國屋ホールでの『熱海殺人事件』は観ていたんですが、台詞の量がとんでもなく多くて、うわー! これ、演りたくねえ……とか思って(笑)。で・も・ね! 金ちゃんは演ってみたいな、とは思っていて。そうしたら、お話をいただいて。ただ「熱海は熱海でも、モンテカルロ・イリュージョンです」と言われて。脚本を読んだら「なんだ? このトリッキーな作品は???」と。ただ、中屋敷さん演出で、多和ちゃんとガッツリ組んでの4人芝居なんて楽しみでしゃーない!」となりました。
多和田:僕はその前の年に中屋敷さんの戯曲探訪「つかこうへいを読む 2019春」という朗読劇があって、「これ、読んで」と脚本を渡されて知りました(多和田さんインタビュー)。そこで、まったく知らない木村伝兵衛に心惹かれて公演終演後の打ち上げで、中屋敷さんとつか作品を上演し続けているプロデューサーの岡村俊一さんに「演りたいです!」と伝えたんです。そうしたら、ふたりとも「いいんじゃない」と言ってくれて。でも、勢いで言ったことだし、きっと実現しないんだろうな、と思っていたら、まさかの「やりましょう!」とお話をいただいて。ものすごくうれしかったし、なにより金ちゃんを鳥越裕貴で、と聞いた瞬間に「勝ったな」と思いました。
なんというか、鳥ちゃんの持つ熱量って、つかこうへい作品にとても合うなと思っていたし、いつか熱海で共演できたらと思っていたから「願っていたモンテを演るときに隣に鳥ちゃんがいてくれるんだ!」ということにシンプルに観たいという思いと嬉しさと心強さとで、とにかく安心感がすごかったです。
ーーその岡村さんに伺ったのですが、ずっと「モンテは『熱海殺人事件』を観たらわかる、単体ではわかりにくい、おまけみたいな作品として上演していた」というイメージがあったと。
ですが、お二人が出演する中屋敷さん演出をご覧になって、もともとの作品が内包する本質が今の時代的にむしろ、よりわかりやすく届けられている印象がある、とおっしゃっていました。
多和田:とてもうれしいです。昭和に生まれた作品が令和の世に復活して、ここまで続けて、現在において中屋敷さんのもとで、自分たちが新たなモンテを届けられているのかな……という思いはあったので。
鳥越:再演ではあるけれど、毎回、新作だという感覚は毎回、あるからね。
多和田:そう! 確かに中屋敷さんの演出ではあるんですが、毎回、新鮮なんです。同じ話なんだけれど、全員がそれぞれに経験してきたものを持ち寄るから、本当に毎回、ちがうという思いはあります。4人の空間で、自分が出ていない場面を稽古で観ていても常に新たに感じるものがあって。ただ、それが新作か? と問われればわからないんですが、新鮮ではあります。ことにモンテに関しては僕らが全員で創り上げてきた、という意識が強いので、よけいにそういう思いがあるのかもしれません。
鳥越:それはある。勝手に台詞を言って、気持ちを出す。他の作品では、そこに演出家の意図が入ることもあるし、それは本当にいろんなケースがあるけど、モンテは脚本に気持を乗せたら、そのままモンテになる感じがしていて。
多和田:変にこねくり回さなくてもいい、という印象はすごくあるよね。まずは脚本を読めばいい、というか。とりあえず書いてあることを思った通り、一回、声に出してみる。そこから、じゃあ、こうかな? と掘り下げていく感じ。
ただ、それも独りでは成り立たないんですよね。自分は今、こう思っている、という情感みたいなものをぶつけあっているうちに広がって精査されていって、あ、これだね、っていうものにたどり着く。それがうまくいかないときに外から見ている中屋敷さんがヒントをくれる。
鳥越:……うん。本当に演出家さんによるんですが、台詞に乗せて、ドカン! と出すと周りから返ってくる、という感じ。そこにいろいろと手を入れる演出家さんも、もちろんいるし、そこはバランスを見て、出したり引っ込めたりするんですが、この作品ではわりと出していて、それが互いにいい影響が生まれていく。
なにより多和ちゃんが言うように、独りで読んでいても全然、わからないから。会話して、相手の出す色だったり、音だったり、いろんなものが反射することでまた変わっていくから、あとは自分がどれだけ受け取れるか、その相乗効果がおもしろい、みたいな感じやね。
多和田:僕らと同世代とか、少し下の世代で共演した俳優さんたちが観に来てくれて、衝撃を受けたとか、いい刺激をもらったとか、なんだったら、ちょっと悔しい、というふうに言ってくれて。だからいろんな人に観てほしいな、と思うんです。
ただ、もしかすると、その激情のぶつけ合いがちょっと暴力的にも見えるかもしれなくて。たとえば10代の人が観たら、どう感じるのか? は、わからない。でも、だからこそ観てほしいという思いもあります。
鳥越:多和ちゃんは、そういった「後進を育てる」みたいなことはすごく考えているよね。
多和田:だって続いてほしいから。モンテに限らず、ずっと上演され続けてきた作品は、そうやって残ってきたものだと思うし。モンテも中止にもなったけれど、続けてこられて、今回、『熱海殺人事件』の単独公演させてもらえるところまで、みんなで育ててこれたわけで。もちろん、気持としてはね、ずっと僕らが演っていたいけれど、残す、ということも考えていく世代なのかなあ、というのはあります。
鳥越:確かに、実際に観てくださっている若い世代の俳優やお客さんに、なんというか……刺さっている感じはします。それこそ最初のころから受けとる空気がちがうというか。それは、時代的な巡りあわせもあるだろうし、タイミングもあるだろうけれど。だからこそ、今年のモンテをひとりでも多くの人に観てほしいという思いはあります。
これを観たら、本家の『熱海殺人事件』も観たくなるだろうし、観たら絶対に愉しめると思うから、そこへつなぐ、という意味でも、続けていきたいな、残していきたいな、と思います。さらに演りたいと願った役を演れて、そう想えることはすごく幸せなことだから。
ーーそこで気になるのは、多和田さんは『熱海殺人事件』で木村伝兵衛をはじめ、ほかの役を演じていますが、鳥越さんは?
鳥越:やーーー、モンテの金ちゃんの居心地が良すぎて考えられないですね。まあ、機会をいただけるなら、本家の金ちゃんを演ってみたいな、という気持はありますが……大変だし! 今は多和ちゃんの船に乗って、一緒に旅したい気持ちのほうが大きいですね。
多和田:モンテの船はずっと鳥ちゃんと一緒に乗ってたい。もし先に降りたいって言ったら……いやだ! ……ううう……応援はするけど……がんばるけど………うーん……。
ーー両方で演じられる、というのは?
鳥越:待って、待って!!! そんな簡単なことではないから!!!
多和田:観たい気もするけどね! もちろん、そのときは僕が木村伝兵衛役で(笑)。ただ、まずはこの『熱海殺人事件モンテカルロ・イリュージョン 2025』で新たな旅をしたいと思います。
鳥越:そうね。自分自身、演劇が好き、というのもあるけれど、観劇がもっともっと文化として根付いてほしいし、自分が出ていることで一人でも多くの人が足を運んでくれたらうれしい、という思いはあるから。それで、実際に観に来てくれて、おもしろかったら最高やん! ってね。
多和田:うん。シンプルに舞台っておもしろい、と思ってほしい。生身の人が目の前にいる、その力ってものがすごく大きくて、僕自身もそこから受け取ったものはたくさんあるから、まずは観てほしいし、それで、少しだけでも、観た人の人生のプラスになれたらと願っています。
取材・文/おーちようこ
熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン2025
【公式サイト】 http://www.rup.co.jp/stage/atami_2025.html
【作】 つかこうへい
【演出】 中屋敷法仁
【振付】 野田裕貴(梅棒)
【出演】
木村伝兵衛部⻑刑事:多和田任益
速水健作刑事:嘉島 陸
犯人大山金太郎:鳥越裕貴
水野朋子婦人警官:木﨑ゆりあ
【公演日程】 2025年12月18日(木)〜28日(日) 全11公演
【会場】 紀伊國屋ホール
〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目177 紀伊國屋書店新宿本店 4F
【公演イベントも決定!】
司会:久保田創
■12月19日(金)18:00 ゲスト:野田裕貴(梅棒)
「熱海殺人事件モンテカルロ・イリュージョン2025」振付担当
テーマ:「歌と踊りのエンターテインメント」
■12月23日(火)18:00 ゲスト:高橋龍輝
2022〜2024年「熱海殺人事件」熊田留吉・大山金太郎役にて出演
テーマ:「私たちにとっての熱海殺人事件」
■12月24日(水)14:00 ゲスト:黒羽麻璃央
2017年「熱海殺人事件 NEW GENERATION」大山金太郎役にて出演
テーマ:「クリスマスだぜ!プレゼント大会」
■12月25日(木)14:00 ゲスト:村山彩希
2025年「新・幕末純情伝」沖田総司役にて出演
テーマ:「クリスマスだよ!プレゼント大会2」
■12月26日(金)14:00 ゲスト:荒井敦史
2020〜2024年「熱海殺人事件」木村伝兵衛役にて出演
テーマ:「今年もお世話になりました。来年はどんな年に?」
【チケット料金】 8,500円 (全席指定・税込)【チケット好評発売中】
【協力】 つかこうへい事務所
【提携】 紀伊國屋書店
【制作】 アール・ユー・ピー/ゴーチ・ブラザーズ
【主催】 熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン2025製作委員会
2024年公演より
